2004 年 11 月 18 日 : 事業を育てる
今年は 4 年に 1 度訪れる夏のオリンピックイヤーだ。そのアテネオリンピックで、数多くの日本人アスリートたちが活躍したことはまだ記憶に新しい。オリンピックで金メダルを獲得するようなアスリートたちは自分の体力、気力のピークをオリンピックの開催時期に合わせて調整するという。
会社を起してその事業を成功させる場合においても、「その事業のピークをいつにあわせれば良いのか?」という発想は極めて大切だ。そのピークに合わせて、「ヒト」、「モノ」、「カネ」など事業に必要なすべての段取り(調整)をするのである。
あらゆる事業に、「導入期」、「成長期」、「成熟期」、「衰退期」という 4 つのフェーズがある。また、不思議なことに、それぞれのフェーズの時間の長さ(期間)というものが、ほぼ均等であることを知っているのは大切だ。事業の段取りが比較的スムーズにいく。1 年の間に春夏秋冬があって、それぞれ大体 3 ヶ月で区切られるのと同じような感じ。
私の場合、これまで 3 年ごとに仕事の内容そのものを大きく変化させながらやってきた。従って、普段から 3 年毎に「ものごと」を捉える習慣がついている。よって、事業も大きくは 3 年刻みで大きく捉えて進めるのが、自分には向いていると思っている。
まだ会社を創って 3 年未満の状態なので、今の事業はその「導入期」の終わり頃にあると位置付けている。いまの事業のピークは「成長期」が終わる、3 年後と考えて、そこにピークにもってこれるようにいろいろと創意工夫を凝らしている。
インターネットの世界では「1 年が通常の 7 年」というドッグイヤーなんていうキーワードをよく耳にする。しかし、会社を数百年以上にもわたって存続できるようなものにするには、そんなに焦らずにゆったりとして事業を捉える方が良いと思う。IT ベンチャーでは少数派であるかもしれないが、逆の意味でその方がニッチを狙うベンチャーらしいのでは。できれば会社が永遠に存続し、成長、進化・発展するようにしたい。
数年後に大成功することを考えるより、数十年に渡って継続的に成長する道を選んだ方が着実であり堅実である。
「導入期」でやったことは以下の通り。
- 1. 世界を狙える才能を持つ人材の発掘と育成
ミュージシャンも才能がなければ、優れた音楽を創れないのと同じで、商品に関しても「爆発的に売れるモノ」を開発するにはそれに適した人材が絶対的に必要である。
- 2. 最も可能性のソフトウェアテクノロジーへの集中特化
いくら才能があったとしても、創った商品が全てヒットするとは限らない。大リーガーで大活躍しているイチロー選手にしても 10 打席のうち 6 打席、或いは 7 打席は凡退するのだから。
最初の段階で複数の商品を試験的に手掛けることは重要である。その中から最も可能性のあるにエッジを効かせて勝負を賭ける。
- 3. プレスリリースによる認知度の向上
無名ベンチャー企業が創った商品をマーケットに広めるためには、マスコミを使った広報活動が一番効果がある。プレスリリースなどの対外的な文書作成に関しては、常に微に細に入り創意工夫を凝らしている。
- 4. マーケティングシステムの確立
ハイテクベンチャー企業によくあることだが、営業を他社に委ねることは最初の段階ではしない方が良い。何故なら、商品の初期段階においては、必ずしも顧客ニーズが全て反映されていないからだ。使っていて不自然なところがどこかにある。直販なら、お客様といつも対話しているから、売れるように商品が自ずと育つ。
- 5. Web サイトの構築
21 世紀はインターネットをフルに活用しきった企業だけが生き残るような気がしてならない。インターネットの威力を最大限活用して企業運営するように心がけている。