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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2005年11月13日

2005 年 11 月 13 日 : 知の巨星

2005 年 11 月 11 日、20 世紀を代表する知の巨星、ピーター・F・ドラッカー氏が亡くなられた。ベンチャーを起業するにあたって経営学者の中では最も影響を受けた唯一の人物である。感謝の気持ちを添えて哀悼の意をここに表したい。

20代の頃、コンピューターや数学の勉強や研究に没頭する傍ら、経営学にも関心があった。それでドラッカー氏の著書は思索を交えて何度も繰り返し読んだ。

周囲は専門分野だけ学ぶ人たちばかりで、ドラッカー氏の著書を読んでいる人はいなかった。研究者や技術者が経営なるものに関心を持てば、視野も広がり新しい発明や発見に繋がるのではと思っている。

当然かもしれないけれど、強く印象に残っているのは次の言葉である。経営の基本中の基本と心得て大切にしている。

"企業の目的は顧客の創造である。したがって企業は 2 つの、そして 2 つだけの基本的な機能をもつ。マーケティングイノベーションである"

"マーケティングの目標は、顧客というものをよく理解し、製品やサービスを顧客に合わせ、自ずと売れるようにしてしまうことである"

"イノベーションとは、人的資源や物的資源に対して、大きな富を生み出す新しい能力をもたらすことである。経営者は社会ニーズを収益のあがる事業の機会としてとらえなければならない"

"顧客が価値を認め、購入するもの単なる製品ではない。それは製品が彼に提供してくれるもの、すなわち効用である"

けだし名言である。ドラッカー氏の著作からはこれ以外にも様々な経営の智慧を学べる。経営という世界においてドラッカー氏が遺した功績は永遠と言えるほど偉大である。

2005 年 11 月 13 日 : 未知の領域

生き物は環境に適応して育つと言われる。ベンチャーは起伏のある世界である。だからその環境に置かれた人はそれにともなって、自ずとダイナミックにのびるのかもしれない。"ベンチャー"という環境に身を委ねるから、新しい自分を発見し成長を実感できるチャンスにも巡り合える。

起業家は自分の財産を事業に必要な資金に充当するのが普通である。サラリーマンであれば仕事に必要な道具や資材、設備などは会社が用意してくれる。

言葉で表現すれば至極簡単である。けれども 2 つのスタンスには大きな違いがある。要は世界が全く違って映ってくるのだ。

財産でも家とか車とか、人にはそれぞれ自分が特に大切にしているものがあると思う。それと同じ感覚で事業を捉えることが自然にできる感じだ。

そんな環境で仕事をしていると事業にも愛着が生じてくる。結果的に創造した製品にもそういう気持ちの雰囲気が漂うものとなる。大企業にはないベンチャーの最大の特長かもしれない。それがいきいきと伝わってくる製品は支持され売れてゆくのだと信じている。だからその雰囲気をできるだけ大切にしたい。

それ以外にも、製品の研究開発、デザイン、マーケティング、販売、保守、それから経理、資金繰りなど様々なことを自分自身の力に頼るしかない。そういう環境に自分を置くので未知の新しい世界も切りひらかれるのである。

そういうプロセスを経て自然とベンチャー事業はひとり立ちしてゆくだろう。日本に暮らしているから日本語を不自由なく話せるのと状況は同じである。

その眺めを楽しんで天頂目指して、のびのびと果てしなく描かれる美しき軌跡のかたちを、こころにしっかりと刻んでゆきたい。