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2005 年 06 月 20 日 : 備えあれば憂いなし

備えあれば憂いなし』という格言がある。この言葉は、ほとんどの人が未来の展望についてその準備を怠っているという皮肉な現実を物語っているのであろうか。それ故に、未来に備えることが、自分たちが簡単に先んじてマーケットで競争優位に立てる一つの方法かもしれない。

2005年6月14日発行の日経産業新聞24面に、組込みソフト業界の未来を占う貴重なデータが掲載されていた。正確な数字は読み取れないのだが、その棒グラフを目分量で測れば、携帯電話のソフト開発規模が1999年度と2004年度とで比較すると、大体100倍もの開きがあることが見て取れる。電子マネー、テレビ電話、動画対応、カメラ搭載など近年の携帯電話多機能化によるものである。ソフトは人にしか創れない。開発規模が大きくなれば、それに比例して開発コストは増大する。

翻って考えてみると、キャリア(携帯電話通信事業者)からの報奨金制度もあり正確には分からないが、携帯電話の価格は100倍も高くなっていない。少し高くなったかな、といった程度であろう。NEC、京セラ、三菱、富士通など、携帯電話は売れているにも関わらず軒並み赤字で苦戦が続いている。その他の国内の携帯電話端末メーカーも売れているのに概ねその経営は苦しい。抜本的な対策が望まれる。今年の後半からは国際的に価格競争力のある、サムスン、LGといった韓国の携帯電話も国内マーケットに参入してくる。

最終利用者に喜んで支持される機能が必要十分なだけあって、しかもクオリティの高い携帯電話をどうやって費用をかけずに開発できるか?それが携帯電話端末メーカーにとって、生き残りを賭けた勝負を決定付ける最大のキーになるだろう。現在の携帯電話端末ビジネスのボトルネックは、止まることを知らない組み込みソフトの開発規模増大である。

その解決策は、携帯電話のOS(オペレーティングシステム)をオープン化すること。そしてその上で動作する様々なアプリケーションを携帯電話端末メーカーが開発するのではなく、アプリケーションノウハウを持つ第3者のソフト開発・販売会社或いは個人に委ねるスキームを創るのが得策だと思う。恐らく今年の後半あたりからその流れが加速するように思えてならない。

会社を創業した2002年2月22日以来、時代は必ずその方向に移り変わると信じて、短期的な儲けは度外視し長期的な成長を大切にして、ソフトウェア研究開発事業を推し進めてきた。一応、創業以来ずっと黒字決算だけは死守しているが…。

ソフィア・クレイドルの製品の典型的な特長として挙げられるのが、プログラムのコンポーネント化である。ソフトを開発するにも、自動車を作るときに鉄やガラス、プラスティックなど様々な素材や部品で作るように、いろんな部品(モジュール)が必要である。コンポーネント化のコンセプトを具現化するに当たって意識したことは、『世界中の携帯電話に共通して利用可能な汎用的な部品(ソフトウェアモジュール)とは何か?』を常に洞察しようと努めたことである。思い描いたイメージを『3年以上もの時』をかけてじっくりとプログラミングしてきた。

最近になって、世界中のお客さまから製品への引き合いが急増している。特に海外からの問い合わせが多い。現在、頑張って全ての製品の海外対応をしている。今年末には全製品の英訳は完了する見通しでいる。海外ビジネスの方法に不慣れな点は事実だ。それはやっているうちに徐々に解消される問題と楽観的に構えている。

単なる予感に過ぎないかもしれない。ターゲットとするプラットフォーム(BREW)の世界的な普及の伸びは著しい。さらにNTTドコモも今秋からそのプラットフォームを採用するのを勘案すれば、来期は今期の10倍程度の成長が叶いそうだ。スタッフの増員は若干名しか計画していない。今からそれに備えて業務プロセスを効率化し、受注処理や出荷処理のコンピューター化に着手しようと考えている。

追記:

「備えあれば憂いなし」は英訳すると、

"Fear the worst; the best will save itself."

となるらしい……