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2005 年 03 月 09 日 : システマティックなアプローチ

口コミとは「人の口から口へ個別的に伝えられるコミュニケーション」(新明解・国語辞典、三省堂)と定義されている。また「WEDNESDAY DREAMGATE マガジン vol.19」では、『「顧客満足の連鎖反応」、つまり「地道に顧客の期待に応え続けた結果として発生するもの」という認識も重要である』というような解説がなされている。

期待を遥かに超えるような新しい満足感をお客さまに提供することができれば、その商品やサービスはお客さまの間で語り継がれ売上と利益が飛躍する傾向にあると一般にいわれる。だから、ベンチャー経営では最初のお客さまにどれだけの満足感を創造できるかが初めの大切な第一歩であり、その姿勢を維持継続することで繁栄の道が切り拓かれてゆく。

例えば、あるお客さまにその商品またはサービスに期待以上の満足があり、そのお客さまが平均してr人の新規のお客さまを紹介してくれたとする。この口コミのプロセスが延々と続くとするならば、その商品またはサービスのトータル売上R(Revenue)はその単価を@として、数学的には次のような、初項が@、公比がrの等比級数の数列の和という極めてシンプルな数式で表現できる。

R=@×(1+r+r×r+r×r×r+r×r×r×r+・・・・・・・・・・・・・・・)

        n
 =@ ×   r^(k-1)
       k=1

 =@ × (r^n−1)/(r−1)   (注) r^n の意味: rのn乗、即ちrをn回乗じた値

この数式で大切なのは『』がとり得る値の範囲である。もし『』が『1よりも小さい』のであれば、「n→∞」とした時、Rの値は以下の式で表される数字に収束することになり、結果として売上は頭打ちの状態に陥ることになる。

R=@×1/(1−r)

しかし、『』が『1以上』であればRの値は『∞(無限大)』に発散するので、売上Rは指数関数的に伸びるという結論に到達することができる。

以上のことから言えるのは、その商品またはサービスを購入したお客さまがとても満足し、新たなお客さまを常に1人以上紹介してくれるようなビジネスモデルの構築ができれば、必死に営業せずとも自然にその企業は永遠に無限の発展を遂げることになる。

そのようになれるかどうかの分かれ目は、最初のお客さまにどれくらいの満足感を提供できるか、そしてそのプロセスを繰り返し継続できるかどうかというポイントにありそうだ。商品やサービス、お客さまとの対話など一連のビジネスサイクルに含まれる全てのプロセスに妥協することなく、クオリティを最高水準のレベルに維持しようとする思いこそが全てを決定するような気がする。

追記:

ソフトウェアライセンスビジネスの場合、ネット経由でサーバーから商品であるソフトウェアを配信するビジネスモデルが構築できれば、売上の本数が何本になろうがその経費C(Cost)はほぼ一定である。

とすれば、その時の利益率P(Profit)は次の数式で表現することができる。

P=(R−C)/R=1−C/R

もし『r≧1』であるならば、『n→∞(無限大)』即ち時間の経過と共に、『R→∞(無限大)』にも関わらず、Cは一定の定数だから『C/R→0』だから、『P→1』ということになり、経常利益率が100%に近づいてゆき、高収益な企業体を実現できる。

そんな企業になれるかどうかも、お客さまが必ず人に紹介したいと思えるほどのクオリティの高い、商品やサービスを創造し、お客さまと良き関係が築けるかどうかが全てだろう。