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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2005年08月

2005 年 08 月 07 日 : Engine performance

ネットでF1ドライバーズポイントを調べてみると、今シーズンは昨年まで数年間にわたって連戦連勝だったフェラーリに所属するシューマッハの成績が振るわない。それに代わってルノーのアロンソがトップを快走している。

ドライバーのテクニックやパフォーマンスなど相対的な変化による影響もあるかもしれない。けれども、マシンに搭載されているエンジンや乗り心地などのハードウェアやソフトウェア的な性能の差にもきっと何かがあるに違いない。トップF1ドライバーにしてもマシンが思うように走ってくれないと、チェッカーフラッグを一番に受ける栄誉を手にする願いは叶わない。逆に、たとえそんな高性能マシンに素人ドライバーが乗り込んでみても、百戦練磨のドライバーたちの遥か彼方の後塵を拝するだけだ。

プロフェッショナルにはプロフェッショナルにしか使いこなせないツールやシステムがあるわけで、感性や才能とツールとの一体感というのが最も重要なファクターなのだと思う。いくら才能に恵まれた偉才がいたとしても、その才能を発揮するためのツールがなければ折角の才能も永久に眠ったままだ。その才能に相応しいツールがあって初めて、この地球上に新しい創造に伴う感動も生まれる。

コンピューターは人間の知性や感性を増幅させるために生まれたツールである。最初はソフトウェアの概念が無くて、ハードウェアだけのコンピューターで柔軟性は無かった。しかしソフトウェアという概念の創造によって、今日のようにコンピューターは発展を続けている。ソフトウェアはハードウェアと違って柔軟に変化する性質を帯びている。だから"ソフトウェア"という名で呼ばれる。それは生物が何十億年もの期間にわたって進化を遂げてきた姿に似ている。

しかしそのソフトウェアの進化発展は、プログラマーという人間の知性と感性によって成し遂げられるのである。その先に待つ夢のある未来の創造は、超一流のプロフェッショナルなプログラマーの腕にかかっている。そんなF1ドライバーのようなプロフェッショナルプログラマーに必須の高性能エンジンともいえる"プログラム開発環境"を提供できる誇りや自信を持ちたい。そんな使命感に基づいて、ソフィア・クレイドルのチームはソフトウェア研究開発に取り組んでいる。

2005 年 08 月 05 日 : Language

何気なく使っている"日本語"、普段その有難さを実感する人は少ないだろう。もし"日本語"が使えないとすると、その瞬間からこの上なく不便な生活を送らなければならない。実際のところ、言葉というものは人間にとって無くてはならない重要なものであり、今日の文明や文化もそのお陰とも言える。

人間というのはおかしな生き物だ。それがないと致命的ともいえるくらいに大変なのに、普段はそのメリットに全く気が付かない。"メラビアンの法則"でも言語はコミュニケーションの7%くらいしか影響を及ぼさないと言うけど、絶対にそんなことは無いと個人的には思う。

人間のコミュニケーションが言語によってなされるように、コンピューターとのコミュニケーションはプログラミング言語と呼ばれる存在によって為される。マイクロソフトBasicオラクルSQLボーランドPascalアドビPostscriptというように、ソフトウェア業界における偉大なベンチャーが飛躍したきっかけはコンピューター言語での成功である場合が多い。

これは恐らく、日常生活で言語が重要なのと同じような関係で、コンピューターの世界でも言語というものが重要な位置付けを占めるからだろう。それで上にあげたようなハイテクベンチャーの如く、大いなる成長と発展を遂げようとするならば、言語というものが成功のキーになると考えている。

だからソフィア・クレイドルでは、携帯電話向け組込みソフトを記述するためのプログラミング言語に関連する製品の研究開発に特にこだわっている。

2005 年 08 月 03 日 : 眺め

10年ほど前、夜の国道を行き交う自動車のライトの軌跡を飽きることもなく眺めていた。今ではマンションが建ったのでその向こう側は何も視えない。

今は見えないけれど10年前は見えていた過去の事実が新しい発想を喚起してくれる。私たちは"x"軸、"y"軸、"z"軸の座標軸から構成される3次元空間に束縛されるようにして暮らしている。その結果、今は窓からマンションの向こう側が見えないという現象が発生している。

もし私たちが現在の3次元空間に時間軸"t"を導入した4次元空間の存在であるならば、10年前に遡って夜景を駆け抜ける自動車の光を眺めるのも可能だ。

何ごともそうかもしれないが、ベンチャーを経営していると未来をどう視るかで総てが決まるようにすら感じられる。でも4次元空間の中を自由自在に瞬間移動できるタイムマシンがあるわけでもないので、未来を確実に視ることは叶わない。

しかし窓から見えない眺めの例のように、過去に遡ってそれを視るというのは可能でそこに未来を眺望する重大なヒントが隠されている。

たとえば、ソフィア・クレイドルでは30年前から現在に至るまでのコンピューター業界の過去を精査しつつベンチャー経営をしている。30年前であれば、会計のような企業情報システムは何億円もするようなコンピューターで処理がなされていた。しかし今では数万円のパソコンに弥生会計を導入するだけで手軽に使える時代である。こんなトレンドを知れば、会計システムが10年後には数千円の携帯電話サイズのコンピューターで処理されたとしても何ら不思議でない。そこに隠された巨大なビジネスチャンスを見出そうとしている。

肉眼で視えない未来もこんな風にして眺めれば新しい展望が開けてくる。

2005 年 08 月 02 日 : Strategy & Tactics

起業家にはそれぞれに"戦略(Strategy)""戦術(Tactics)"があると思う。

それでは"戦略""戦術"を打ち出す上で最も大切な考え方は一体何なのであろうか?

一つの答えは「その組織に所属するすべてのスタッフが瞬間的に理解できる単純明快さ」だろう。個人的に"戦略""戦術"をこんな風に定義している。"戦略"とは着地点、"戦術"とは着地点に辿り着くための経路であると。

具体的に言えば、ソフィア・クレイドルの"戦略"は次のようになる。

Strategy "世界のあらゆる携帯電話組み込みソフト開発でソフィア・クレイドルの技術が使われること"

"戦術"とはその着地点に到達するための経路だからこんな具合。

Tactics 1. 世界に通用するソフト開発を為し得る超一流の人材を世界から募ること

Tactics 2. プログラミング言語や圧縮技術など汎用性と普遍性に富むソフト開発に的を絞り、集中投資すること

Tactics 3. 想定されるお客様に最適な Web サイトをデザインし構築し運用すること

Tactics 4. 製品 や Web は、日本語のみならず、英語、中国語など多言語対応すること

Tactics 5. ソフィア・クレイドルのソフトを自社のサーバーから世界に向けてネット配信できるインフラをデザインし構築し運用すること

ベンチャーの強みはある分野に集中特化し、熱意と情熱で新しい発見や発明をスピーディに実現する過程にある。それを達成するためには所属するすべてのスタッフが"戦略""戦術"を完璧に理解していることが何よりも重要である。そのためには"戦略""戦術"は全てのスタッフにとって単純明快であることが必須条件である。

2005 年 08 月 01 日 : Reason

"何故ベンチャーを創めたのか?"

この問い掛けへの答えはベンチャーの未来の在り様に大きな影響を与える。個人の生活がこの上なく充実したものになるようにしたいとの願いを"ソフィア・クレイドル"というベンチャーに託して起業した。

創業以前、大企業でサラリーマンをしていた。自分を含め組織に所属する人々は必ずしも充実した人生を過ごしているわけではなかった。学んだ最大の教訓は、企業の規模や知名度は必ずしもその企業に所属する個々のスタッフの幸福に直結しないという事実だった。

"どうすれば充実した人生を過ごせるのか?"の答えはベンチャー創業の理由でもあり、現在も捜し求めて模索している。

物事の考え方には大きく分けて2種類ある。それはトップダウンに概念を展開してゆく演繹的アプローチ。もうひとつは個々の事実をボトムアップに積み上げて全体的な概念を形作ってゆく帰納的アプローチ。どちらかといえば、前者が大企業的であり、後者がベンチャー的である。

トップダウンで下位概念に展開するプロセスでは、創造性というものが入り込む余地は限定される傾向にある。決めた枠の範囲内では確実にスピーディに仕事がなされるが、意外性といったものが無いのは大きな欠点だろう。

21世紀の時代を迎え、"ワクワク&ドキドキ"というキーワードに代表されるように「感動ビジネス」がいま脚光を浴びている。個人的な見解として「感動」とは思いもしない冒険や発見の中に見出せるようなものと思っている。

四季折々のたとえば桜や紅葉などはささやかだけれども心の中に残る美しいものである。そういった情景を心の中に少しずつ積み重ねるようなプロセスが大切ではないか。偶然の産物なのかもしれない。感動的な新しい真実や真理とは往々にしてそんな風にして見出されると思う。それはあたかも万華鏡に映し出された美しい映像のようでもある。

ボトムアップの帰納的アプローチでは、時間を要するかもしれないけれど感動的な場面に遭遇する機会も多い。それは時間が掛かれば掛かるほど喜びもひとしおという感覚に近い。

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