2005 年 11 月 03 日 : アンチテーゼ
大企業に勤務していた頃の素朴な疑問が今のベンチャービジネスに繋がっている。
何万人もの社員がいる大企業には、標準の 10 倍以上の成果をあげる有能な社員がいる。大企業で勤務した経験があるのなら、その事実に異論を唱える者はいないだろう。
それではそんなにも有能な社員は標準の 10 倍以上の年収を得ているだろうか。状況は変化しつつあるけれども、大企業ほどそんな会社は噂にすら聞かない。
同様に急成長しているベンチャーが 1 年間で社員数が 3 倍に伸びたという話はよく聞く。しかし 幹部の間ではあり得るけれど 1 年間で社員の平均年収が 3 倍になったという話はあまり聞かない。
多くの人が何となくおかしいと思いながらも、実際には行動しない。そんなニッチにベンチャーのビジネスチャンスは隠されている。大切な経営に関する指標は社員 1 人当たりに換算したものではないだろうか。
人材は世界中から募るが、滅多に募集しない。何故なら 1 人で通常の 3 倍の仕事をするのならば 3 倍の年収が得られるような会社にしたいから。注文が 3 倍になっても仕事をする人数が以前と同じなら簡単な算数ですぐに計算できる。そんな会社が理想。
好きな仕事ができて、成果に見合う収入が得られるようにしたい。そうであれば、数は少なくともその分だけ気心の知れた素晴らしい逸材はきっと集まるだろう。
普通よりも 10 倍仕事ができる人が 10 人集まるというのは何を意味するのか?
それは 10 人 × 10 倍 = 100 人分の仕事が 10 人でなされるのではない。その 100 の 2 乗である 1 万人分の仕事が 10 人でなされる感じだと思う。