ホーム > President Blog : Sophia Cradle Incorporated

Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2005年11月06日

2005 年 11 月 06 日 : 収益の構造[海外へ] 

ベンチャーといえども事業である以上、収益構造の戦略策定は経営者の役割として最も重要だと思う。

収益の式は至極シンプルで単に

[利益] = [売上] − [費用] ・・・ (1)

に過ぎないけれども、意外とこの式が頭から消去されている経営者も多いのではないだろうか。ソフィア・クレイドルというベンチャー事業を推進する際、収益に関するこの式が片時も意識から離れること無きようにしている。

利益はベンチャー事業の未来への扉、源泉でもある。利益によって未来が決まるだけに、どのように事業を展開すれば利益が最大化されるのかという思考プロセスは、いくら真剣にやったとしても十分とは言えない。

ソフィア・クレイドルでの収益構造の戦略をまとめてみよう。

国内と海外の 2 つにマーケットを分割すると、売上は次の式で表現される。

[売上] = [国内売上] + [海外売上] ・・・ (2)

(2) を (1) に代入すると、

[利益] = ( [国内売上] + [海外売上] )− [費用] ・・・ (3)

となる。(3) の右辺の項の順番を入れ替えると、

[利益] = ( [国内売上] − [費用] ) + [海外売上] ・・・ (4)

となる。[費用] は大雑把に研究開発費や販売管理費などを含めたすべての経費のことを指す。

ここで、研究開発した製品の販売を国内に留まらず、広く全世界にグローバル展開することを本命としている。何故ならば、国内のマーケットを 1 とすれば、海外のマーケットは 10 〜 20 と圧倒的に巨大だから。

更にいえば、国内は少子化が進みマーケット全体がシュリンクしているけれども、世界全体では人口は今も増加傾向にあるからだ。何十年後かの将来には国内 1 に対して、海外が 100 ということも十分に予測される。

海外マーケットの開拓は国内以上に難航を極めるかもしれない。しかし企業が生き残り永遠の繁栄を築くには、海外への展望無くしてそれはあり得ない。

さて、(4) の式で注目して欲しいのは、( [国内売上] − [費用] ) の部分である。この項が"プラスの値"になるように心掛けている。つまり、国内事業だけで利益を上げて海外事業は全て利益になる収益構造である。

製品販売はインターネット 1 本に絞り、効率的なグローバル展開のためにインターネットで完結する受注・出荷・決済システムも視野に入れている。

海外マーケットは国内の 10 倍以上ある。この方式にしたがって国内と同様に海外でも製品販売の仕組みが実現したとする。簡単な算数で 90 %を超える利益率の単純明快なビジネスモデルが出来上がることが分かる。

現在、全世界で携帯電話や携帯ゲーム機は数十億台以上普及している。たった 1 本のソフトでも、1 本あたり 10 円で世界中の全ての携帯端末に普及させれば、それだけで数百億円の利益が見込める。

利益を事業の未来への投資と考えるならば、それは資金調達という見方もできる。株式上場をしなくとも資金調達はできるということだ。株式公開する必要性もなくなる。

2005 年 11 月 06 日 : プロダクト ビジネス

製造業には大きく分けて 2 つのビジネススタイルがある。ひとつはお客様からの依頼に基づく受託開発型ビジネス。もうひとつはオリジナル製品を研究開発し不特定多数のお客様に提供する製品開発型ビジネス。

受託開発型ビジネスでは依頼されたシステムの開発が、お客様の仕様を満たすものであれば、対価としてのキャッシュが入ってくる。しかし製品開発型ビジネスの場合、必ずしも売れるわけではない。むしろ売れる製品より売れない製品の方が圧倒的に多い。

ソフィア・クレイドルは基本的に 100 % 製品開発型ビジネスを展開している。製品開発型ビジネスの最大の難関は、研究開発した製品が売れるかどうかという一点に絞られる。

創業初期であればあるほど、ベンチャーは経営資源が限られる。それ故、研究開発した製品が売れなければ誰からも気付かれずひっそりと経営破綻するだけ。厳しい現実がそこには待ち構えている。

売れなければ倒産という崖っぷちに自らを置いてみる。背水の陣を敷かなければ見えないものもある。100 % 製品開発型ビジネスに集中特化すれば、製品が売れなければ事業の消滅を意味する。自ずと売れる製品とは何かという問題意識を常に持って、仕事に臨む習慣が付いてくるのである。

大ヒットする製品には、動物と人間の決定的な差である"喜怒哀楽"の要素が色濃くでている。"喜怒哀楽"のある製品を創造するにはどうすればよいか、というのが製品開発型ビジネスの至上命題であり、この命題が解けた瞬間に爆発的に大ヒットする製品が生まれると考えている。

最も重要なのは、お客様がその製品を使用する状況を、どれくらい具体的に強く鮮明にイメージできるかに尽きると思う。キャッシュが見込める受託開発型ビジネスを兼業していると、人は弱い生き物だから必ずイマジネーションにも弱さが生じる。

売れる製品は 100 に 1 つと言われるくらいに少ない。それだけにほんの少しの仕事への取り組みの迷いが致命的になる。100 % 製品開発型ビジネスに集中特化すればそんな迷いが生まれる余地はない。必然的にヒットする確率というものも飛躍するのである。