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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Business Model

2005 年 11 月 06 日 : プロダクト ビジネス

製造業には大きく分けて 2 つのビジネススタイルがある。ひとつはお客様からの依頼に基づく受託開発型ビジネス。もうひとつはオリジナル製品を研究開発し不特定多数のお客様に提供する製品開発型ビジネス。

受託開発型ビジネスでは依頼されたシステムの開発が、お客様の仕様を満たすものであれば、対価としてのキャッシュが入ってくる。しかし製品開発型ビジネスの場合、必ずしも売れるわけではない。むしろ売れる製品より売れない製品の方が圧倒的に多い。

ソフィア・クレイドルは基本的に 100 % 製品開発型ビジネスを展開している。製品開発型ビジネスの最大の難関は、研究開発した製品が売れるかどうかという一点に絞られる。

創業初期であればあるほど、ベンチャーは経営資源が限られる。それ故、研究開発した製品が売れなければ誰からも気付かれずひっそりと経営破綻するだけ。厳しい現実がそこには待ち構えている。

売れなければ倒産という崖っぷちに自らを置いてみる。背水の陣を敷かなければ見えないものもある。100 % 製品開発型ビジネスに集中特化すれば、製品が売れなければ事業の消滅を意味する。自ずと売れる製品とは何かという問題意識を常に持って、仕事に臨む習慣が付いてくるのである。

大ヒットする製品には、動物と人間の決定的な差である"喜怒哀楽"の要素が色濃くでている。"喜怒哀楽"のある製品を創造するにはどうすればよいか、というのが製品開発型ビジネスの至上命題であり、この命題が解けた瞬間に爆発的に大ヒットする製品が生まれると考えている。

最も重要なのは、お客様がその製品を使用する状況を、どれくらい具体的に強く鮮明にイメージできるかに尽きると思う。キャッシュが見込める受託開発型ビジネスを兼業していると、人は弱い生き物だから必ずイマジネーションにも弱さが生じる。

売れる製品は 100 に 1 つと言われるくらいに少ない。それだけにほんの少しの仕事への取り組みの迷いが致命的になる。100 % 製品開発型ビジネスに集中特化すればそんな迷いが生まれる余地はない。必然的にヒットする確率というものも飛躍するのである。

  

2005 年 11 月 04 日 : 100 × 1 ≠ 1 × 100

小学校で習う算数では
 100 × 1 = 1 × 100 ( = 100 )
である。

しかし現実のビジネスでは
 100 × 1 ≠ 1 × 100
であり、
 100 × 1 ≪ 1 × 100
という"論理( ロジック )"についての理解が極めて重要。

100 × 1 は 100 人のお客様に異なる 100 種類の仕事を縦展開するビジネスを、1 × 100 はひとつの同じ仕事を異なる 100 人のお客様に対して横展開するビジネスを意味する。

ベンチャーを起業する際に、肝に銘じなければならないのは最悪の事態の想定である。それは最終的に頼るべき人は"自分独り"だという覚悟。最悪、"自分独り"でも事業を伸ばせるビジネスモデルがあるかないかが最大のポイントになるだろう。

"独り"で 100 人のお客様に対して多種多様な仕事を同時に縦展開するのは至難の業。けれども"独り"でひとつの同じ仕事を 100 人のお客様に対して横展開するのは実現可能である。

そのベンチャーを成長させたいと心底のばしたいならば、この発想は基本中の基本と言える原則ではないだろうか。

ソフィア・クレイドルでは、現在、携帯電話向けソフトが世界マーケットで急成長中である。だから今はこのドメインに絞って事業を営んでいる。研究開発しているソフト技術は"プログラム圧縮"&"プログラミング言語"のたった 2 種類に過ぎない。しかし両者とも普遍性と汎用性に富んだ、何処までも底知れぬ深さのあるソフト技術なのだ。

NTT ドコモ、au、vodafone、WILLCOM と国内全てのキャリアに対応している。更に言えば、国内に止まらず、米国、英国、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、ポルトガル、中国、韓国、インド、ロシア、ブラジルなど世界の携帯電話で利用可能なように実装されている。

その上、PDA、iPod、PSP、Nintendo DS、GAME BOY など、携帯電話以外の携帯情報端末をも網羅している。

これが 1 × 100 型のビジネスモデルである。

  

2005 年 11 月 03 日 : 売上とか利益とか

ひたすらお金を追い求めて慌しく人生を過ごすのはよくあるケース。売上とか利益とか、ソフィア・クレイドルにはお金に関する目標やノルマは一切存在しない。

大きな数字になるに越したことはない。確かに言えるのは、去年より今年、今年よりも来年という風に、きっと数字は加速して美しくのびるだろうこと。極めて楽観的なのだ。

サラリーマンの頃、お金に困っていた訳じゃなかった。他人の思惑に左右されるよりも人生を自ら切り拓ける道を求めて起業した。初心は大切にすべきもの。

自らの意志で自らの思いのままに生きる姿こそ自分の理想であり、会社のポリシーでもある。

しあわせな乳牛からは美味しいミルクが生まれるという。同様にスタッフが幸せなら、創造されるものはこよなく素敵で魅力的なものになるだろう、という仮説を持っている。

安心して経営に臨める理由はそんなところにある。

  

2005 年 10 月 20 日 : 掛け算のビジネス

"100" という数字を "100" 回繰り返し足しても、"100" という数字に "100" という数字を掛けても、その結果は等しく "10000" である。ビジネスの場合も、結果としての売上とか利益の数字があってそこに至る道筋には様々な出来事がある。

会社を経営していると予期するしないに関わらずいろんな岐路に立たされる。その選択の仕方には個々の人ごとに経営者としての思いが込められている。たったひとつのある分岐点がその企業の行く末に決定的なインパクトを及ぼすこともある。

起業するときの最初の分岐点は、足し算もしくは掛け算か、どちらのスタイルを選択するかという決断だったと思う。足し算のビジネスというのは一件一件個別に異なる案件をこなしてゆくスタイルであり、掛け算のビジネスというのは一つの案件を複数に横展開してゆくスタイルである。

単純に考えると明らかに掛け算のビジネスの方が儲かる。だが、それは横展開できた場合の仮の話である。先ずは、一件一件着実に仕事をこなす足し算のビジネスの方がその先に待つ未来ははっきりと見える。

"100" という数字を "100" 個並べて書くのは手間がかかるが、同じ結果をもたらす "100" × "100" という式は一行で簡単に書けてしまう。この 100 個の "100" という数字が 1000 個、10000個、・・・ という風に桁違いに増えていったらどうなるの、という問いに対する解答こそが本質といえるかもしれない。

掛け算のビジネスであれば、それが1億の数になったとしても単純に
   100 × 100000000
と書くだけである。この"×"という記号には、スケーラビリティのあるシステム的な性質がある。直ぐにその解が分からないだけに、いろんな意味でチャレンジャブルだ。

足し算と掛け算、どちらにしても一長一短がある。最終的に選んだ道は掛け算のビジネスだった。簡単に先は読めないけれど、読みきれた瞬間に明るい未来への展望が拓けてくる。そんな期待感を抱いて、未知の世界をじっと見つめる日々が幾日も続いた。今も進行中だが、視界は次第に開け良好になっている。

Windows のように、複数の任意の人びとが全く同じものを何度も繰り返し使うことになる必然性とは一体全体何なのか?掛け算型ビジネスの起業が成功するかどうかはこの問い掛けの答えを見出すことに掛かっているように思う。

  

2005 年 10 月 19 日 : 世界戦略

マイクロソフト製品で普段よく使うのはWindows、Internet Explorer、OutLook、Word、Excelというたった 5 種類のソフトでしかない。にも関わらず、マイクロソフトは世界最大のソフト企業である。その理由は世界中の人びとがその限られたソフトをいつも使っているからである。

ソフィア・クレイドルは少数のスタッフから構成される組織である。研究開発できる製品の種類や数も限られる。ソフト企業が成長するための基本は、たとえ種類は少なくとも自社のソフトをネット経由で世界中に流通させることであるという仮説を立てた。国内だけでもソフトを販売するのは大変だ。だから世界に販売しようとするのならば逆に製品の種類を絞るというのが正解ではないかと考えた。

そんな背景もあって、ソフィア・クレイドルでは創業した頃から英語版の Web サイトを用意し世界に向けて情報発信している。そして海外から注文が来てもネット経由で製品をオートマティックに瞬時に出荷できる体制を整えつつある。ネットがあるからこそ成立するビジネスモデルである。少数でやろうとすれば必然的に製品の種類を絞らざるを得ない。結果的に最善を尽くしたビジネスが展開できるというシナリオなのである。

あまり外出しないかわりに研究や勉強も兼ねてベンチャーのサイトをヴァーチャルに訪問する機会は多い。Web サーフィンしながら思うのは英語版の Web サイトを提供しているベンチャーの少なさだろう。感覚的な数値ではあるが、1 〜 2 %くらいの確率でしか存在していないのではないだろうか。

客観的には国内、そして海外という戦略が常道かもしれない。けれども、そんな事情があるからこそ、最初から海外マーケットをも視野に入れて事業を展開するというアプローチもあり得ると思う。ある意味ではニッチ中のニッチな、正統派ベンチャー戦略ともいえるかもしれない。

現状のネットビジネスでは、想定するキーワードにて Google, Yahoo!, MSNなどに自社サイトが上位にランキングされることが生命線ともいえよう。ローマは一日にしてならずともいう。同じように海外の検索エンジンにて自社サイトが上位にランキングされるにはそれなりに時間がかかる。

直ぐに結論がでるものでないかもしれない。それ故に、経営資源が限られるベンチャーにとっては目先の現金に結びつかない海外 Web サイトは敬遠がちになるのだろう。でも海外マーケットを視野に入れるのならば、最初から、数年後全世界に製品をネット経由で全自動販売しているイメージと、そこに至る道筋を鮮明に思い描いてビジネスをすること。逆説的ではあるけれども、それがゴールへの近道であると信じた。

  

2005 年 10 月 19 日 : S( n+1 ) > S( n )

仮に時刻 x における企業の総合的な指標があるとして、それを S( x ) としよう。企業が永続するには究極的に全ての n に対して 
     S( n+1 ) > S( n )   n = 0, 1, 2, 3, 4, 5, ・・・
が成立するように心がけて経営すれば良い。

関数 y = S( x ) がどこまでも単調増加の軌跡を描くことを目標にしている。勝負に出ることである時刻 t から時刻 t + 1 に移り変わる瞬間に S の値をジャンプさせることも狙えると思う。その見極めこそが経営者のセンスともいえる。

肝心なのはその勝負の内容ではないだろうか。自然の流れに逆らって力まかせのスタイルで成果をあげる道もあればその逆もあるだろう。老子や荘子の思想を学んでいるせいかもしれないが、どちらかと言えば自然に任せてうまく回る経営を理想としている。

大切なのは、どうすれば時代の潮流に自然に乗れるかということだろう。大きなジャンプを捉えるには断層のようなものを正確にきちんと読み取れるかどうかが重要である。それさえ間違えなければ企業の経営というものは安泰である。それこそが経営者に課せられた最大の使命かもしれない。

それはインビジブルな世界であり難航を極める。しかし感性を研ぎ澄ませることで道は拓けると信じている。

  

2005 年 10 月 07 日 : エンドレスな軌跡

販売すべきソフトウェア製品が完成した今、ソフィア・クレイドルのビジネスは単純に次の方程式で表現できる。(ライセンスビジネスなので [売上] = [粗利益] )

[粗利益] = [製品の種類] × [販売価格] × [販売数量]

この方程式の利益を最大化する目的の一種のゲームを考えてみよう。このとき、ゲームに勝利するには「製品の種類」「販売価格」「販売数量」の各パラメーターを最大化する方法を発見すれば良い。人的にも物的にも資金的にもいろんな制約条件がある。だからこれら三つのパラメーターは相矛盾し同時にプラスというわけにはいかない。それ故にアーティスティックなバランス感覚が要求される。

恐らく重要なのは経営におけるプライオリティであろう。プライオリティとはどのようにして設定するのがベストだろうか。起業家ごとに経営のスタンスは異なる。経営に対する自分の思いを表現する姿勢が問われる事柄だ。

できる限り長くソフィア・クレイドルが存続できるようにという思いが私のスタンスである。歴史を振り返った時にある事実に気付いた。どんな組織も範囲を拡大しようとするあまり却って衰退を加速するのではないだろうかということだ。ローマ帝国、モンゴル帝国、古代中国の秦など、あらゆる組織が巨大化することによって繁栄は築けても結果として必ず崩壊を余儀なくされている。だからソフィア・クレイドルの存続を願うには、できるだけ少人数で運営する仕組みやシステムこそが最もプライオリティが高いと考えている。

そのためには「販売価格」を高値で維持することが最も近道ではあるが、一般に製品価格と販売数量は反比例の関係にあって製品価格を高くするとその分製品の販売数量は減少する。

ではどうすれば良いかというと量より質を追求することである。この場合の量とは製品の種類のことである。製品の種類が多ければ多いほど開発や販売に携わる人の数は増える。だからと言って新製品は売れるとは限らない。大抵の新製品はマーケットからすぐ姿を消している。

ある種のヒット製品には限りなく売れ続けるというマーケットの側面がある。コンピューター業界ではそれが顕著である。Windows、Intel、Apple、ORACLE、Adobeなどの製品は寡占状態とも言える。販売する製品を限りなく絞ってヒットさせれば、同時に販売数量も最大化されるのではという未来が予想できる。

製品を販売し受注し出荷する業務そのものをシステムとしてIT化すれば、ソフトウェア製品なので販売数量が増えても人員を増やすことなく単純にコンピューターをグレードアップしたり台数を増やすだけで済む。至極シンプルなビジネスモデルが出来上がる。

もう一つ大切なことがある。それは絞り込んだ製品がロングレンジに渡って売れ続けるかどうかという視点だ。ロングセラーをどうやって発見するかが真の課題なのだ。IT 業界の場合、私たちが日常で使っている言語(言葉)から類推してプログラミング言語の周辺にあるのではないかという仮説を立てることができる。日本語も英語にしてもあらゆる言葉について言えるのは何百年間もその基本形は変わっていないということだ。

IT 業界では、次から次へと限りなく新製品の発売が繰り返されている。しかしそのコンピューターを動かしているソフトウェアそのものを記述しているプログラミング言語の大半は C/C++ や Java もしくは BASIC だ。ドッグイヤーとかラットイヤーとか言われて慌しい IT 業界でも、それを記述するプログラミング言語の世界では時が止まっているがごとしである。

1975年、ビル・ゲイツ氏が率いるマイクロソフトの歴史がスタートした。マイクロソフトの最初の事業は BASIC というプログラミング言語に関連するものであった。その BASIC は名こそ Visual BASIC と変われども、30年以上時を経た今も売れ使われ続けている。

果てしなくひろがるビジネスのヒントはこんなところに隠されていたりする。

  
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