2005 年 05 月 17 日 : Core concept -13-
音楽家、作家、画家などのアーティストと同様、プログラマーの業界にもそれに近い雰囲気のトレンドのような兆しがこの日本においても体感できつつある。そこにある種の真新しいビジネスチャンスが隠されていると信じている。
携帯電話に一昔前のパソコンに搭載されていたような性能を有するCPUが搭載される時代だ。近未来においてその勢いは益々高まり、想像すらできない身の回りの機器にまでCPUが組み込まれてゆく。その時人々の生活が便利に楽しく豊かになるかどうか?それは、さまざまな機器に組み込まれたCPUを直接制御するソフトウェアの機能性とクオリティに掛かっているといっても過言ではない。
生活に身近なありとあらゆるモノにCPUが組み込まれ、ソフトウェアがプログラミングされオートマティックにインストールされる。そしてそのソフトウェアは、名も知れぬ人々に無意識のうちに利用されゆく。これは掛け替えの無い生活というものに密接に絡んでくる問題だ。それだけに、人の感性にシンクロするようなものだけが長く生き残り使われる世界へと移り変わってゆくのだろう。音楽や絵画と同様に、ソフトウェアも人にとって心地よい旋律や色調を醸し出す空間を構成するのものが選ばれる時代がやって来るだろう。
その意味において大切に心掛けねばならないのは人の感性を第一にして他と一線を画するものをどうやって創造するかということ。インターネットが世界中の隅々まで張り巡らされたいま、真に優れたソフトウェアは、光速のスピードでさまざまな情報機器にネット配信することができる。一つのソフトウェアが何十億台もの情報端末に瞬く間にネット配信されることも充分に有り得る。新しい現実が目前に迫っている。
そんな時代になってくると、たった一つだけの存在に過ぎないとしても、人々にとって何らかの理由で真に価値があり役立つものであれば、一瞬にして局面が良い方向に切り替わる、過去に人々が経験し得なかった世界になるだろう。ある意味では心躍るフェーズの連続かもしれない。
国内の音楽業界で最も売れている一人の、或いは一組のアーティストの年間売り上げが100億円程度だったりする。将来的にはソフトウェアの世界もこんな感じで、他よりも群を抜いて秀でたものを創作し、ネットで配信することができれば一人のプログラマーがそれに近い世界を創れるようになる。海外のマーケットに進出できれば、そのビジネスポテンシャルは想像できないほど膨大なものとなろう。
だからこのビジネスで成功するための必要不可欠な秘訣は、数多くの作品よりもたった一つでもいいから、世界の人々に最高傑作と自ら誇れる作品を生み出すことであり、具体的にはそれを現実とするノウハウを獲得することであろうと考えている。
(つづく)
追記:
ソフィア・クレイドルで研究開発された、ソフトウェアテクノロジーは国内で何千万台もの携帯電話上のアプリケーションに組み込まれている。ゲーム、音楽配信、電子マネー、スケジュール、地図など多種多様な用途で人々に使われている。
オリジナルのテクノロジーは指折り数えられるくらいの種類に過ぎない。しかしながら、実際に利用されているシーンは、数え切れないくらい莫大な数に上る。
それ故にたった数種類ではあるが、そのテクノロジーの機能やクオリティを2倍、3倍…と向上させるだけで、利用されている数が多いだけにトータル的には何千万倍、何億倍もの大きなバタフライ効果がもたらされる可能性がある。視野を広げ世界マーケットを展望するならばそれは想像を絶するくらいの大きさかもしれない。
インターネットの特色はコンテンツをストックし、それを無制限にそして永遠に再生し配信し得る点にある。選ばれし者にとっては全く持って都合の良い話ではある。しかしそれはほんの一握りでしかない。その厳しき現実を前提に、日々より良きものを創作する努力を欠かさないことが頼れる全てではないかだろうか。
日本では多角的にいろんな事業を起こしたり、M&Aしたりして、事業を拡大するやり方が世の中の大勢を占めるているようだ。でもシンプルにたった一つの事業に的を絞りそれを広く世界規模で大きく育てるアプローチも大切にすべきだと思う。