2005 年 02 月 12 日 : チャンス
ソフィア・クレイドルというベンチャーで携帯電話向けのソフトウェア事業を展開している。数え切れないくらい、たくさんのいろんな事業がある中で、自分がなぜそれを選択したのかという理由を明らかにしておくことは、ベンチャーを始める上で極めて重要なことではないかと思う。
この起業家100人挑戦日記を連載している起業家にしても、誰一人として同じ事業をしている人がいないくらい、世の中には様々な事業が存在している。けれども共通して、そのベンチャーが成功するかどうかは、その最初の選択によって決められているようにも思える。何故なら、自分の原動力の問題だからだ。
周囲のベンチャーを見ていて思うのは、なんとなく儲かりそうだから、たまたまチャンスが転がっていたからという理由でそのビジネスを始める人が多いようだ。だが、経営というものはそんなに甘くはないので、必ずと言っていいほど悪いときがやってくる。その時にどのようにして凌ぐかというのが、重要なポイントになる。それこそが試練であり、同時に真のチャンスと言えるのかもしれない。そしてその壁を乗り越えることによって、自らも脱皮しスタッフたちと共に会社は成長してゆくのだろう。
チャレンジすることは良いことだけれど、明確な理由無くなんとなくで始めたベンチャーは、事業の環境が悪くなった時にそれを乗り越える力が弱いのではないか。
大切になってくるのは、心の底からその事業をやってみたいと思えるかどうか、それから一緒に事業をやるスタッフたちにすべてを賭けることができるかどうかをよく問うことであろう。これらは、数理科学がシンプルな美しい数式で複雑な事象を表したり、帰納と演繹の繰り返しによって学問が発達するように、自らの心の中で、延々と語り尽くすことの出来ないくらいのことがらに、たったひとつの単純な答えを見つけ出せるかどうかに掛かっているのかもしれない。
マイクロソフト、Yahoo!、Googleなどのいまや巨大な企業へと成長した米国の偉大なベンチャーにしても、創業当初は、誰も見向きもしないような馬鹿げた事業だと思われていたものが、今日のように成長しているのである。
不思議な話だが、最初は期待されていない事業ほど将来的には大きなものへと成長する可能性が高いようだ。そんなに期待されない事業だけに、大成功といえるようなポジションに到達するためには、多くの時間と労力が要求される。そこに辿り着くためには、事業そのものが大好きであること、それからそれによって、世の中が良い方向に変革されることに喜びを見出せるような姿勢が大切になってくるだろう。