2006 年 03 月 21 日 : 空間ワープ
ベンチャーとは、全ては無から創まるビジネスだけに、既存の企業とは計り知れないほどのハンディがある。
けれども、これはどこの傘下に入るわけでもなく、独立独歩のスタイルでベンチャーを起業した者にしか理解し得ないことなのかもしれない…。
ハンディを乗り越えるツールはひとつだけあると思う。
誰もが持っているはずの"智慧"である。既存の企業を桁違いに凌駕するだけの"智慧"を振り絞って行動しなければ、独立系ベンチャーの命なんて一瞬のうちに潰えることであろう。
そうならないためにも、当たり前のことなんだけれど、意外に難しいのが"売れる状況"をどうやって演出するかである。
売れるものに共通する概念について徹底的に考え抜くことが大切だ。
地球の裏側にまで瞬時に空間をワープするほどの「これってなんとなくいいね!」という気持ち、感情、心の波形こそが、そんな売れる雰囲気を創り出すんだ、と僕は思う。
そんな心の波形のカタチって漠然としていて、直ぐに的を得た答も得られるわけでもなく、いろいろと想い描いているうちに儚くも時は過ぎ行く。
だけど、イマジネーションと共に流れる空間に身を委ねて時間を過ごすことで、突然アイディアというものは思い浮かぶのである。
多くの人は、ダイレクトに商品の効能を大々的にプレゼンして、成功を収めようとする。
正攻法である。
なんとなく別の方法がありそうな気がする。
曲を作ったり、絵を描いたり、文章を書くとき、心の欲するままに素直に表現するときに傑作って生まれるのではないだろうか。
事業として手掛けてるのはソフトウェア業。プログラミングの世界である。アルゴリズムとかややこしいものがあって、かなりロジカルなものに思えるかもしれない。
でもプログラムにしても、乗りに乗っているときなんかは、左脳じゃなくて右脳で直感的に創るスタイルになっている。そんなときに限っていい作品って生まれる。
いま創っているものを人々が手にした時、どんな気持ちになるのかイメージすると良いだろう。
その時、圧倒的にプラスの方向へと誘う感情を確かに見出せたなら、それは売れる瞬間がイメージできたと言えるのかもしれない。
2006 年 03 月 21 日 : 以心伝心
人の心はカタチあるものとしてイメージするなら、それは時間軸上に上下に振幅する波の形をした曲線のように思う。
気分の良いときもあれば悪いときもある。悲しいときもあれば楽しいときだってある。
人の心は緩やかにダイナミックに上昇したり下降したりしながら、波のカタチをして前進するものだ。
波は、数学的に波動方程式というもので表され、その解は sin や cos といった三角関数の合成で表現されると大学で学んだ。
単一の sin や cos が描く曲線はシンプルで単純極まりないけれど、それらを組み合わせると様々な形をした波が観測できるのが不思議ではある。
何事においても、きっとものごとの基本はシンプルでクールなのだ。
大学で数学を学んでいた当時、学問としては理解できたけれど、自分の人生においてどんな風に応用できるのか全く見当も付かなかった。
でも現実のビジネスの世界では、実際にそんな方程式を解くことによって成功したり失敗したりという感じがする。
具体的にはこんな感じである。
ベンチャービジネスで最大の難関は、ブランドも知名度も実績も無く如何にして研究開発したものが人々に選ばれるかという一点に尽きるだろう。
これは人の心の様相と密接に連動する問題である、と僕は捉えている。
音楽にしても、映画にしても、文学作品にしても、人々はそれを鑑賞することで心の波形に変化が現れる。
それがその音楽、映画、文学作品の波のカタチだ。
ある時、完璧な瞬間に、そんな波が人の心の波形とシンクロし共鳴することで波形は増幅する。
人の心と対象となるものの波のカタチを表現する、その二つの波動方程式に共通する解が見出された時、それはきっと選ばれるのではないだろうか。
二つの連立方程式に共通の解があることは、心とその対象のシンクロを意味する。
言い換えれば「それってなんとなくいいね」という思う瞬間である。
シンクロナイズされた共感のポイントを出発点として、新たな発見をし感動や感激といった心の高揚感を得る。
共通の接点から出発して、互いの曲線を辿ったときに新しい世界を感じることが出来るなら。そんな創造的なモノは、きっと人々から選ばれるに違いないし、ベンチャーを創めるひとつの理由と言えるかもしれない。