2005 年 12 月 29 日 : 5・7・5・7・7
短歌とは五・七・五・七・七の五句体の歌である。7 世紀後半から 8 世紀後半に編まれた『万葉集』に始まり、今もなお詠まれている、古来から続く日本の伝統文化である。
わずか 31 文字で構成される歌なのだけども、一文字一文字を組み合わせれば星の数ほど無限のバリエーションが出来上がってしまう。
大半は当たり前のように淘汰される平凡な歌かもしれない。でも『万葉集』『古今和歌集』『新古今和歌集』といった著名な和歌集の中のひとつの歌として、何百年、何千年にも後世に残るものもある。それは新奇さやザンシンさも内包していた。
こんな風に短歌を眺めていると、仕事のスタンスやアプローチにも変化が現れてくる。
ひとつは小金になる平凡な仕事をたくさんこなして儲かるけれども、未来の歴史には何も残らないやり方。もうひとつは、短歌の例で言えば、五・七・五・七・七の 31 文字にすべての生涯を捧げ、永遠の一句を残そうとするやり方。
両極端な例であるが、僕は後者の生き方を目指したいと考えている。有限の時間軸上での仕事の集積は有限でしかないが、無限の生命を持ち得る作品は無限の時間軸上であれば、一時の数は少なくても無限の時間で集積すると必ず無限大になる。
自分が生きている間だけでなく、ずっと永遠に続く何かを創造できればそれに勝るものは無いのではないだろうか。
『永遠の何か』を創造するためには大切なことって何だろうか?
最近、この問題について自問する日々が続く。
飽きなくて、品が良く、質も良い。
こんな条件を満足する作品が創造できればと願っている。そのためには、短歌の作者がたった 31 文字のひとつの歌に情熱を傾ける姿勢がヒントになるだろう。駄作を量産するよりも、ひとつの仕事でもいい。何度も何度も見直して日々改善を図り、最高傑作を世に送り出せるようなアプローチを継続したい。
*冬樹〜WinterTrees
という素晴らしい短歌集を恩師からいただきました。先生ありがとうございます。定型でない破調の疾走感あふれる歌も好きです。