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2005 年 07 月 28 日 : Extention

ビジネスを広げる方法には2種類ある。一方は"X","Y","Z"…といった異なるマーケットセグメンテーションに"A"という事業に絞って展開するやり方。もう一方は"X"という単一のマーケットセグメンテーションに"A","B","C"…といった異なる事業を展開するやり方である。勿論、その両方を同時にやるというオプションも有り得るが、それで成功するのは稀なケースだろう。(ビジネスがまだ小規模なうちは、ここでいう事業は商品と置き換えて考えてもよい。)

そのどちらを選択するかが、事業を拡大する時に問われる経営者のセンスではないだろうか。どちらか一方のアプローチが優れているというわけではない。自分が手掛ける事業の社会的な、或いは個人的な意味や意義から最も適した道を選択するのが良いのだろう。

私の場合、こんな風にして事業を成長させてゆく夢を抱いている。ソフィア・クレイドルという事業で最も大切にしている信念は、"シンプル・イズ・クール&クール・イズ・シンプル"という発想である。21世紀の時代では、その仕事をするだけの価値の誇らしさから自然に生じるクールさ、即ちカッコ良さというものは避けて通れない気がする。

個人的には、クールさというものはシンプルさに直結しているかのように感じている。水墨画においては"白"と"黒"という、たった2色の濃淡で全ての色を表現していたりする。実際にそれを眺めて『なるほど』と感心したりもする。実際のところ、この広大な宇宙に存在する多種多様な物質も全ては原子という共通の単位で構成されるというシンプルさである。それでいて、人間の浅はかな智慧では計り知れないほどの複雑さで満ち溢れている。生物の遺伝子も然りである。現象として複雑なものもその原因となる元を正せば、シンプルなある事実に辿り着くのが実態ではないだろうか。

そんな発想から、ソフィア・クレイドルでは何事もシンプル&クールに"Simple & Cool"、そして創造的に考えること"Think Creative"を第一にして運営しているつもりである。実際、やっている事業も、携帯電話向けソフトウェアを記述するためのプログラミング言語とプログラム圧縮という、たった2種類のソフトウェアテクノロジーでしかないというシンプルさである。

だから、この単純且つ明快なビジネスを大きく発展、繁栄させためのアプローチの基本的な考え方は「"A"という事業を"X","Y","Z"・・・という異なるマーケットセグメントに横展開する」という方法論こそ自分には最適であると考えている。

こんな背景もあり、ソフィア・クレイドルで行っている事業は"全世界で共通して使えるのか?"それから"携帯電話に止まらず、それは自動車やテレビ、エレベーターなど、全く異なるジャンルでも応用できるのか?"が究極の意思決定の判断材料となっている。製品・サービスの開発においては常に広く海外マーケットでも通用する汎用性を意識し、それをインプリメントする人材をも広く世界から募る。そんな姿勢こそが成功の秘訣ではないかと思えさえする。

追記:

今、ソフィア・クレイドルでは、組み込み系ソフトウェア業界でプログラミング言語とプログラム圧縮と極めて単純かつ明快な誰にでも思いつくビジネスをしている。しかしながら、ソフィア・クレイドルと同じような業態の企業は世界でも皆無の状態に近い。

ベンチャーとして真に大切なことは何だろうかと自問自答することも多い。そして導き出した結論というのは、誰も手掛けていない事業を選択し集中するにはそれなりの勇気が欠かせないということだ。金儲けという観点からすれば、様々なオプションが限りなく存在する中で、それだけに絞って遣り遂げる強靭な意志力を持って貫けるかで、明暗が分かれそうだ。