2006 年 01 月 09 日 : 波紋
遠いようですぐ近くにある少年時代の日々。
遥か向こうに見える川岸めがけて、小石を何度も何度も投げていた。
水面を石が何度か飛び跳ねて駆け抜ける時に、ダイナミックに出来上がってゆく、いくつかの同心円状の波模様。それらには飽きるのに困らないほどのパターンがあった。
石を投げる時のスピードや角度、石の形によって、実に多様な波紋を観察できたのを覚えている。
あたかもその瞬間に抱いた"思い"がそのまま様々に水面に映し出されるかのようだった。
同様に何度も繰り返される、単純そうに見える日々の仕事も、なんとなくそれに似ていると思えてくる。
近くからは全貌を知ることが出来ないのだけれど、改竄されない限り、遠くからはかえってはっきりと見えてしまうということである。
僕たちの外界と接触する最初の仕事は、創ったソフトについて伝えるべきメッセージをかたちのあるものに表現して、それをネットという空間に向けて投げかけるというものだ。
そのとき、ネットに映し出される波紋の美しさは、単純そうに見えるメッセージであったにしても、それに込めた"思い"によって天と地ほどの開きがあると思う。
間違いなく、メッセージに込められた"思い"はそれを読む人にダイレクトに伝わる。