2006 年 03 月 23 日 : Prelude
ハードからソフトへ。
いま僕たちは、旧時代から新時代へと移り変わる狭間に置かれているようだ。
手掛けている事業がソフトウェアだけにより一層増幅されたイメージが脳裏に描かれるのかもしれないが。
もし仮に時代がそんな変革の時期を迎えているとするならば、僕たちのようなベンチャーにとっては千載一遇のチャンスであり、これを逃す手はない。
果たして一体全体どうすれば時代の波を捉えることができるか、である。
ひとつのヒントは「ソフトウェア」というものの性格を辿ることで、時の本流へと合流できそうな予感が微かにある。
ソフトウェアの一種であるプログラムは、人の頭脳の中に想い描かれた様相をアルファベットや数字などの記号で表現したものである。
突き詰めて考えてみれば、極めて精神性の高い仕事であり、人の心を映す鏡のような存在と捉えることもできる。
だから、プログラミングの仕事で感動や感激を呼び起こすほどの立派な成果を挙げようとするのならば、それに携わるスタッフの精神状態こそが全てである、と僕は考えている。
それは、どうすれば理性、知性、感情、感性などの心のコンディションをベストな状態に保てるかということである。
自然界で見かける生命の姿には、伸び伸びと活き活きとした雰囲気が感じ取れる。
そんな生命はどんな宿命を持って生きているのだろうかということを考えてみたりもする。
おそらくは、自分に与えられたミッションを全うすべく、ただ周囲の環境に身を委ねて川が流れるように自然に振舞っているのではないだろうか。
誰しも心のなかに、人それぞれにユニークな夢や希望がきっと潜んでいると思う。
ソフトウェアとは、プログラミングの場合、そんな夢や希望をアルファベットや数字という記号で表現したものである。
心に想い描いたイメージをどれだけ正確に素直に記号で表現しうるかが最大のキーファクターである。思っていることを文字や記号で表現するのは極めて難しいのだけれども、どうすればそれを達成できるかなのだ。
それこそがソフトウェア業で曲りなりにも生きてゆくための条件となる。
自然の世界と対比して得られる発想とは、ソフトウェアという性格故に、個人的に心底信じるものをとことん追究する姿勢だけが道を拓けてくれるという信念である。
それは自分にとって最高傑作といえる何かを創造する上で、前奏曲に相当するものかもしれない。