2005 年 07 月 27 日 : Identity
スポーツ、音楽、絵画などのアーティステックな分野では、"超一流"と言われるものほど、概してそれぞれに他と明確に異なる何かが必ず存在するものだ。例えばモーツアルトに似た誰かのことを聞かないし、イチローと同じような人も見たことはない。"超一流"という概念は真似が及ぶ範囲外の世界であるかに思えてくる。
ビジネスの世界でもきっとそれと同じことだろう。"超一流"の仕事を成し遂げようとするならば、真っ先に心掛けるべきは自分独自のオリジナリティを発掘し育成するという視点からものごとに臨む姿勢ではないだろうか。
ベンチャービジネスを創める動機としてお金儲けから入った場合、自分を取り巻くマーケットの情勢に否応なく従う傾向が拭い去れないだろう。ビジネスという観点からそれは至極当然なことではある。しかし、マーケットに流されて単に儲かるからという理由だけで創めたビジネスで、歴史にその名を刻むまでになった偉大なサクセスストーリーは未だ聞かれない。
創業当時から感じていたことは、現在のマーケットがどんな構造になっていようが、自分の才能が最大限に発揮できるジャンルに特化して拘り、それに徹して没頭するのみというアプローチこそが、"超一流"のアウトプットを生み出すコツに違いないという確信だった。
それでは時代のトレンドを超えた領域に踏み込んでしまって、現在の人々のニーズやウォンツとシンクロしないかもしれない。だが、自分のミッションを果たし有意義な人生を全うするという目的を達成するためには、他と一線を画すオリジナリティの発揮は欠かせない。それは必ず自分自身の中に存在しているのだと信じ、発見しようと試みるのも、ある意味では有効な方法だろう。
"時"は過去から現在、そして未来へと果てしなく永遠に流れゆく。その潮流には無限大のひろがりがある。だから自分の感性が人々のそれとシンクロする"時"が何時か訪れるだろうという予感だけは確かにある。
追記:
広大な世界において、唯一無比と確実に言える、他から自分を識別するための Identity とは一体何なのであろうか?ベンチャーが飛躍するか否かの第一の関門は得てしてそんな単純な問い掛けへの明快な解答にありそうな気がする。