2005 年 10 月 28 日 : ソフトビジネスの本質
人生のすべてを賭けてベンチャーを創める以上、必然的に成功に導いてくれる原理原則を発見するのが先決だろう。起業する前からそう思っていた。
手掛けた業界はソフトウェア。ソフトビジネスとは、過去に存在し得なかった何らかのソフトを創造し、CD、DVD、ネットなどを媒体としてコピーして出来る限り多くのお客様に配布するビジネスである。
お客様にそのソフトが選択されるかどうかが最大のポイントである。世界中の限りないお客様から注文が入るに越したことはない。だから"お客様がそのソフトを買うエンディングシーン"がイメージできるか否か。鮮明にイメージできれば、ビジネスは自ずと成功するだろう。
1 万人中 1 番よりも 100 人中 1 番の人材の方が確率的に見つけ易い。しかし、ソフトビジネスの場合、100 人中 1 番を 100 名集めるよりも 1 万人中 1 番を 3 名集めて創める方が、成功する確率は桁違いに飛躍するのだ。
3 名が研究開発、マーケティング、デザインという、それぞれの専門分野で 1 万人中 1 番に秀でた人物であったとする。統計学的に 1 兆分 1 の確率でしか発生し得ない出来事だ。それが現実となれば、他では得がたいオンリーワンにしてナンバーワンのソフトが創造される可能性が限りなくひろがってゆく。
人がそのソフトを買う理由は明らかである。必要なのに自力ではすぐに実現できずマーケットにも存在しないからだ。100 人中 1 番の 100 名が創るソフトは確かに優秀なものである。けれども突出した何かに欠けるのも事実だ。それはソフトを全世界に流通させるためには致命的な欠陥なのである。世界の人びとが敢えてそのソフトを買う理由を見出せないからである。
ソフトは人によって創造される。それ故に、このビジネスで成功を収めたければ、一人でもいいから必要とされる専門分野に限定して構わない 1 万人中 1 番の逸材を求めること。この原理原則に従ってマイペースで行動できるかどうか。それが運命の分かれ道となるだろう。
2005 年 10 月 28 日 : Web 2.0
Web 2.0 というキーワードをよく耳にする。ネットで検索するとカンファレンスも開催されている。Web の使われ方が次の世代へと進化し始めているということらしい。BLOG 、SNS、Wiki などがその典型的な例である。
Ross Mayfield 氏が Web 2.0 の本質を "Web 1.0 was commerce. Web 2.0 is people" という風に一言で的確に表現している。BLOG もそうなのだが、人と人とのコラボレーションやその中から自然発生して生まれる智慧こそが貴重なもので、それが Web 2.0 の着地点だろうと思った。インターネットだから時と空間を超えて天文学的な数字の"智の連鎖"が生まれてゆく。
"量は質に勝る"と言われたりもする。Web 2.0 では、それが正しく当てはまるケースなのかもしれない。天文学的な数字に上る"智の連鎖"の中にこれまでに人類が目撃し得なかった"ダイヤモンドの輝き"を発見できたりもするだろう。
Web 2.0 ビジネスにおける勝者の条件とは何か?"Web 1.0 was commerce. Web 2.0 is people"であるのならば、そのネットに関与する人びとの多さではないかという見方もできる。世界の人口構成から言えば英語や中国語を母国語とする人が多い。
ネット上で表現される智慧は言葉と絵や写真などによって表現される。取り分け重要なのは言葉の問題であると思う。日本語を使う人は1億人を超える程度。世界全体の人口から言えば、60 分の 1 に過ぎない。極めてマイナーな領域と言わざるを得ない。
BLOG、SNS などの Web 2.0 の範疇に属するサービスが日本国内でも急激に人口を伸ばしている。これらのサービスも何れはインターナショナルに統合されてゆくのが自然の流れだと思う。けれども、この種のサービスを提供している国内のネット系 IT ベンチャーで英語や中国語で海外に向けて情報発信している例はほとんど見られない。
ブロードバンドが世界で最も進んでいる日本だけに、今の段階から世界を意識した Web 2.0 のビジネスチャンスは大いにある。そのためには世界的な視野でものごとを捉えてグランドデザインする姿勢が以前にも増して重要になってくるだろう。