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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2005年12月

2005 年 12 月 30 日 : 氷山の金額

数値化できるお金は単純明快で分かりやすい。誰にでも客観的に簡単に評価できるからである。

それは現在かたちになって見えるもののほんの一面、いわば氷山の一角に過ぎない。にもかかわず、多くの人々はそれを追い求める。

もっと大切なのは、むしろ人とかブランドとか未来とか・・・数値化できない伸びゆくものを、ぶれずに見定める才能である。

人はお金に換算すればどれくらいの金額なのだろうか?

それは、人によって評価するタイミングによって環境によって、大きく左右される。しかし、正確にお金に換算できないくらいの無限の価値を秘めているのである。

ブランドや完成していないものについてもそれが言えると思う。

例えば「モーツァルト」って金額に換算すればいくらなの?という問いに正確に答えられる人はいるだろうか。

価値が高ければ高いほどお金には代えがたい何かがある。難しいのは時間の経過と共に上昇もすれば下降だってありうることである。

起業家に最も求められる資質のひとつは、そんな数字に表現し得ない価値を見抜いてそれをかたちあるものに育てるセンスだと思う。

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2005 年 12 月 29 日 : 感動創造

最近、「感動創造」というキーワードが 21 世紀型ビジネスモデルのコンセプトメイキングにおいて重要な役割を果たすと聴く。

これについての僕の解釈は「どうすれば人は驚くのだろうか?」という問題に対する解答そのものだと考えている。

一体全体どうすれば人は感動し、感激し、感銘を受けるのか?四六時中そんな思いで仕事に励んでいる人はどれくらいいるだろうか?

感動や感激、感銘は数値化できるものではなく、無限の大きさを持つものだと思う。それだけに、仕事に対するスタンスとして、どれくらい真剣に「感動創造」に直面しているかで結果は明白だ。

生活のために割り切って働く感覚では「感動創造」は覚束無い。

一種の真剣勝負のごとく、365 日 24 時間ずっとその仕事のことが潜在的に自分のアタマの中に存在しているかどうかが肝心なポイントになるだろう。

いわば仕事と休暇の境目の無い生活が強いられるのである。

そんな状況であるから、それは自分が好んで人生の目標とし得る仕事であるかどうかが自ずと成功するための必要条件と言えるだろう。

2005 年 12 月 29 日 : 営業しない理由

創業の頃、生存するという目的のため、時々営業に出かけた。2004 年以降、製品のクオリティと知名度の上昇と共に製品が売れ始めるようになってからは営業活動を控えている。

その代わり、Web を通じた世界への情報発信に全力投球している。

何百年、何千年にも渡って未来永劫に続く作品を創造することが、ソフィア・クレイドルという名の起業の最も大きな目標であり、目的である。

それは、マズローのピラミッドの頂点に位置する「自己実現」の世界である。

生存のために、必要最低限の営業活動をするにしても、最終的には「自己実現」を果たせるかどうかが人生における最優先課題である。

長そうに思えて人生は短い。それだけに最短経路を探索しその道を進むのが重要だろう。

数百年、数千年の時を経て、今もなお残るもの。

それは営業が良かったからそうなったのだろうか?

人それぞれに好みは違うと思う。僕はモーツァルトの曲が好きである。営業されたから、説得されたから、という理由でモーツァルトを聴いているわけではない。ある日、たまたま耳にした曲が自分のフィーリングと合致した結果、そうなったと言える。それからモーツァルトの曲を知れば知るほど聴きたくなったのである。同じく最近の曲についても言える。

シンプルに表現するならば「曲そのものが良かった」というしかない。

同じことが自分の仕事にも当てはまると考えている。営業する時間があれば、自分が手がける仕事の完成度を高めたり、アウトプットを世界中の人に瞬間的に知ってもらうために Web に表現することに費やすのがベストではないかと思う。

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2005 年 12 月 29 日 : ひろがりゆく次元の視界

人々はどれくらい先の未来を眺めて生きているのだろうか。

時々、そんな素朴な疑問が生じる。高所恐怖症でもない限り、超高層ビルの展望台からの都会の夜景などの眺めは絶景だ。多くの人は高い所を目指している。

高ければ高いほど遠くまで見渡せる。けれども、同じ発想を時間軸上で展開して人生を生きる人は少数派なのではないだろうか?

数百年、数千年先の遥か彼方にまでひろがりゆく立体的な四次元の空間をイメージすると、目前に迫る現実の風景も全然違って見えてくるから不思議だ。

案外、詰まらないことに足を掬われて貴重な時間を無駄にしていたりする。たまには高い所から眺めるようにして遥か先の未来の風景を思い浮かべてみる。

きっとそんな時、独創的なアイデアは閃くだろう。

2005 年 12 月 29 日 : 圧倒的な差を生むもの

ソフト業界を見渡せば、オペレーティングシステム、データベース、検索エンジン、画像編集ツール・・・あらゆる分野で寡占が進んでいる。

このジャンルでは勝者は限られてしまうのである。

経営者としての性格からか、「勝者」と「敗者」を隔てるものに取り分け関心がある。

以前の日記にも書いたけれど、ソフトというものは質量を持たない。それ故、無限大のクオリティの世界がひろがっているとも言える。

クオリティは無限大なのだけども、勝者と敗者を決定付けたその要因というのは至って単純で些細なことが常である。ささいなことが時と共に指数関数的曲線の差となって現れる。

創めの頃であればあるほど、それは致命的な結末に繋がるので注意が必要である。ソフトというものは単なる"ソフト"なのだけど、プログラムだけでなくそれらを表現するコピーライティングやデザイン的な要素もある。

意外にも、コンピューターのソフト業界ではコピーライティングやデザインといったものがおざなりにされがちに感じる。

その間隙を縫って、世界の桧舞台に登場した典型的な例が、Apple Computer, Inc. 創業者スティーブ・ジョブス氏である。

1 ドット 1 ピクセルを変化させるだけで、その情景へのフィーリングがガラッと変化する複雑系の世界でもある。

それだけにあらゆる面において細分まで徹底してこだわりたい。何故ならそのスタンスこそがソフト業界で生き残るための鉄則だからである。

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2005 年 12 月 29 日 : 私的読書術

生命は有限だけれど、人が創り出したある種の"コンセプト"は時を超えて生き永らえる可能性を秘めている。

人と動物の間にある最も大きな差は、そんなところにあるのではないかと個人的に思っている。

だから人生を過ごす上で最も偉大な楽しみというのは無限の生命が宿る"コンセプト"を打ち出せるかという命題への解を探求する、一種の賭けである。

勿論、賭けであるので外してしまう恐れもある。けれども自動車など運転している時に事故に遭遇しないための習慣があるのと同様に、思い通りの結果を導き出すための方法論があるだろう。

ひとつが読書の方法である。

巷には書店に氾濫するほどの本がうず高く積まれている。その中から一冊の本を選んで読書して、人それぞれに楽しんだり生活や仕事に役立てようとしている。

僕自身、毎日多種多様な本を読むが、軽く読み流す本と何度も何度も繰り返し精読する本がある。

大切なのは精読する本を選ぶセンスにあるような気がする。何度も何度も繰り返し読むような本は個人の考え方に多大なインパクトを与える。それによって運命が決まることも無きにしもあらずだ。

座右の書とすべきかどうか。判断の基準はこんなところにあると思う。100 年後、300 年後、或は 1000 年後の未来の世界で、その書籍は人々に読まれているだろうか?

そんな観点から僕はいつも繰り返し精読すべき本をセレクトしている。

ひとつだけ簡単に見分ける方法がある。それは何百年、何千年の時を経て、現在も人々に読まれている古典は何百年先、何千年先の世界においても人々に読まれているだろうという未来予測である。

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2005 年 12 月 29 日 : 5・7・5・7・7

短歌とは五・七・五・七・七の五句体の歌である。7 世紀後半から 8 世紀後半に編まれた『万葉集』に始まり、今もなお詠まれている、古来から続く日本の伝統文化である。

わずか 31 文字で構成される歌なのだけども、一文字一文字を組み合わせれば星の数ほど無限のバリエーションが出来上がってしまう。

大半は当たり前のように淘汰される平凡な歌かもしれない。でも『万葉集』『古今和歌集』『新古今和歌集』といった著名な和歌集の中のひとつの歌として、何百年、何千年にも後世に残るものもある。それは新奇さやザンシンさも内包していた。

こんな風に短歌を眺めていると、仕事のスタンスやアプローチにも変化が現れてくる。

ひとつは小金になる平凡な仕事をたくさんこなして儲かるけれども、未来の歴史には何も残らないやり方。もうひとつは、短歌の例で言えば、五・七・五・七・七の 31 文字にすべての生涯を捧げ、永遠の一句を残そうとするやり方。

両極端な例であるが、僕は後者の生き方を目指したいと考えている。有限の時間軸上での仕事の集積は有限でしかないが、無限の生命を持ち得る作品は無限の時間軸上であれば、一時の数は少なくても無限の時間で集積すると必ず無限大になる。

自分が生きている間だけでなく、ずっと永遠に続く何かを創造できればそれに勝るものは無いのではないだろうか。

『永遠の何か』を創造するためには大切なことって何だろうか?

最近、この問題について自問する日々が続く。

飽きなくて、品が良く、質も良い。

こんな条件を満足する作品が創造できればと願っている。そのためには、短歌の作者がたった 31 文字のひとつの歌に情熱を傾ける姿勢がヒントになるだろう。駄作を量産するよりも、ひとつの仕事でもいい。何度も何度も見直して日々改善を図り、最高傑作を世に送り出せるようなアプローチを継続したい。

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