2005 年 07 月 16 日 : 最高の決断
少し前の話だけれど『ジョブズCEO、スタンフォード大学で波乱の半生を語る』と題した Hotwired の記事の言葉が記憶に残っている。それは、米Apple Computer社の最高経営責任者であり、創業者でもあるスティーブ・ジョブズ氏の「最高の決断」に関わる内容である。
スタンフォード大学の卒業生5000名を対象とした講演だったそうだが、そこでスティーブ・ジョブズ氏はそれまでの人生において最高の決断と呼べるものは「大学中退」であると述べた。そのことによって、生きるためには必然的に創造的にならざるを得なかったという。また、その過程において『細かい部分にとことんこだわること』を信条とし、Apple Macintoshを唯一無比の存在へと昇華させた。
ベンチャーを創業して痛感するのは、『創造性』という概念の必要性である。これはどうすれば確実に導き出せるのかというのは永遠の課題かもしれない。その一つの解は、背水の陣を敷いてでも自分を追い込んで集中するということではないか、と考えたりもする。
私の場合、『最高の決断』と呼べるのはサラリーマンを辞めたことに尽きる。それによって自分の力を信じて生きざるを得ない身の上となった。最終的に頼れるものは、自分の努力や情熱、才能、考え方でしかないけれど、これこそが大きなパワーを生み出す源にように今にしてそう感じる。勿論それは一人だけで形成されたものでもなく、自分のためだけに在るものでもない。
振り返れば、起業してから実際にその立場でなければ想像できない、実にたくさんの経験や体験を繰り返してきた。最近ようやく、その度にステップバイステップに着実な成長を遂げている自分を客観視できるようになってきた。
最悪の場合、頼れるものが自分しかないという境遇はある意味では厳しい現実かもしれない。しかし反対に、全ての人生を自分の価値判断で決定できるという事実は、楽しく愉快な充実した日々を過ごす上で外せない条件ではないだろうか。