2005 年 11 月 20 日 : 好きなことをするためには
自らの才能を活かして、得意なこと、好きなことに集中して一生を過ごせれば、人生は素晴らしく充実したものとなるだろう。でも資産家でもなければ生きていくためには収入が必要だ。
理想とするビジネスは、スタッフの才能が潜在能力も含めてフルに活きるという形態である。スタッフが会社で過ごす時間を有意義に思い、安心して生活できる財産を築けるようにすることは、社長のスタッフへの大きな責任と思う。
そのために売上を極大化し経費を極小化する。利益を最大にするビジネスモデルを創らなければならない。儲かるビジネスモデルを創るには少しは考えないといけない。楽して儲かるビジネスはその辺に転がってない。
ソフトウェアビジネスには、受託開発型と製品開発型という 2 つのビジネスの形態があって、それぞれに一長一短がある。(ソフィア・クレイドルのビジネスは製品開発型)
受託開発型ビジネスでは、顧客の仕様に合わせてソフトウェアを開発し納品して収益を得る。
利益が見込める案件を受注できれば経営は安定する。事業を拡大するためには多くの案件を処理する必要がある。人手と設備がそれに比例して増えてくる。製品開発と比較して、受託案件には創造性や独創性が要求される割合が低い。
開発したソフトウェアの特許や著作権などの知的所有権は顧客に帰属する。それらをストックしてビジネスを効率化する手法がとりにくい。
製品開発型ビジネスでは、自社のオリジナル製品であるソフトウェアを開発し顧客に販売して収益を得る。
自ら製品仕様を決め、開発計画を立案し、創造力と独創力を頼りにしてアウトプットする。そこに仕事に対する生き甲斐を見出せる。ソフトウェアは、一度開発すれば、全く同じものをインターネットで世界の人びとに何度も繰り返し販売できる。やり方次第では、事業拡大するのに人や設備を増やさずに儲かるビジネスに繋がる。
製品開発型ビジネスの場合、次の式が成立する。
利益 = 製品単価 × 販売本数 − 経費
ソフトウェアの場合、製品が完成するまではたくさんの研究開発費用がかかる。一旦完成して販売するとなると、仕入れは発生せず、人手も販売本数に比例して必要という訳でもない。経費は固定である。
ソフトウェアをネット配信すれば、製品を記録するメディアも運送も不要。販売本数を増やすことで、損益分岐点を越えた時点から利益は果てしなく伸びゆく。
しかし、製品開発型ビジネスは、音楽や映画などのビジネスと同じで駄作であれば売れない。たとえ素晴らしい作品であったとしても、売り方が悪ければ売れない。
ほとんどのソフトウェアは失敗作である。世の中には販売本数ゼロという製品がところ狭しと転がっている。成功する確率が極めて低いビジネスである。それはミュージシャン志望の人が成功するのと同様なのである。
製品が売れる原因や理由を慎重に検証してからでないと、手痛いしっぺ返しを食らってしまう。
製品を研究開発するために投資したとしても、製品が売れなければ資金を回収することはできない。何も考えずにするのは無謀な賭けというもの。ベンチャーは資金が限られている。売れなければ倒産である。売れる要因を作ってから製品開発に入るべきだろう。
それで重要なことは次の 3 つ。
- 製品ジャンルの将来性
- 売れる製品を創れる才能
- 製品の売り方
ニーズがなければ創っても製品は売れないし、売れる製品でも欠陥があれば売れない。イメージで買われてゆく製品も多い。
好きなことをするためには、何はともあれ、売れるように製品をうまくプロデュースしなければならないのである。