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2006 年 06 月 12 日 : 語り継がれる名演

音楽 CD の中には、語り継がれるような名演を収録したものが時々ある。

それは一夜一回限りの演奏だけれども、世界中の人々からその後何十年にも渡って永遠に鑑賞される音楽である。

歴史的には過去のたった数時間の演奏に過ぎないものが、そのままずっと残っている。少なくとも当分の間は人々の記憶から消えそうにない。

勿論、実際にその曲が演奏された現場の生の音楽と比べるべくもないけれども、何分の1かの余韻は続いてゆく。

ソフトウェアの仕事もこれに近いように思っている。

企画、設計、プログラミング、テスト・・・のサイクルが何度も何度も繰り返されて完成度を飛躍させてゆく。

ソフトウェアはそんな性格を帯びたカタチの見えにくい、認識しがたい存在である。

音楽と同じく、ソフトウェアも数え切れぬ程の作品が創られては消えてゆく。

ほんのごく一部の傑作だけが長きに渡って使われ続ける。

もっと多くのソフトウェアがそのような扱いをされても良いのにと思うけれども、実際のところ、それはきっと単にそのように創られていないだけの話であろう。

会社を経営しているといろんな制約や誘惑がある。思い通りに行かない場面も当たり前なほどである。

その時、重要になってくるのは経営のポリシーではないだろうか。

目先の利益のために、いま研究開発しているモノの寿命を短くするようなことをしていないだろうか。

宇宙の時間軸からすれば人生はほんの一瞬に過ぎない。

集中力を高めて、妥協なきほど考え抜かれた研究と実践の過程から生まれるコンセプトやセオリーには、語り継がれる名演に相応しいものもあるかもしれない。

ソフィア・クレイドルでは、仕事というものをそのように定義している。