ホーム > President Blog : Sophia Cradle Incorporated

Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2005年11月

2005 年 11 月 07 日 : 売れる瞬間

ベンチャーのメリットは、自由に自分の好きな仕事ができるという点にある。しかしそのスタイルを続けるには前提条件がある。創造した製品やサービスがお金を払ってまで欲しいと思うものでなければならないということである。有りがちなのは、ひたすら自分の好きな道を突き進んで玉砕するパターンかもしれない。

キャッシュフローがなければ何れ資金は枯渇し経営破綻する。キャッシュフローが発生するのは、製品やサービスが"売れた瞬間"である。その瞬間の状況をリアルに鮮明にイメージできれば、きっと製品やサービスは売れる。そしてそのベンチャービジネスはさらに飛躍することになるだろう。

製品やサービスが"売れた瞬間"をリアルにイメージすること。このイメージトレーニングが等閑になっている人が多いのではないだろうか。

今、Ajax という JavaScriptXML非同期通信 の技術を組み合わせた新しい Web サービスが注目を浴びている。この技術を使って、Zimbra という米国の IT ベンチャーはマイクロソフトの OutLook と同等の機能を Web で実現している。

Ajax 技術を応用すれば PC 上のデスクトップアプリケーションが Web サービスとなって、PC にある全てのデータをネットのサーバーで一元管理することも可能になってくる。

ブログで使われるようになった、サイトの更新情報の要約をリアルタイムに配信してくれる RSS がある。RSS リーダーを使うと、これまでブラウザの"お気に入り"に登録していた情報の更新状況がリアルタイムに把握できるようになる。

ネット上のサーバーにある、XML ベースのニュースや株価、天気予報などの情報をリアルタイムに知りたい時もある。RSS リーダーに登録された情報が一元管理されたネット上のサーバーにあって、携帯端末からいつでも見れるとすればどうだろうか?

ニュースや株価、天気予報など、その瞬間だから価値を持つ情報は携帯端末で更新されたタイミングで知ることができればとても便利である。そういったものを実現しようとすれば、携帯端末向けの XML パーサーや非同期通信、 JavaScript と同等のものがあれば実現可能である。

Ajax 技術を応用したモバイル版 RSS リーダーと XML ブラウザは話題を呼び、新聞や Web のニュースサイトに掲載されそうだ。多くの人びとが興味・関心を持ち、期待を寄せ、トライアル版を入手する。そしてその使用感を確かめる。使用感が必然的に想像以上のものであった時、それが"売れる瞬間"だ。

アプリケーションが利用される、すなわち"売れた瞬間"をイメージする。そしてそれを構成する要素技術を実現するというアプローチを採れば、少なくともそのアプリケーションがあるから、キャッシュフローが生まれる確率が上昇する。それを足掛かりにしてベンチャーというビジネスは成長してゆく。

2005 年 11 月 06 日 : 収益の構造[海外へ] 

ベンチャーといえども事業である以上、収益構造の戦略策定は経営者の役割として最も重要だと思う。

収益の式は至極シンプルで単に

[利益] = [売上] − [費用] ・・・ (1)

に過ぎないけれども、意外とこの式が頭から消去されている経営者も多いのではないだろうか。ソフィア・クレイドルというベンチャー事業を推進する際、収益に関するこの式が片時も意識から離れること無きようにしている。

利益はベンチャー事業の未来への扉、源泉でもある。利益によって未来が決まるだけに、どのように事業を展開すれば利益が最大化されるのかという思考プロセスは、いくら真剣にやったとしても十分とは言えない。

ソフィア・クレイドルでの収益構造の戦略をまとめてみよう。

国内と海外の 2 つにマーケットを分割すると、売上は次の式で表現される。

[売上] = [国内売上] + [海外売上] ・・・ (2)

(2) を (1) に代入すると、

[利益] = ( [国内売上] + [海外売上] )− [費用] ・・・ (3)

となる。(3) の右辺の項の順番を入れ替えると、

[利益] = ( [国内売上] − [費用] ) + [海外売上] ・・・ (4)

となる。[費用] は大雑把に研究開発費や販売管理費などを含めたすべての経費のことを指す。

ここで、研究開発した製品の販売を国内に留まらず、広く全世界にグローバル展開することを本命としている。何故ならば、国内のマーケットを 1 とすれば、海外のマーケットは 10 〜 20 と圧倒的に巨大だから。

更にいえば、国内は少子化が進みマーケット全体がシュリンクしているけれども、世界全体では人口は今も増加傾向にあるからだ。何十年後かの将来には国内 1 に対して、海外が 100 ということも十分に予測される。

海外マーケットの開拓は国内以上に難航を極めるかもしれない。しかし企業が生き残り永遠の繁栄を築くには、海外への展望無くしてそれはあり得ない。

さて、(4) の式で注目して欲しいのは、( [国内売上] − [費用] ) の部分である。この項が"プラスの値"になるように心掛けている。つまり、国内事業だけで利益を上げて海外事業は全て利益になる収益構造である。

製品販売はインターネット 1 本に絞り、効率的なグローバル展開のためにインターネットで完結する受注・出荷・決済システムも視野に入れている。

海外マーケットは国内の 10 倍以上ある。この方式にしたがって国内と同様に海外でも製品販売の仕組みが実現したとする。簡単な算数で 90 %を超える利益率の単純明快なビジネスモデルが出来上がることが分かる。

現在、全世界で携帯電話や携帯ゲーム機は数十億台以上普及している。たった 1 本のソフトでも、1 本あたり 10 円で世界中の全ての携帯端末に普及させれば、それだけで数百億円の利益が見込める。

利益を事業の未来への投資と考えるならば、それは資金調達という見方もできる。株式上場をしなくとも資金調達はできるということだ。株式公開する必要性もなくなる。

2005 年 11 月 06 日 : プロダクト ビジネス

製造業には大きく分けて 2 つのビジネススタイルがある。ひとつはお客様からの依頼に基づく受託開発型ビジネス。もうひとつはオリジナル製品を研究開発し不特定多数のお客様に提供する製品開発型ビジネス。

受託開発型ビジネスでは依頼されたシステムの開発が、お客様の仕様を満たすものであれば、対価としてのキャッシュが入ってくる。しかし製品開発型ビジネスの場合、必ずしも売れるわけではない。むしろ売れる製品より売れない製品の方が圧倒的に多い。

ソフィア・クレイドルは基本的に 100 % 製品開発型ビジネスを展開している。製品開発型ビジネスの最大の難関は、研究開発した製品が売れるかどうかという一点に絞られる。

創業初期であればあるほど、ベンチャーは経営資源が限られる。それ故、研究開発した製品が売れなければ誰からも気付かれずひっそりと経営破綻するだけ。厳しい現実がそこには待ち構えている。

売れなければ倒産という崖っぷちに自らを置いてみる。背水の陣を敷かなければ見えないものもある。100 % 製品開発型ビジネスに集中特化すれば、製品が売れなければ事業の消滅を意味する。自ずと売れる製品とは何かという問題意識を常に持って、仕事に臨む習慣が付いてくるのである。

大ヒットする製品には、動物と人間の決定的な差である"喜怒哀楽"の要素が色濃くでている。"喜怒哀楽"のある製品を創造するにはどうすればよいか、というのが製品開発型ビジネスの至上命題であり、この命題が解けた瞬間に爆発的に大ヒットする製品が生まれると考えている。

最も重要なのは、お客様がその製品を使用する状況を、どれくらい具体的に強く鮮明にイメージできるかに尽きると思う。キャッシュが見込める受託開発型ビジネスを兼業していると、人は弱い生き物だから必ずイマジネーションにも弱さが生じる。

売れる製品は 100 に 1 つと言われるくらいに少ない。それだけにほんの少しの仕事への取り組みの迷いが致命的になる。100 % 製品開発型ビジネスに集中特化すればそんな迷いが生まれる余地はない。必然的にヒットする確率というものも飛躍するのである。

2005 年 11 月 05 日 : 興味のある職業

毎年、母校(高校)のサイトに在校生の人気職業がランキングされる。今年の BEST 10 は以下の通り。

 1 位 弁護士
 2 位 医師
 3 位 薬剤師
 4 位 音楽家
 5 位 中学校教諭
 6 位 心理カウンセラー  
 6 位 アナウンサー
 8 位 パイロット
 9 位 通訳
10 位 プログラマー

起業家とか社長、経営者という職業はランキングされたことがない。同窓生でベンチャーを起業して社長日記を書いているのは僕くらい。2 位にランクインしている医師という職業は同窓生に多い。

ベンチャー起業家は何もかも自由に決めれるのでけっこうお勧めの職業であるのだけれども。漠然として訳の分からない職業といった位置づけなのだろうか。それとも想定外の範疇なのだろうか。

時代の潮流というものを読み切って全てを賭けて事業に打ち込む行動はスリルに満ち溢れている。思惑通りに事が進んだ時の喜びは他に代えがたいものである。

TOYOTA、SONY、Panasonic、HONDA、Microsoft、Apple・・・。今日の有名な大企業も最初はベンチャーからスタートしている。学校では大企業の歴史を教えてくれない。そもそも起業経験のない高校の先生がベンチャーの概念を教えるのは不可能だろう。

弁護士や医師も社会に無くてはならない職業である。けれどもベンチャーを起業して世界に通用するような企業に育てるのも、弁護士や医師に負けず劣らず社会から必要とされる仕事である。

TOYOTA に就職するより、TOYOTA みたいな偉大な企業を創造する方がカッコ良いと個人的に思っている。

それから、権威に縛られず思うまま自由に生きる人生も愉快だ。経営の原理原則を外さずに行動しさえすれば夢は実現するものである。

2005 年 11 月 05 日 : スタンス

音楽や映画、スポーツなど、プロフェッショナルな世界に憧れる。たとえ僅かな時間であったにしても、競技場やライヴの空間では、生きる感動や癒し、エネルギー・・・がリアルに感じとれる。

反面、内容(コンテンツ)そのものが問われる、人びとの感性によって自然淘汰され、本物にしか居場所がない厳しい領域でもある。だからこそ憧憬の対象として映し出されるのかもしれない。

そんな領域に自分を置いてみる。生まれて初めて自分の限界を知りもすれば、未知の可能性を発見する喜びもある。幻と思っていた夢が現実になったりもする。それは、確かに自ら人生を切り拓いて生きていると実感できる、感動体験の綴れ織のようなもの。

超一流と言われる大学や組織での経験や著名人とのコネクションがあるからと言って、それだけは全然通用しない。本質が問われるプロフェッショナルな世界は甘くない。ある意味ではフェアな世界である。

サラリーマンや公務員の世界はアマチュア的な空間の典型的な例だ。学歴や職歴など過去の栄光を身にまとって自分のポジションを確固たるものにしようとする者も少なくない。

たとえばミュージックシーン。超一流の経歴だから、有名人とのコネがあるからという理由で、人はその曲を買うわけじゃない。問われるのは中味の内容そのもの。

プロフェッショナルな観点から言えば、過去の華々しい経歴もしくは己の外にあるブランドで自分を飾る人って「?」である。もっともっと自分そのものに自信を持つスタンスが大切だと思う。

2005 年 11 月 04 日 : 100 × 1 ≠ 1 × 100

小学校で習う算数では
 100 × 1 = 1 × 100 ( = 100 )
である。

しかし現実のビジネスでは
 100 × 1 ≠ 1 × 100
であり、
 100 × 1 ≪ 1 × 100
という"論理( ロジック )"についての理解が極めて重要。

100 × 1 は 100 人のお客様に異なる 100 種類の仕事を縦展開するビジネスを、1 × 100 はひとつの同じ仕事を異なる 100 人のお客様に対して横展開するビジネスを意味する。

ベンチャーを起業する際に、肝に銘じなければならないのは最悪の事態の想定である。それは最終的に頼るべき人は"自分独り"だという覚悟。最悪、"自分独り"でも事業を伸ばせるビジネスモデルがあるかないかが最大のポイントになるだろう。

"独り"で 100 人のお客様に対して多種多様な仕事を同時に縦展開するのは至難の業。けれども"独り"でひとつの同じ仕事を 100 人のお客様に対して横展開するのは実現可能である。

そのベンチャーを成長させたいと心底のばしたいならば、この発想は基本中の基本と言える原則ではないだろうか。

ソフィア・クレイドルでは、現在、携帯電話向けソフトが世界マーケットで急成長中である。だから今はこのドメインに絞って事業を営んでいる。研究開発しているソフト技術は"プログラム圧縮"&"プログラミング言語"のたった 2 種類に過ぎない。しかし両者とも普遍性と汎用性に富んだ、何処までも底知れぬ深さのあるソフト技術なのだ。

NTT ドコモ、au、vodafone、WILLCOM と国内全てのキャリアに対応している。更に言えば、国内に止まらず、米国、英国、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、ポルトガル、中国、韓国、インド、ロシア、ブラジルなど世界の携帯電話で利用可能なように実装されている。

その上、PDA、iPod、PSP、Nintendo DS、GAME BOY など、携帯電話以外の携帯情報端末をも網羅している。

これが 1 × 100 型のビジネスモデルである。

2005 年 11 月 04 日 : 天頂へとつづく滑走路

今日は昨年のミスチルの"シフクノオト"を聴きながら、いろいろと未来の構想を練っている。

このアルバムでお気に入りは"天頂バス"という曲。

印象的なフレーズは

  天国行きのバスで行こうよ
  揺れるぞ 地に足を着けろ
  己の感覚と交わした約束を
  果たすまで降りはしないぜ
  どんな暴風雨が襲っても
  全力疾走で駆け抜けろ
  僕らは雑草よ
  でも逆の発想を
  この胸に秘めているよ
  このバディーに秘めているよ
   ( 作詩 : 桜井和寿 )

という部分。( リズムから詩の雰囲気が伝わってくる名曲だ )

世界の頂点に立とうと志すならば、秘めたる覚悟は欠かせないと思う。

<前のページ |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  | 次のページ>