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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2004年11月27日

2004 年 11 月 27 日 : 飛ぶように売れる商品

1964 年に米国 IBM 社から発表された、コンピューター史上に燦然と輝く金字塔、IBM System / 360

これがコンピューター業界の巨人、IBM を築き上げた最大の立役者である。

40 年を経たいまも、銀行、工場、研究所等々、世界中の至るところで、このアーキテクチャー(コンピューターの設計思想)を継承するコンピューターが稼動している。何十年にもわたり通用するように構想された、画期的で素晴らしいコンピューターである。

コンピューター関連のビジネスで成功を収めようとするのならば、「なぜ IBM System / 360 は成功したのか?」を研究してみるとよい。その本質からいろんなビジネス上のアイディアがインスパイアされることだろう。

IBM System / 360 以前のコンピューターは、小型、中型、大型という大きさの軸、商用、科学技術計算用という用途の軸、これら 2 軸から成る 2 次元空間に別個のタイプのコンピューターとして点在していた。各々のコンピューターで動作するプログラムは、コンピューター毎に開発しなければならなかった。

例えば、あるコンピューターで動作する経理システムを別のコンピューターで動作させようとすれば、そのために同じ内容のその経理システムを改めて開発する必要があった。

IBM System / 360 の場合、小型機でも大型機でも、そして商用でも科学技術計算用であっても、プログラムを一つだけ開発すれば良かった。そのプログラムは小型から大型まで全ての機種でシームレスに動作するように普遍的に創られていた。

「汎用計算機」と呼ばれた、IBM System / 360 は、現在でも利用できるほど、未来のコンピューティングスタイルを見通した、洗練されたアーキテクチャー(設計思想)を搭載していたわけだ。

誰もが思いつくほど単純で当然のことのようである。しかし、極めて画期的な出来事であり、これがコンピューター史上の変極点となった。

何十年にもわたって利用される商品を創作するヒントがここに隠されている。

実社会のさまざまな力学的な物理現象の解明や検証で応用される、ニュートンの運動方程式

    m α = F

こんなシンプルで普遍的な原理原則に基づいての商品の研究開発が必須であろう。

では、ソフィア・クレイドルでは、日常、具体的にどのようなアプローチで研究開発を実践しているのか?

昨日、ソフィア・クレイドルのホームページ上に内部的な仕組みや動作について技術資料を公開した、携帯 Java 専用アプリ圧縮ツール SophiaComprss(Java) を例に取り上げてみよう。

ソフィア・クレイドルのビジネスモデルの基本形は、汎用的で普遍的なソフトウェアを研究開発し、商品として実用化し完成させる。そして、その商品を世界中に配布することで収益を得るというものである。

SophiaComprss(Java)は、Javaと呼ばれるプログラミング言語で開発されたプログラムの物理的なサイズを最小化するJavaプログラム圧縮ツールだ。実は、いまはこの機能で売り出してはいないが、プログラムのソースコードを暗号化し、ハッキングできないような仕組みまで搭載されている。

Java にはサーバー用、パソコン用、携帯電話などの組み込み機器用とさまざまな用途に応じて、いろんな種類が用意されている。さらに、携帯電話用の Java は、キャリア毎に Java の API 仕様が異なっていたりする。

世の中のありとあらゆる Java の仕様に併せて、商品であるソフトウェアを開発するとなれば、膨大な人と時間、コストが要求される。我々のようなベンチャーでは、商品化自体が事実上不可能ということになる。

しかし、世界中にある、百花繚乱ともいえるバラエティなJavaというシステムの全てに共通するものが唯一つあった。それはJavaのエンジンともいえる JavaVM ( Java 仮想計算機と呼ばれる) であった。JavaVM とは Java の動作原理そのものだ。

3 年前、携帯 Java アプリ開発において、携帯電話に搭載されるメモリ制約や通信コスト削減などの問題のため、そのプログラムのサイズを縮小するというニーズが発生していた。

技術的に難解な仕事だが、JavaVM というものの仕様とその仕組みを分析し、解明しさえすれば良かった。しかも、研究開発し実用化した商品は、世界に存在するありとあらゆる Java のシステムに対して利用可能なものとなる。そういう経緯で、Java アプリのサイズを半分に圧縮してくれるツール SophiaCompress(Java) は開発された。

今は、日本市場でしか販売していてない。世界市場への進出は来年からだ。既に国内キャリアの公式サイトやビジネス用途の携帯Javaアプリで数え切れないほどの実績がある。お陰さまで、今年に入ってから、SophiaCompress(Java) の販売本数が飛躍している。

荷物が少なければ高く飛ぶことができる。(これは、絵本作家でミュージシャンの自らの作品に対する言葉である。)しかも、飛ぶための骨格も軽量に設計されていれば、なお高く飛べるのであろう。