2005 年 04 月 30 日 : Core concept -9-
ゴールデンウィークだから会社は休みなのだが…。結果的に仕事をしていることになるのかな?USやUKのアントレプレナーたちとメールでコミュニケートしている。慣れない契約の英文に少々悩まされてる。スタッフはゆっくり休暇を取れてるようだ。社内のメーリングリストは平穏を保っている。
過去、仕事として数々の製品やサービスを手掛けてきた。売れてヒットし歓喜に酔いしれる傑作もあれば、その一方で残念ながら全く売れない駄作もあった。振り返れば両極端ではあるが、その差は一体何なのだろうか?どこにあるのだろうか?製品の機能としては何ら申し分無いんだけどマーケットから評価されないものが意外に多い。ほんの紙一重の差なのに、言葉では表せないその壁を越えられない製品が巷には溢れんばかりだ。思うに、そこそこのモノなら創れるのだが、本当に売れるレベルまで到達しているものは極めて少ないということかもしれない。
その製品やサービスが売れる最終的な決め手は何なのだろうか?
この根本的な問題について、その本質が見抜けるかどうかでその商売が繁盛するか否かが決定付けられるように思えてくるのだ。真に良いモノを創り正しくお客さまに告知できれば、黙っていても売れるという信念が心に刻まれている。
華あるアーティストのコンサートのチケットはそう簡単には手に入らない。アリーナなら尚のこと。プラチナチケットというものはそのアーティストのファンであればあるほど、そして希少価値があればあるほど頭を下げてまでも欲しい。オークションで正価よりも遥かに高い値段でも手に入れたいと思うだろう。アーティストにとってはこれほど仕事冥利に尽きることはないかと思う。それがアーティストの心の深淵まで打てば響くポジティブフィードバックをもたらす。そして更なる傑作の創作に繋がるのではないだろうか。
私はそこに21世紀型ビジネスの本質が見え隠れしているように思えて仕方ない。同じ音楽というジャンルの中で数多ある曲の中でも人々の記憶に残る名曲もあれば忘れ去られる曲もある。長期的にヒットする曲はそうなるべくしてヒットしているようだ。その最終的な決め手は「フィーリング」だと言い切れる。なんとなく好きだから、訳もなくいいと感じるから、人はその曲を買うのだ。自分の感覚や感性に言葉でうまく表現できないけれども、違和感無くフィットするという理由で大半のモノが選ばれ売れる時代になってきたと思う。機能や効能だけでモノが売れる時代は去りつつある。そこに何らかの人間の感性に共鳴するプラスアルファーの要素、つまり「フィーリング」が必要なのだ。それが製品にインビジブルな存在感を与えてくれる。
見て聴いて触って試してみて、何となくいいから感覚的に好きだから、お客さまはそれを買う。お客さまの感情に訴えかけるようなモノだけが売れると極論しても良いと思う。少なくとも私はそんな基準でモノを選んでる。
ただ単にその機能を実現する製品を作るだけじゃだめで、「その製品を利用するお客さまのフィーリングとシンクロ出来るか否か」に勝負の全てがかかっているのだ。それは私たち人間すべてが持っていて人の優れた部分である知性や感性のシンクロするところにあると思う。ゴールデンウィークの長期休暇で、普段気付けないようなことを感じながら過ごせるのはいい。何ごとも思いから始まる。ちっぽけな意識の差に過ぎないかもしれないが、それが映し出す鏡像は果てしなく偉大なものへと変貌を遂げることすらある。
(つづく)
追記:
これを聴くに、耳を以ってするなくして、これを聴くに、心を以ってす。これを聴くに、心を以ってするなくして、これを聴くに、気を以ってす。(「荘子」人間世篇より)