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2004 年 12 月 24 日 : Communication −考察−

いまから6 〜 7 年前、総勢 170 名に達するくらいのプロジェクトを指揮するリーダーをしていた。現在より量的にスケールの大きな組織だった。

当時、いろいろと苦い経験を味わった。さまざまな貴重な教訓も学んだ。なかでも、組織が急拡大するにつれて、コミュニケーションをどうやって効率化するかについて考えさせられることが多かった。

海外展開を視野に入れてソフィア・クレイドルというベンチャーを経営している。現在は十数名の小規模な組織だが、もっと大きな組織になっても通用するようなコミュニケーションのインフラを整備しておきたい。

備えあれば憂いなし。

いまの段階から将来に向けて磐石なものを構想しておきたい。

スケールの大きな仕事をしようとすれば、多様な才能を持つ、多くの人たちとのコラボレーションが必要となる。有能な人材をたくさん集めることができれば、それだけ大きな仕事がこなせる。

プロジェクトに関わる人が増えてくると、同時に、コミュニケーションのボトルネックというものが生じてくる。これは成長する組織が避けて通ることのできない道でもある。

大規模な組織では、人と人とのコミュニケーションをどうやって最適化するかということが厄介な課題となる。ごく普通の当たり前の話かもしれない。でも、これを本質的な問題として受け止めて、その対策のために、具体的な行動へと繋げている経営者は意外に少ない。

大規模な組織になった時、その運営の効率を最適にする術とは――「いかにして無意味なコミュニケーションのための時間や手間を減らすか」なのである。

実際に作業をする時間よりも会議の方が長いというのも、あちこちのプロジェクトで日常茶飯事のことのようだ。言うは易しであるが、解決するためにはどうしたらいいのだろうか。これは次のような簡単なたとえ話から、示唆を得ることができると思う。

日本人とロシア人がいてコミュニケーションをとろうとしたとする。でもお互いに相手の母国語を知らなければ、先に言語を学ばなければならないということになる。そのため肝心のコミュニケーションに辿り着くまでに、相当の時間がかかってしまう。

お互いに共通の言葉として英語が分かるのならば、直ぐに本論に入ることができる。つまり、両者が、コミュニケーションに必要なバックグラウンドを共有していればいるほど、そのコミュニケーションは短時間でありながら最高の結果に近づいてゆくことになる。

仕事の場合も、スタッフ同士が、必要な知識や智慧、ノウハウなどについて、多く深く、知っていればいるほど、無意味なコミュニケーションの量が減り、仕事はそれだけ上質なものとなる。阿吽の呼吸という表現でよくいわれる。

ベンチャー企業であれば、日々の業務に追われてしまって、物事や相手のことを知る機会や時間が減りがちである。それに注意しなければならない。具体的な仕事よりも勉強や研究や懇親のため、最初は仕事のペースが落ちてしまう。

だが、急がば回れということで、まずは仕事の基盤となるものを学ぶことを第一にしたほうがよい。指数関数曲線を描いて成長するための重要なヒントである。

そのために、企業理念、ビジョン、そして行動指針がある。