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2005 年 08 月 09 日 : Lifecycle

マーケティング理論によれば、製品には導入期、成長期、成熟期、衰退期といういわゆる製品寿命があって、それを前提とした戦略と戦術の策定と実践が重要であると言われる。ただ、過去の歴史を振り返れば、永遠に成長期であったり成熟期であったりするモノが存在するのも事実なのだ。音楽や絵画、或いは楽器や車などマシンも"古典"と呼ばれるような作品は、あたかも時が止まったかのように何百年もの時を経ているのに、今もって健在で生きいきとして魅力を感じることができる。

何ごとも思いから始まる。そんな"作品"と呼べるくらいの超一流の製品を創造することが出来て、それが人間の寿命を超越して永遠に近いほど存続しえるとすれば…どれくらい素晴らしいことだろう。これこそがお金に換えることすら叶わない究極の価値であり、人生を賭けて打ち込む理由もそこに見出せる。

確かにそんな偉業を成し遂げるのは簡単じゃないと思うけれども、モーツアルトやピカソのような作品が過去の事例として存在する以上、可能性は決してゼロでない。むしろ逆に無限の広がりのようなものがそこにある。

IT業界にこの身を置いて、ドックイヤーとかラットイヤーとか言って慌しく節操無く動いている業界構造そのものに何となく違和感を感じざるを得ない。日々、海岸に押し寄せては引く波間のうたかたのように多種多様なインターネットのサービスが生まれては消え去ってゆく。でもコンピューターやインターネットの原理自体は何十年間も全く変わっていないし、それを使う人間も"ニュータイプ"に革新したわけでもない。

製品とはそれを利用する人間がいて初めて用を為す。生物の進化の時間は私たちの寿命を遥かに超えてゆったりと流れている。人間そのものが変わるにはきっと何万年以上もの時が必要なのだろう。それくらい時の流れは雄大であって、製品開発のヒントも、そんな風に人類の進化を見つめたり、永遠の寿命を持つものにロマンや憧憬を感じたりするところに隠されているように思う。