ホーム > デベロッパ > BREW プログラミング入門 > "HelloWorld" プログラムを作ろう > - 1 / 3 -

"HelloWorld" プログラムを作ろう ( BREW 2.1 編 ) - 1 / 3 -

BREW SDK 3.1 及び BREW SDK Toolsをインストールしている方は、BREW 3.1 編 へ お進みください。

BREW 2.1 編 と BREW 3.1 編 の違いは、MIF エディタとシミュレータの違いのみで、ソースコードは同じものを使用しています。

前回の連載では、BREW SDK 2.1 をインストールするところまで解説しました。今回は実際にソースコードを書き、 BREW エミュレータで動かしてみましょう。画面に "Hello World" と表示する簡単な BREW アプリを作成します。

BREW モジュール

BREW ICON

前回解説したように、 BREW エミュレータで実行する BREW アプリケーションの実体は .dll ファイルです。これを "BREW モジュール" といいます。 BREW モジュールには、必ず MIF ファイルが必要で、 HelloWorld.dll モジュールには HelloWorld.mif というファイルが必要になります。

この二つは必ずペアで扱います。 MIF ファイルは BREW モジュールに関するメタ情報を記述するためのものです。

BREW モジュール内には一つ以上の "BREWアプレット" が含まれています。 BREW アプレットというのは、一つのプログラムのことで、携帯電話の BREW アプリ一覧に表示されるアイコン一つ一つに対応します。つまり、一つの BREW モジュールで複数のプログラムを提供できるわけです。

各 BREW アプレットは、一つの "クラス ID" を持ちます。クラス ID とは、一つ一つの BREW アプレットを識別するための 32 ビット値で、世界中で一意の ID です。この ID は、正式には Qualcomm やキャリアに申請して発行してもらうものですが、開発の段階ではどんな ID を使用しても構いません。

以上のことから、 BREW アプリケーションを開発するには以下の作業を行う必要があります。

  1. 各 BREW アプレットのクラス ID の作成
  2. 各 BREW アプレットの振る舞いの実装
  3. BREW モジュールのメタ情報を記述した MIF ファイルの作成
  4. BREW モジュール (DLL) の作成

まずは、 HelloWorld アプリの作成を通して、これらの作業を習得することにしましょう。

BREW モジュール

MIF ファイルとは

BREW アプリでは アプリ毎にそのメタ情報を記した MIF ファイルがひとつ必要です。

MIF ファイルに記される情報は、アプリの名前、アイコン、クラス ID、作成者、著作権、特権レベル( ネットワークやファイルなどセキュリティに関連するインターフェースの使用 ) などです。

MIF ファイルは BREW SDK に同梱されている BREW MIF エディタによって作成します。

※ 拡張子 " . mif " の除く MIF ファイルの名前は、拡張子 " . mod " を除くアプリの名前と同じでなければいけません。

MIF ファイルの作成

HelloWorld アプリケーションでは、 HelloWorld.dll という BREW モジュールに、 "HelloWorld" という名前の BREW アプレットを含めることにします。 HelloWorld アプレットのクラス ID は 0x1234にしましょう。

これらの BREW モジュールの情報や、そこに含まれているアプレットの情報は、 MIF ファイルに格納します。まず MIF ファイルの作成手順を示します。

mif エディタ

  1. Windows の [スタート] メニューから [BREW MIF エディタ] を起動します。
  2. BREW モジュールに一つのアプレットを含める設定を行います。まず [アプレット] タブの [新規アプレット] ボタンを押します。
  3. [ClassID の生成] ダイアログが表示されますので、[名前] に "HelloWorld" と入力し、[ローカル] ラジオボタンを選択します。また [ClassID] に "1234" と入力します。
  4. [生成] ボタンを押すと、「ローカルに ClassID を生成してよろしいですか?」というメッセージが表示されるので、[はい] を押します。
  5. [名前を付けて保存] ダイアログが表示されますので、 HelloWorld.bid というファイル名で保存します。このファイルに HelloWorld アプレットのクラス ID が格納されます。
  6. MIF エディタに戻り、[アプレット] タブの [ClassID] から 0x00001234 を選択します。これは HelloWorld アプレットを表すクラス ID です。アプレットの名前や種類、アイコンを設定します。[名前] には "Hello World" と入力し、[アプレットの種類] では "ツール" を選択。[アイコン] は今回は使用しないので空欄にしておきましょう。
  7. 一つのモジュールに複数のアプレットを含める場合は、手順 2. から 6. を繰り返します。今回は一つのモジュールに一つのアプレットのみを含めます。
  8. メニューから [ファイル]-[名前を付けて保存] を選択し、 HelloWorld.mif というファイル名で保存します。

以上でMIFファイルの作成が終わりました。 HelloWorld.dll モジュール (まだ作成していませんが) の中に一つのアプレットが含まれており、そのアプレットの名前は "Hello World"、クラス ID は 0x1234 であることが記録されました。

*.bid ファイルの中身

MIF ファイルを作成する途中で .bid ファイルを作成しました。このファイルは、 BREW アプレットのクラス ID を定義した C 言語のヘッダーファイルです。テキストエディタで開いてみると、次のようになっていることが分かります。

 #define AEECLSID_HELLOWORLD 0x00001234

この .bid ファイルは、後で BREW アプレットの実装を行うときに、ソースコードにインクルードすることになります。

BREWの開発環境

次に、 BREW モジュール (DLL) を作成し、その中のアプレットの実装を行いましょう。 BREW のソースコードは Visual C++ で作成するので、本連載では Visual C++ 6 を使用します。 Visual C++ 6 がインストールされているシステムに BREW SDK をインストールすると、自動的に Visual C++ 6 用の BREW SDK アドインがセットアップされ、 "BREW アプリケーション ウィザード" を使用して多少楽に BREW 開発ができるようになっています。

もし Visual C++ 6 よりも先に BREW SDK をインストールした場合は、 BREW SDK を再インストールすることで Visual C++ のアドインがセットアップされます。

BREW SDK は Visual C++ .NET や Visual C++ .NET 2003 と共に使用できますが、現状では BREW SDK インストーラではアドインがセットアップされず、別途 QUALCOMM のサイトからインストールする必要があります。