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2005 年 10 月 18 日 : 営業戦略

トップセールスと称されるスーパーマンもいるが、一般に営業ほど生産性が低く不安定な企業活動もないのでは、と常々思っていた。ベンチャーは社長が先頭に立って精力的に営業活動を展開すべしと指南するコンサルタントも多い。

実際、世の中の傾向としてよく見受けられるのが、社長自ら現場に出向き営業活動を推進する姿である。さすがに創業初年度は経常黒字を死守するためにそんな風に営業する日もあった。

次第に分かってきたのは、社長が営業活動する限り社長の営業力以上に売上が伸びるのは難しいという仮説であった。普通のレベルで営業をこなせるとは思う。しかしそれ以上に自分が目指したい仕事が他にあった。時代の先を読み、それに基づいてシステムを構想し計画し実現するというような類の仕事である。

たとえ私がいなくとも何十年にも渡ってオートマティックに通用するビジネスモデルを構想しシステムとして実現すること。長期的な視点に立てば、目先の現金を追いかけるよりも、このアプローチが先決であると考えた。

創業3年目からは営業部を解散し、社としての営業活動はゼロとなった。その分、スタッフが持っているノウハウをできる限り Web のシステムとしてプログラミングした。現在も進行中ではあるが、ありとあらゆる創意工夫を凝らした結果、営業活動をしなくとも Web 経由で世界中から問い合わせや注文が自動的に入ってくるようになった。

インターネットというチャネルを通じて、これなくして築けなかったお客様との関係が時と共に深まり増えている事実に不思議さを感じる。営業解散という宣言をしなければ、今とは違う展開になっていたことは想像に難くない。

ベンチャーにも関わらず、営業活動をしないというコミットメントには一種の勇気が伴うものである。けれどもそういった決断から新たなる活路が拓かれるのも事実であり、ベンチャー的な行動として評価できると思う。

営業をしなくても十分に回るシステムを創った。ソフィア・クレイドルの企業活動の生産性は高いほうではないだろうか。完全週休二日制であるし、休日に出勤する者、徹夜して働く者は誰もいない。それに乗じて、受注、出荷、サポート業務のコンピューターによる自動化もいま進めている。

全自動洗濯機みたいにコンピューターとインターネットを用意するだけで、商品が自然に売れる仕組みを考案し、システムとしてインプリメントしようと心掛けた。簡単な仕事ではない。けれども、そういったことができるんだという思いから何ごとも始まる。

営業のために外に出向く必要がないということは、それだけ余分に物理的な時間と精神的な余裕があるということを意味する。時間は地球上の誰にも平等に与えれる資源である。時間という限られた経営資源をどうやって有効活用できるかで運命が決定付けられるとも思える。