2006 年 03 月 27 日 : Newtype
『機動戦士ガンダム』が放映されていたのは、1979 年から 1980 年。
かなり昔の出来事だが、今もなおその輝きは色褪せず逆に初めて知る人には新鮮な印象さえ与えるロングセラーになっている。
人をそんな風に『機動戦士ガンダム』に釘付けにさせるものは何なのだろうか?
初めて観てから四半世紀の歳月を経た今も、鮮明に記憶に残っているのは "ニュータイプ(Newtype)" というキーワードである。
『機動戦士ガンダム』では、独自の宇宙全体に及ぶ世界観を"宇宙世紀(Universal Century:U.C.)"という言葉に込めて表現していた。
物語の設定では、人類が"地球"という狭い領域から、"宇宙"という計り知れないほど広大な領域へと生活圏を拡大した時に"変革"が起こるということだった。
古いスタイルから新しいスタイルへと変革した人類のことを指して"ニュータイプ"と定義した。
"ニュータイプ"の特長とは、動物が本来持っている直感(感性)というものに磨きが一層かかり、遥か彼方の遠く離れていても、時空を超えてテレパシーのようなものでお互いに認識し理解しえることである。
「何も言葉を交わさなくても瞬時に理解しあえる」という才能に人々はきっと憧れを感じるんじゃないだろうか。そして、その能力をどうやって身に着けるかということに空想を馳せてみたりする。
インターネットを駆使するビジネスでは、直接会って話をする訳でもないので、果ては地球の裏側にまで遠くにいるお客様の心を"ニュータイプ"の如く理解できる才能というものが今、求められている。
『機動戦士ガンダム』では、"地球"から"宇宙"へと旅立つことで、それまでは眠ったままだった頭脳の一部が活性化されることで、"ニュータイプ"は生まれるということだった。
それは架空の話ではあるけれど、現実の世界では人々の頭脳はほんの数%しか使われていないらしい。残りの 90 %以上の頭脳は眠ったままである。どうやってそれらを覚醒させるかであるが、その決め手は環境であることだけは確かなような気がする。
* 中国の古典「淮南子」(紀元前2世紀)によれば、「往古来今これ宙という、天地四方上下これ宇という」ということである。「宇宙」の「宇」は空間、「宙」は時間を意味し、「宇宙」=「時空」ということになる。
** 「世界」の場合、「世」は過去、現在、未来の「時間」を意味し、「界」は東西南北上下の「空間」を意味する、仏教の言葉であるという。「世界」も「時空」である。
*** 語源を辿れば、「宇宙」や「世界」というものに対する認識も大きく変化するから不思議である。紀元前の時代に、時空という概念が世界に先駆けて東洋の地に既に存在していたことはとても興味深く、僕たち東洋の人たちが大切にすべき思想ではないだろうか。