2005 年 11 月 10 日 : Alpha
自分の全てを賭けているからこそ数十年後、数百年後 … の遥か先に待つ未来から振り返った時、どんな風に映るのかを常に意識している。真に価値のあるものは時を超えて存続するはずだ。
人びとが日常生活で使う言葉にしても昔は現在よりも遥かに多くの種類が存在していたという。例えば、α、β、γ、・・・などで有名なギリシャ文字。ギリシャ文字が考えられたのは紀元前 900 年頃の話らしい。現在では使われていない紀元前 1000 年頃に創られた 22 文字からなるフェニキア文字がベースになっていた。
ギリシャ文字は表音文字であり、フェニキア文字との大きな違いは母音をあらわす文字が存在したという点である。フェニキア文字でギリシャの言葉にとって必要性の少ない子音を母音に置き換えたものがギリシャ文字だったそうだ。
ギリシャ文字には母音を表す文字を含んでいたため、周囲のいろんな国々の何百、何千にも及ぶ言葉をギリシャ文字で表現することができた。それが古代ギリシャの繁栄に繋がっていった。
母音を含むかどうかで、ギリシャ文字とフェニキア文字とで運命の明暗が分かれた。かたちに変化こそあれどもギリシャ文字はクラシカルな文字として今も使われている。
ほんの瑣末な出来事に過ぎなく思えるものが重大なインパクトを及ぼす例とも言える。時を超えて人びとに使われるものを創れるかどうかは紙一重の差なのかもしれない。