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2005 年 08 月 24 日 : Threshold

"閾値(Threshold)"という言葉をご存知だろうか。"閾値"は生理学の専門用語らしい。感覚器は刺激によって静止状態から興奮状態へ変化する。学術的には、その変化を惹き起こすのに必要な刺激の最低レベルのことを"閾値"と呼んでいる。"閾値"以下の刺激は何の意味も成さないということである。

ベンチャーを経営し事業を成功させるつもりならば、この"閾値"の問題は避けて通れない。なぜ人は製品やサービスを買うのかという根源的な問いの解を発見し行動・実践すれば、ベンチャー事業は間違いなく成功する。人は製品やサービスを買う時にそれぞれに基準があり、基準を超えるものであるから買うといっても良い。衝動買いというのもあるがそれは基準が見失われた時であって、それ以外では製品やサービスを買う時に自分の基準に照らし合わせて判断している。

判断の基準は、メジャーな例として挙げてみるライブが分かりやすいかもしれない。例えば、ケツメイシのライブには行くけれどもオレンジレンジのには行かない人もいる。当然その逆もあるだろう。またどちらのライブにも行かない人もいる。(反対に"絶対値"というのもありそうだ。例えば弊社のスタッフにはそれぞれ絶対に行くライヴがある)

人によって閾値の値はさまざまである。けれども閾値を遥かに上回る製品やサービスを提供することができれば、それは爆発的なヒットという現象に繋がると理論的に考えられる。逆に言えば、多くの人々の閾値を下回る製品やサービスはどんなに努力したとしても意味が無い。ほんの僅かの差なのだけれどもその差が致命的となって全く売れない結末を迎えてしまうからだ。閾値を超えることによって初めてその努力も報われるというのが現実のビジネスシーンである。

だからビジネスを形にするためにはなんとしてもその閾値を突き抜けなければならない。

極めてやっかいな問題がある。製品やサービスの"閾値"を定量的に図る道具や手段が無いことである。閾値まであと一歩のところにいるのに、それが具体的に見えないから折角の努力が無駄になることが多いのではないだろうか。

ソフトウェアビジネスで印象的なのは、ほんの少しある機能を追加したり、ある部分を使いやすくするだけで製品が急に売れ出すという局面の移り変わりである。0℃で水が固体から液体に、100℃で水が液体から気体に変化する様にそれは似ている。ほんの1℃しか違わないのに結果は全く異なる様相を示すのだ。

それではどのように取り組めば、閾値を遥かに超えたビジネスを展開できるのだろうか。最終的に自分の目標設定を出来る限り高く設定し、それを実現すべく常に真剣な眼差しで打ち込む姿勢が大切なのではないかと自分自身を戒めている。