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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2006年03月24日

2006 年 03 月 24 日 : Evolution

今から 30 年余り前の、1975 年 2 月。

ビル・ゲイツとポール・アレンはアルテアという名のマイクロコンピューター用BASICを完成させた。

アルバカーキという砂漠の地にて、 ポール・アレンはアルテアに

     "print 2 + 2"

というメッセージを送ると、

     "4"

という返答のメッセージがアルテアから返ってきたという。

事実上、今日の「マイクロソフト社」が生まれた瞬間である。

     " 2 + 2 = 4 "

至極当たり前のことで、何ら特別な感情を持ち得ない出来事と思うかもしれない。

     当然の結果じゃない?

     どこが凄いの?

     ちょっとショボイね。

        ………

一般的な見方というのはきっとそんなところに落ち着くであろう。

でもベンチャーというのはそんなにも小さなところから出発し、時と共に進化発展してゆくのが真実の姿である。

どんな偉大なものにしても、創世記の実態というのは全然大したこと無いかのように見える。学ぶべき教訓は、数十年、数百年後にそれがどんな風に大変貌を遂げるのかというビジョンである。

恐らく、質問 "print 2 + 2" に対するアルテアの回答 "4" という数字記号に、ビル・ゲイツとポール・アレンは今日のパソコンの姿を思い浮かべたに違いない。 

目前の現実を直視するよりかは、イマジネーションを全開させてその先に待っているものをビビッドに観ることもベンチャー起業家には欠かせない才能と思う。

* evolution : the gradual change and development of an idea, situation, or object

2006 年 03 月 24 日 : Motive

『何故そのベンチャーを創めたの?』

簡単な質問ではあるが、論理的な矛盾で破綻しないためにも押えるべきはこの質問に対する単純明快、シンプルな答えであろう。

     「自由に生きたい」

     「才能を伸ばしたい」

     「人の役に立ちたい」

     「金持ちになりたい」

     「社会貢献したい」

     「人を驚かせたい」

     「人を楽しませたい」

     「有名になりたい」

     「大きなことを為したい」

        ………

人それぞれに起業の理由はさまざまで、一概にどれが正しいと言えるものではない。

それは、もしベンチャーに人格があるとするなら、人格を定める類の質問なのだと思う。

日によって人格が変わる人は精神的に病んでいるように、それは法人である企業にも当てはまることである。

考え方やポリシーが首尾一貫しているから、企業は安定的に成長するのだと僕は思う。

その意味において、統一感のある企業コンセプトはとても重要で、その発端は冒頭に記した質問である。

自分が確かに生きている実感を得るために僕は起業した。

残念ながら、「世のため、人のため…」というような大それた目標の域にまで全然達していない。

個人的に思うに、先ずは自分が自立し、己の人生の目的を達成出来たとして、それは考えるべき命題と見なしている。

ただ、独りで生きている訳ではないので、世界全体を俯瞰し時代と共に移り変わる世の中を眺め、一歩でも良き方向に自分が持てる才能をできる限り発揮するようには努めている。

僕の起業の動機は極めて個人的なものである。自由に思うままに自己の才能が最大限活きる場で自分を試してみるということである。

たまたまそれに共感して価値を見出す人がいれば、その人が行動を共にするスタッフになっているかもしれない … というような極自然なスタイルが理想である。

ベンチャーは、動機に始まり、そして動機によって完成されるように思う。だから、それはいつも大切にすべきであるし、真剣に考えるべき事柄でもある。

* motive : the reason that makes someone do something, especially when this reason is kept hidden

2006 年 03 月 24 日 : マーケティング

「企業は、その目的が顧客を創造することであるがゆえに、二つの、いや二つだけの基本的な機能をもっている。それはマーケティングとイノベーションである」とP.F.ドラッカー氏はいう。

たった二つの基本機能しかないにも関わらず、冷静に周囲の企業を見渡せば、二つがバランスの取れた企業は滅多に見掛けない。

マーケティング、もしくはイノベーションのどちらかに甚だしく傾いているのが現状ではないだろうか。

P.F.ドラッカー氏のいう、マーケティングとイノベーションのバランスを僕は何よりも大切にしている。

根本的な原理原則にも拘らず等閑にされていることは、他と比較して相対的に百戦百勝の勢いで経営するための能力を獲得したに等しいからだ。

ソフトウェア業界では、技術志向の企業はイノベーションに没頭するあまり、マーケティングが貧弱である場合が多い。

ソフトウェア業界のサイトについて、デザイン、文章、構造、ナビゲーションなど、どうだろうか?

これはよく出来ているということで、それを参考にしてサイトを設計し構築したいと思えるのはごく僅かではないだろうか。

昨年サイトリニューアルのためにいろんなサイトを研究していた頃、僕はそんなサイトをソフトウェア業界に見出せなかった。

デザインが良かったり、製品情報以外に役立つ情報を発信をしていたり、製品マニュアルを公開していたり、製品価格を公開していたり、日本語だけでなく英語のサイトを公開している例はあまり見当たらない。

この業界はそのような切り口では競争レベルが極めて低いと言えるかもしれない。

確かにプログラミングを趣味とし得意とする者にとって、テクノロジーの追求は楽しいものである。だけど、たとえ世界に誇れるほど、もの凄い技術が生まれたとしても、それが売れなければそれは自己満足でしかない。

人々に好んで選ばれ売れ、そして使われることに意味があるのであって、未来への飛躍はそれを起点にして創まるのである。

ソフトウェア業界では、他の会社がマーケティングが等閑になっているだけに、ほんの少しそれに努力を傾けるだけで収穫は予想以上にあると思う。

それはこんな例えが分かり易いかもしれない。100点満点で、数学が 90 点、英語が 5 点であったとする。

上限が 100 点であるだけに、数学を 95 点にするには大変な努力が要求されるが、英語を 10 点にするのは容易い。しかも前者は相対的に5%弱の点数の上昇に過ぎないけど、後者は 100 %の点数の上昇なのである。

5 点であるマーケティングに少し注力し、10 点にまで向上させる努力で得られる成果は桁違いに大きい。