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2004 年 12 月 09 日 : 競走・競創・共創!

「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず。彼を知らずして己を知れば一たびは勝ち一たびは負く。 彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし」

これは「孫子」謀攻篇第三に出てくる有名な言葉である。(あとで出てくる言葉は、ことわざやとある有名人のとても気に入っている言葉である。興味のある方は誰の言葉か探してください。1は『ケータイビジネスを革新する技術 BREW』の著者の平野さんならスグ判るだろう。)

多くの人が気付いていないニッチだが、将来は何十兆円もの産業に成長する分野。大企業が参入しても、勝てる理由があれば負けない。

それは何故か?

大企業での勤務経験を通じて思ったことをまとめてみよう。

1. そこに意味があるのなら・・・

独立系のベンチャーは、自分以外は全員アルバイトというような状態からスタートする。当然、大企業が得意とする何十名、何百名以上もの人やそれに付随する設備が必要な土俵に上がっても完敗が待っているだけである。ほんの数名だけでもビジネスが完結するような土俵で勝負すべきである。

強みであるソフトウェアテクノロジーを有効に活かすために、携帯電話向けソフトウェアの分野を選択した。

創業した 2002 年時点では、ほんの数名からなる組織でも、各々のメンバーが優秀で熱意さえあれば、超一流の携帯電話向けソフトウェアを創れた。たとえば、SophiaFramework のソースプログラムのサイズは 20 万行(この文字と同じくらいの大きさで A4 用紙に印刷して12 センチバインダーが一杯になるくらい)の規模だ。これならば、10 名くらいの研究開発体制でも 3 年かけて勝負できる。

2. 好きこそものの上手なれ

創業以来拘っている、スタッフィングのポリシーは、一流企業のエリートに匹敵する、潜在能力を持ったメンバーで組織化すること。適材がいなければ敢えて採用せず、少数で凌ぐことを優先させた。

人材を募集するときは『いまのプロジェクトを心底やりたいのかどうか?』を、その人の素質や能力以上に重視する。全てのスタッフは好きだからその仕事をしている。天職のように感じるので、自然と熱も入り、素晴らしい成果となって現れる。

3. 組織を憎んで人を憎まず

大企業の人事異動の制度というものは、ほとんどが本人の意思や能力が反映されていない。要するに適材適所がなされていない。やる気や仕事の遂行能力というものが最適化されていない。

概して、研究開発はスタートしてから 3 年以上経たないと、具体的な成果が見えないものが大半を占める。スケールの大きなものほど、熟成するまでには時間がかかる。

大企業の人事評価は、単年度の成果をみて評価する。その評価に応じて、ボーナスや昇給、昇格の査定が為される。1 年毎の勝負で会社そのものが動いている。

良い評価を得ようとすると、どうしても短期的な成果を求めて動くことになろう。直ぐに結果が出ないものに敢えて飛びつこうとする社員は滅多にいない。

4. ベンチャースピリットこそすべて

ベンチャーで成功した時、自分の名を歴史に刻める。アップルスティーブ・ウォズニャックマイクロソフトポール・アレンオラクルボブ・マイナーサン・マイクロシステムズビル・ジョイ、等など。世の中に大きな貢献できるからこそ、その名が永遠に残るのだ。要するに自己実現が果たせる。

収入面でも差がある。ベンチャーでは収入に上限はない。

一財産成した後は、次のステージへと進み、別の意味でゆとりのある、輝かしい展望が拓ける。スターミュージシャンやプロアスリートのようにして、果てしない夢と希望をもって、有意義な人生を過ごせる。

ベンチャースピリットに、ベンチャーは勝てる理由を見出せる。