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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Mobile Industry

2007 年 06 月 26 日 : マルチウィンドウに対応した BREW

『 BREW に関する Google ニュース アラート 』によれば、『 マルチウィンドウに対応した BREW 4.0 』がまもなくリリースされるらしい。

弊社では、2002 年 8 月 1 日に『 ソフィア・クレイドル、BREW 向け GUI フレームワークを開発 』というプレスリリースを発表している。

今から 5 年程前に BREW 上でマルチウィンドウを実現していた。営業活動なるものを一切していないので、実際にご利用いただいているのは一部の先進的なお客様に限られているが、概ね満足していただいているものと思う。

現在は、単なるマルチウィンドウに留まらず、アプリケーションを全体的な視点から展望した上で様々な最適化を施している。

アプリケーションのスピードやメモリ使用量だけでなく、時と共にアプリケーション自体がスムーズに進化できることも含めてである。

  

2007 年 06 月 21 日 : SAX Parser for BREW

BREW 携帯電話で、Amazon のサイトから XML 文書をネット経由で取得して処理する BREW アプリ(本棚アプリ Books Application )を公開した。

SAX パーサーを使っているのが最大の特徴である。

BREW 上で SAX パーサーを実現している会社や団体は他に存在しないので、BREW では世界初の SAX アプリかもしれない。

Webサービスでやり取りされる XML 文書を処理を処理するためには、その文書がどんな構造になっているのかを解析する必要がある。

そのためのソフト技術として DOM パーサーと SAX パーサーがある。

DOM パーサーでは、XML 文書を DOM(Document Object Model) という木構造の形式で文書全体をメモリ上に展開して処理する。SAX パーサーでは、SAX(Simple API for XML) という API によって XML 文書を先頭から順番に読み取って処理する。

SAX パーサーの場合、文章を一行一行読んで処理するので、 DOM パーサーに比べるとメモリ消費量がきわめて少ないのがメリットと言える。

実際に、BREW プロファイリング ツール Bleuet de BREW でメモリ消費量について調査した。

その結果分かったのは、解析対象の XML 文書にも依るものの、DOM パーサーで 300 KB 必要だった処理が SAX パーサーでは 3 KB の場合があるということだった。

国内の高機能携帯電話では、300 KB といっても問題にならないサイズかもしれない。けれども、海外のマーケットを見渡せば、300 KB のメモリを持たない携帯電話も多数存在する。

世界全体で考えると、日本のマーケットは 10 %にも満たない。だからマーケットの大半は、日本の状況とは全く逆であると考えるべきだと思う。

そういう意味において、高機能携帯電話に合わせてソフト技術を研究開発するのではなく、グローバルスタンダードとも言える携帯電話で、利用可能なソフト技術を、シンプルに創造するのがベターではないだろうか。

  

2007 年 06 月 15 日 : 携帯にもXML

最近、最も力を入れて研究開発しているのは、携帯電話で XML を処理するためのインフラの構築である。

XML とは、異なるシステムやソフトウェア間で情報を交換するためのデータ標準化技術。

世界中に氾濫する膨大な情報が XML で表現され、それらの情報を交換する手順(プロトコル)も XML で記述されるようになった。

企業の情報システムに限らず、Google、Amazon、News、… 様々な情報が、 XML という技術を使ってネットを駆けるようになってきた。

しかしながら、携帯電話からそれらの情報に簡単にアクセスできる術は無きに等しい。

携帯電話でそれが実現できれば、ネットに繋がった情報によって、新しいジャンルのアプリケーションも生じるかもしれない。

そして携帯で XML を実現すれば、ネットに繋がった多種多様なコンピューターを携帯電話から自由自在に操作できる新しい世界がひろがってゆくだろう。

  

2005 年 12 月 04 日 : マーケティングセンス

名人級の漁師ならば、潮の流れや色の変化からどこにどんな魚がいるのかほぼ 100 %の確率で言い当てるという。

そんな風に、現実のビジネスでも経営者のビジネスのニオイを嗅ぎ分けるセンスが企業の明暗を決定づけると言ってもよい。だからこそ、経営者たるものビジネスセンスを磨く努力は欠かせない。

KDDIの携帯電話のプラットフォームは米国クアルコム社BREW

2003 年 2 月に初めて東芝製の BREW 搭載携帯電話・第 1 号機種が出荷された。それ以来、徐々に BREW が搭載された携帯電話も増えつづけ、既に 1400 万台を突破している。今では、NTT ドコモも BREW 搭載携帯電話を出荷している。

BREW が国内で出荷される 1 年前からこのソフトビジネスを展開している。今ではそれが本業といってもいいくらいに力を入れている。最初の頃は、国内でこのビジネスに参入している企業は皆無だった。モバイル業界ではほかに儲かる領域が至るところにあった。

でも、このビジネスに参入した。何故ならば、 BREW というプラットフォームは必ず世界中に拡がるという直感ともいえる閃きを感じたからだ。将来は定かではなく、さらにペースに想定外なこともあった。今では確実に全世界で普及が進んでいる。

当初、普及のスピードは遅かった。ともすれば誰しもが途中で諦めるような事態は何回もあったが、未来を信じて前へ進んだ。

何故 BREW がこれほど普及すると感じたかについては、例えばアートに触れたり音楽を聴いたときにそれをしっかり見極めるセンスに似ていると思う。だから、これは技術者が BREW というものを自分なりに学んで、将来のビジョンを想像した結果とも言えるだろう。

周囲の人を見ていて思うのは、いろんなケースについて未来を予測する訓練をしている人が少ないということ。そんなセンスも訓練次第できっと伸びてくる。様々なシーンをイメージしてみることを繰り返してみよう。きっと未来は素晴らしい景色として映るだろう。

  

2005 年 11 月 11 日 : 海外マーケット

最近、海外のマーケットが少しずつ動いている気配を感じる。

先月はフランスに本社を置くヨーロッパ最大手のゲーム会社がソフィア・クレイドルのソフト技術を採用した。韓国のハイテク IT ベンチャーにも既に実績がある。

昨日は UK のゲーム会社から、

"You have a great product, it has shown some impressive results, when comparing it to competitive products."

というメールをもらった。

それから、US のハイテク IT ベンチャーと共同である仕事をしている。これについては近日中に発表できる見通し。

欧米以外では、インド、中国、ブラジル、韓国、インドネシア、ベトナム、タイ ・・・ という国々からも日々問い合わせが入ってくる。

海外のモバイル関連マーケットが徐々にひろがっているというのが今の実感である。最初から世界マーケットをターゲットにこのベンチャーを起業したので、確実に成果をあげたいと願っている。

  

2005 年 10 月 27 日 : モバイル FeliCa

FeliCa (フェリカ) とは、「偽造・変造が困難なため安全で、スピーディーにデータ通信できる、ソニーが開発した非接触 IC カード技術」である。FeliCa は、そういった性質を持つため、プリペイドカード、銀行カード、クレジットカード、学生証、定期券、チケットなどいろんな用途が想定されている。

この秋から、NTT ドコモ、KDDI、vodafone、全ての携帯電話キャリアがモバイル FeliCa のサービスをスタートする。今、ほとんどの人にとって身近な存在ではないけれども、10 年前に携帯電話がそんな存在であったように、モバイル FeliCa も 3 〜 5 年後には有って当たり前で誰もが日常生活で使うものとなるだろう。

それには、携帯電話にコンピューターとしてのハード的な能力が十分に備わって来たという背景がある。FeliCa は安全に情報を保存できるメディアに過ぎないというシンプルなモノであるだけに、ソフトの数だけ応用分野が新たに開拓されるだろう。

これまで、そのような未来潮流を意識して、携帯電話サイズのコンピューター向けソフトをスピーディーに開発するための、世界を革新するインフラの研究開発に 4 年の歳月を費やした。クオリティの水準を維持するために少数精鋭の開発にならざるを得ず多くの時間を要した。モバイル端末を使った人びとの生活品質向上の鍵を担うものは、多様な価値あるソフトを開発するための桁違いにクオリティの高いインフラだと考えたからである。

ようやく収穫の時期を迎えようとしている。過去には短期的な儲けの道を選択することもできたけれど、世界的インパクトある仕事を成し遂げるということを何よりも優先させた。それ故にこれまでの成果を着実にかたちあるものにするつもりでいる。

  
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