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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2004年12月18日

2004 年 12 月 18 日 : 魔法のエンジン

道端に 1 万円札が落ちていたとする。大半の人はその 1 万円札を拾う。1 円玉であったなら、ほとんどの人は拾わずに素通りするだろう。

逆説的なようだけど、ビジネスでビッグチャンスを掴むためには、1 万円札よりも寧ろ 1 円玉の方を拾う。そして、その1円を大切にし倍々に増やすことを考えるのがよい!

1 万円札を拾うと、人は増やそうという発想よりも、拾った 1 万円を無駄に使ってしまう傾向がありはしないか?1 円玉を選択するなら、その時点ではそれだけでは何もできない。増やすには何らかの思考が必要になってくる。

お金というものは、何も考えずに使ってしまえばそれで消滅してしまう運命にある。お金を増やすエンジンを手に入れることができれば、永遠に無限にお金が産み出せる。

お金には不思議なところがある。

ゲーム理論的に、ビジネスで大事なのは、どうやってそのお金を産み出すエンジンを構想するかだ。1 円しかなければ、増やさない限り生きていけない。必然的にそんな発想になる。

2 ヶ月経たないと 2 倍にならないとしても、昨日の日記の話に書いたように、継続して 2 ヶ月毎に倍になれば 5 年後には 1 円は 10 億円になっている・・・計算では。そのペースでいけば、10 年後には天文学的な金額になっているだろう。

最初は元手が少ないので増えるペースが遅い。諦めて脱落する人たちも多い。だからレースに参戦しているだけで、知らず知らずのうちに最終的に勝利していたりする。

目先のお金に囚われず、長期的な成功を得るために、1 円玉を拾うような選択をしてきた。最初は事業曲線は水平線を描いていた。徐々に傾きが上向くようになってきている。

確かに苦しい時期もあり、その度にさまざまな事情で離れてゆくスタッフもいた。創業以来残っているスタッフは、試練に耐えてきただけに、安定した企業で働いていた場合よりも、1 桁以上も成長して立派になっている。

「 1 円玉を拾う」という選択には別の意味もある。

それは何か?

目に見えない魅力がたくさん隠されているのに、見かけが地味過ぎて、好んで選択する人はほとんどいない。

最初から強力なライバルが全くない。喩えるなら、多くの人は、渋滞する道路で目的地を目指すのに、空いている逆の道を快適に自分の好きなペースで前に進むような感じだ。

IT 業界で言えば、ブログSNSグループウェア検索エンジンのようなシステムは、なんとなく派手で儲かりそうな感じがする。多くの人が跳び付いてしまう。

そこでは熾烈な激しい競争が繰り広げられる。マイクロソフトと正面切って競争して勝つのは至難の技だ。

混雑した息苦しいところは避けたいので、ARM というようなプロセッサで機械語のプログラミングをしたりする方を選択している。都会の大きな本屋でも ARM というプロセッサのプログラミングの書籍を探し出すのは至難の業。それくらい、いまは地味な世界である。

100 人中 99 人は ARM ってなんのことか分からないと思う。実際にはほとんどの人が日常生活で利用しているにも関わらず。

ARM は、世界中の大半の携帯電話に採用され搭載されている。パソコンで言えばIntel(インテル)のような存在だ。携帯電話の心臓部分に相当するものである。数の上では、インテルの CPU 以上に世の中に普及している。ほとんどの人はこんなに大きなマーケットがあるのに入ってこようとしない。

インビジブルだからである。

本当のビジネスチャンスはこんなところにあるものなのだ。

今、ユビキタスコンピューティングのビジネスとはこんな感じで展開される。

ARM を研究して、任天堂ファミコンのゲームが au の携帯電話で動作する成果も得られている。 

インビジブルな魅力溢れるマーケットで、こういうエンジンの仕組みを考え出す辺りにベンチャーが飛翔できる道が隠されている。