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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2005年10月17日

2005 年 10 月 17 日 : 興亡

最近、旺盛な資金調達力を背景にした M & A が活発である。買収される側が東証一部上場の大企業の場合マスコミはその話題で活況を呈する。

世界でも有数といわれる大企業に所属し、弱小の零細ベンチャーからスタートした身の上なので言えそうなことがある。

ベンチャー起業家の中には大企業の経営者であったとしてもおかしくない人物も多い。もし大企業の経営者も務まるベンチャー起業家が存在するとすれば、という仮定法を考えてみる。その人物は大企業しか経験しえぬ経営者よりも能力面や実務面で桁違いのパフォーマンスを披露することだろう。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏などはその典型的な例ではないだろうか。

実績や知名度がゼロのベンチャーを立ち上げるのは、温室みたいな大組織で過ごすのとでは格段の差がある。多くのベンチャー起業家は全財産を事業に費やし命がけで経営を実践している。自然淘汰の厳しい環境に自らを置くことによって洗練された経営力というものが自ずと磨かれてゆくからだ。

大企業のトップたるものは優秀であって当然である。さらに、その人物がベンチャーという厳しい環境で鍛えられたならばと想像してみるとこれからの産業界の激動の動きが読めてくるかもしれない。

設立間もないベンチャーが既存の大企業の基盤を揺るがす勢いにあるのは、経験は浅いかもしれないが大企業では決して経験しえないような数々の修羅場を潜り抜けてきた結果としての経営力にあるような気がする。

これから潜在的に有能な人材がベンチャー企業を起こし自らの経営力を伸ばす傾向が加速し、ベンチャーが経営力という観点で大企業を遥かに凌駕する例が顕著になるだろう。

そうなれば経営力のあるベンチャーの中には、経営力は乏しいが資産価値ある大企業を飲み込もうとするものも出て来るだろう。それが自然の流れになろうというのが個人的な見解である。

2005 年 10 月 17 日 : シンクロニシティ

遠くの見知らぬ人が自分と同じように感じたり考えたりすること、シンクロニシティ(シンクロ)は珍しい現象ではない。音楽の世界では人びとの心の間でその曲を聴きたい気持ちがどれくらいシンクロするかで、それがヒットするかどうかが決まるという。(※ 「プロデューサーは次を作る」 小室哲哉 著 )

新しいマーケットを自ら創造する強力なパワーを持ち得ないとすれば、人びとの潜在意識に宿る心や気分の一端を探り当てることができたら良い。そんな気持ちを潜在的に持っていた人口に比例して、それは大きなマーケットに育ってゆくのではないだろうか。

今までは BLOG のように個人で気軽に情報発信するツールは少なかった。最近は Google に自分の考えや気分を表現するキーワードを打ち込んで検索して、世の中に自分とシンクロする人たちがどれくらい存在するのか知ることができる。また潜在的に同じように考えていたり感じたりしていた、見知らぬ人びとにメッセージを伝えてそれを顕在化させることもできる。

商品やサービスというのは、人びとの心のなかにある何かが動くから売れるのだろうという仮説を持っている。逆に言えば、最初から心のなかにないものは売れないという発想である。時代に伴い人びとの心も揺れ動くので心の変化は微妙ではあるけれど、基本は同じと感じている。でもまだその答は探索中である。

商売を創める時に注意しなければならないのは、その商品やサービスは潜在的に人びとの心に宿るものであるかどうかということ。それから、人びとの心とシンクロして共に大きなマーケットに育ててゆくことのように思える。