2004 年 11 月 21 日 : 売上をあげる
ソフィア・クレイドルの営業年度は毎年 10 月に始まる。今年度は第 4 期営業年度。
期が始まってまだ 2 ヶ月も経っていない。会計ソフトで残高試算表の数字をみてみると、前期と比較した、10 月から 11 月までの累積売上高の増減率の数字が 7000 %を超えていた。第 4 期は幸先の良いスタートをきることができた。できればペースを維持したい。
事業規模を大きく拡大したわけではない。1 年前と比較して、社員数は減っている。創業以来、経常の黒字は死守してきた。裏を返せば、それだけ第 3 期の前半までは営業面で苦戦を強いられる局面が多かった。
2004 年春から、製品販売に関して、研究開発部を含め、全員が一丸となって努力してきた。徐々に効果が具体的な数字となって現れてきたのであろうか。
類似製品は基本的には世界市場に存在しない。今、世界マーケットに競合製品は存在しないのだ。
創業の頃、「ソフィア・クレイドル」という社名も知られているわけではなかった。だから、お客様の立場からすると、「ホントに大丈夫なの!?」という印象が強かったと思う。起業家の方々には、ベンチャーが製品を販売する難しさをご理解いただけると思う。最初は想像を絶するくらい難しい。
ちょっと余談だが、創業の頃にお世話になったお客様ほど、爆発的に売上と利益を伸ばされている。なかには 3 年前は未上場企業だったのに、今では東証一部に上場されているお客様もいらっしゃる。
創業初年度にお世話になったお客様はいくら感謝の意を表しても表現しつくせないくらい、有難かった。お世話になっているお客様とは、これからも継続して良き関係を保ちたい。
大企業でサラリーマンをしていた頃は、「ブランド」が余りにも偉大だった。「ブランド力」を後光として営業成績を簡単に大きく伸ばすことができた。一旦会社を辞めてしまえば、もはや「ブランド」は使えない。これは大企業のサラリーマンが会社を辞めて起業したときに、誰もが経験する最初の辛くもあり厳しい大きな難関、現実なのだ。
ベンチャーというものはスタッフの総合した実力が全てな訳だ。自己の能力の限界にチャレンジしてみたい、或いは自分の真の実力を知りたいと思う人にとって、ベンチャーほどそれが単純明快に理解できる場は他に無い。
拙い経験からいえることは、大企業の場合、どうしても自分以外の他律的な要素が働き、それが実績となって現れていることが往々にしてある。大抵の人はそれが自分の実力であると錯覚する。
大企業に在籍している時はどうしても自己の能力を過信してしまうきらいがある。現実は、単に製品に「ブランド力」があるから売れているにすぎない。それに気付かずに起業すると大苦戦も甚だしい結果となる。
売上を安定させ、ぐんぐん伸ばすためには、ベンチャーといえども、大企業のような「ブランド力」をどうやって築くかが最大のテーマになると考えた。まだまだソフィア・クレイドルのブランド力は弱い。が、努力すること、思うことの強さで如何様にもできる。
ブランド力そのものが会社の生命線になると考えて、マーケティング部を中心に「ブランド」について勉強し、毎日実践を繰り返している。少しでもいいから着実にブランド力を向上させようとしている。年齢が若く、経験の浅い社員ばかりだが、あくなき努力と若さでカバーしようとしている。
一年前までは、会社として、営業は個人の能力や才能に頼る面が大きかったと思う。営業担当が保険会社や自動車会社のトップセールス並に売上をあげていたのであれば、何の問題意識を持つこともなく素通りし、あとでもっと大きな取り返しのつかない壁にぶつかっていたかもしれない。
「人間万事塞翁が馬」である。不幸中の幸いかもしれないが、ソフィア・クレイドルにトップセールスはいなかった。全員で真の意味で営業力やマーケティング力を強化するために真剣に取り組む機会をたくさん得ることができた。
マーケティング部を核にして全員がチームとなって、どうやって研究開発部が創った素晴らしい製品を、人びとに届けるかについて、研究を積み重ねている。
営業は人的な要素に頼るところがある。しかし、それに頼って組織を構成すれば、トップセールスが会社を辞めれば売上がガタ落ちとなり、下手をすれば倒産ということも十分あり得る話だ。
最も注力したことは、誰が営業であろうと(ソフィア・クレイドルでは「マーケティング」と呼んでいる)、最低必要な売上の数字は確実に楽々叩き出せるような販売システムを構築することだった。ヒントはサラリーマン時代に遡る。
大企業でサラリーマンをしていた頃、どちらも有名大企業であるが、大手清涼飲料水メーカーや大手通販会社をクライアントにして、マーケティングシステムのコンサルテーションや情報システムを構築するプロジェクトを経験した。プロジェクトマネージャーとして仕事をさせていただいた。全貌がよく分かり、数多くの価値のある商売のヒントを得ることができた。
どちらの企業にも共通に言えたのは、誰が注文を受けるにしても自然に売上が上がるような仕組みになっていたということ。
例えば、清涼飲料水メーカーの場合、街角でよく見かける自動販売機に関していえば、販売員はこの機械にジュースやコーヒーを詰め込むだけで売上が上がっていく。優秀な自販機は一年間で軽く 1000 万円を超えるセールスを記録した。下手すれば年間売上 1000 万円ですら達成できない営業マンは五万といるだろう。それをたった 1 台の自販機が自動的に、オートマティックに、この上なく美しい数字として弾き出してくれる。
事業を大きく伸ばすには、将来的にそのようなビジネスの仕組みをシステムとして実現する必然性がある。いきなり、そこまではは不可能であるが、ステップ・バイ・ステップでそのゴールに辿り着けるように創意工夫を重ねている。
この一年間でやったことを簡単に列挙してみる。
1. IT media mobile への寄稿:" BREW プログラミング入門"
2. 独自の BREW に関するノウハウの無償公開
3. SEO 対策の実施
4. Web の製品情報の充実
5. 無料評価版ダウンロードサイトの開設
6. 英語サイトの開設
7. 業務プロセスのマニュアル化
いま、このような努力は現在進行中であり、必ずしも完成しているわけでない。理想とする最終形からいえば、ほんの 5% 程度の完成度でしかない。創意工夫、改善、改良の余地はまだまだたくさんある。個人の才能や能力に依存しない販売システムをできるだけ早く理想形にもってゆきたい。