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2006 年 03 月 24 日 : マーケティング

「企業は、その目的が顧客を創造することであるがゆえに、二つの、いや二つだけの基本的な機能をもっている。それはマーケティングとイノベーションである」とP.F.ドラッカー氏はいう。

たった二つの基本機能しかないにも関わらず、冷静に周囲の企業を見渡せば、二つがバランスの取れた企業は滅多に見掛けない。

マーケティング、もしくはイノベーションのどちらかに甚だしく傾いているのが現状ではないだろうか。

P.F.ドラッカー氏のいう、マーケティングとイノベーションのバランスを僕は何よりも大切にしている。

根本的な原理原則にも拘らず等閑にされていることは、他と比較して相対的に百戦百勝の勢いで経営するための能力を獲得したに等しいからだ。

ソフトウェア業界では、技術志向の企業はイノベーションに没頭するあまり、マーケティングが貧弱である場合が多い。

ソフトウェア業界のサイトについて、デザイン、文章、構造、ナビゲーションなど、どうだろうか?

これはよく出来ているということで、それを参考にしてサイトを設計し構築したいと思えるのはごく僅かではないだろうか。

昨年サイトリニューアルのためにいろんなサイトを研究していた頃、僕はそんなサイトをソフトウェア業界に見出せなかった。

デザインが良かったり、製品情報以外に役立つ情報を発信をしていたり、製品マニュアルを公開していたり、製品価格を公開していたり、日本語だけでなく英語のサイトを公開している例はあまり見当たらない。

この業界はそのような切り口では競争レベルが極めて低いと言えるかもしれない。

確かにプログラミングを趣味とし得意とする者にとって、テクノロジーの追求は楽しいものである。だけど、たとえ世界に誇れるほど、もの凄い技術が生まれたとしても、それが売れなければそれは自己満足でしかない。

人々に好んで選ばれ売れ、そして使われることに意味があるのであって、未来への飛躍はそれを起点にして創まるのである。

ソフトウェア業界では、他の会社がマーケティングが等閑になっているだけに、ほんの少しそれに努力を傾けるだけで収穫は予想以上にあると思う。

それはこんな例えが分かり易いかもしれない。100点満点で、数学が 90 点、英語が 5 点であったとする。

上限が 100 点であるだけに、数学を 95 点にするには大変な努力が要求されるが、英語を 10 点にするのは容易い。しかも前者は相対的に5%弱の点数の上昇に過ぎないけど、後者は 100 %の点数の上昇なのである。

5 点であるマーケティングに少し注力し、10 点にまで向上させる努力で得られる成果は桁違いに大きい。