2007 年 05 月 21 日 : ソフトウェア設計
『………このディスク・コントローラ・カードのチップの数は、他の競合製品よりずっと少なくてウォズニアクはその点を「私の生涯でもお気に入りの設計だ」と考えた。………』(『アメリカン・ドリーム』、マイケル・モーリッツ著)
ウォズニアクとは、ジョブズと共にアップル社を創業し、コンピューターの設計をしていた人物である。
アップル社が今日に至るにはいろんな要素があったと思うが、僕は技術的な観点では最少の部品からコンピューターを設計する思想、すなわち抽象化の概念にあったと感じている。
そういった考え方を持ってソフトウェアを設計する人は多くないように思う。それは何故か?
理由は単純である。
目先の売上とか利益を追い求めるからではないだろうか。というのは、ソフトウェアを抽象化して最少のサイズにして設計するには、何回も何回も設計し直して、プログラミングしテストするというサイクルを繰り返さねばならない。
その結果、同じ機能のソフトウェアが他よりも 10 分の 1 のサイズで実現できたりするのだ。
家中に散らばっている家電製品のリモコンが一つに集約されればどれくらい便利だろうか?
ソフトウェアでも同じことが言えると思う。
ソフトウェアを構成する個々のモジュール(部品)が様々なアプリケーションで利用されることで革新が起こるだろう。
僕たちは今、過去 5 年間もの歳月を費やして研究開発してきたソフトウェアの集大成のフェーズに入っている。
ソフトウェアそのものの抽象化を徹底し、革新的にコンパクトでスピーディなものとし、リファレンスマニュアルの推敲の上に推敲を重ね、世界の人々に届けるため、何千ページにも及ぶドキュメント類の英語への翻訳作業に余念はない。