2007 年 08 月 23 日 : クラシカルなソフトウェア
427 ファイル、テキストだけで 15 メガバイトにも及ぶ大量の HTML ファイル(製品マニュアル)を駆け足で英訳してきたためか、まだまだ改善の余地がたくさんある。スタッフがまず翻訳した英文を推敲につぐ推敲で、文章の洗練化を図る日々が相変わらず続く。
『クラシカルなソフトウェアを創造する』のが、事業の最大の目標であり、目的でもある。
"classic"を辞書で調べてみると、"judged over a period of time to be of the highest quality." とか、"a work of art of established value." などの説明がされているが、そんなイメージのソフトウェアを創り出せるかどうかなのだ。
短期的ではなく長期間に渡って永続的に最高のクオリティを維持し続けるソフトウェアは、どうすれば生み出せるかという問題である。
ベンチャー業界では、時間を金で買うというような発想で、多くの資金を調達し、必要な人と物を集めて短期間で事業計画を達成するという考え方が大勢を占める。
けれども、歴史を振り返れば、何百年にも渡って生き永らえる「クラシカルな芸術作品」が金で創られた話はほとんど聞かない。そんなものを創造するには、何か別次元の座標軸から世界を眺める必要があるのではないだろうか。
些細なことなんだけど、フィーリングがなんとなくでも合わないところがあると、すぐに改善して行く。そんなサイクルを延々と繰り返している。
自己の感性を深く信じて、これまで 5 年以上もの時間をかけて研究開発してきたものの最後の仕上げを成し遂げたいと願う。
2007 年 07 月 26 日 : 世界マーケット向けに BREW C++ フレームワーク 製品出荷開始
本日、SophiaFramework というソフトウェア製品の英語化を完了しプレスリリースを発表した。このソフトウェアの海外対応は、昨年の 10 月からスタートしたので、概ね 10 ヶ月の時間を要したことになる。
リファレンス マニュアルが圧縮形式のファイルで 18 MB もあって、翻訳が専門でない社内スタッフだけで英語化したので大変だった。僕も 1 月以降は翻訳 & 翻訳の日々が続いたが、ようやくこの苦しい仕事からも解放されると思うと、ホッとしている。
世界全体のグローバルマーケットのポテンシャルは、国内のマーケットのそれと比較して 30 倍もある。日本語を英語に翻訳するだけで、マーケットが 30 倍もひろがるのだから、絶対にすべきであると決断して今日まで頑張ってきた。
文章を書くというのは、行間に込められたメッセージが想像以上に大きな意味を持つと考えている。そのためにも、製品の開発やマーケティングに携わるスタッフが翻訳にあたるプロセスが何より肝心に思えた。
[Press Release]
ソフィア・クレイドル、世界マーケット向けに BREW C++ フレームワーク "SophiaFramework" 製品出荷開始
〜 GUI フレームワークと WSDL / SOAP / XML ミドルウェア を含む、世界唯一の BREW 向け C++ ライブラリを海外対応 〜
■概要
携帯電話向けソフト開発の株式会社ソフィア・クレイドル(本社:京都市、代表取締役社長:杉山和徳、以下 ソフィア・クレイドル)は、 2007 年 7 月 26 日から世界マーケット向けに BREW C++ フレームワーク SophiaFramework の製品出荷を開始します。 SophiaFramework は、GUI フレームワークと WSDL / SOAP / XML ミドルウェア を含む、世界唯一の BREW 向け C++ ライブラリであり、携帯電話向けソフトを従来より数分の 1 程度でシンプルにプログラミングできるという点が最大の特長です。
詳細:/news/pressrelease/2007/20070726.html
2007 年 01 月 30 日 : バベルの塔でない共通の言語
創業した当初は、スタッフの国籍は全員日本であった。
いまやスタッフの半分は海外の国籍を有する。特に研究開発部に至っては 8 割が海外の人材であり、寧ろ日本人は少数派の部類に相当するようになった。
世界で通用するハイクオリティなソフトウェアをアウトプットする。ただその一点の目標を達成するために行動した結果、自然とそうなったのである。
ゆとり教育が影響しているのか、あるいは日本の中学や高校では、プログラミングについての教育が等閑になっているのか原因は定かでない。
確かに言えるのは、超一流のソフトウェアを世に送り出せる人材は国内だけでは得がたくなったということである。
逆転の発想をするならば、世界から人材を募ればそんな想いの達成される確率はアップするのだろう。
スタッフが操れる言葉は人それぞれ、日本語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ルーマニア語、ヒンディー語などさまざまである。
オフィスやメールでは多様な言語でコミュニケーションが交わされる。
研究開発部は、大半が国籍が違う者同士でのコミュニケーションなだけに、苦労が偲ばれていたが、意外にもコミュニケーションはうまくいっているようである。
何故なんだろうと思って気付いたのは、唯一お互いに理解し合えている言葉の存在であった。
それは 「C++」 というプログラミング言語である。
「C++」 というプログラミング言語によって記されたコンテンツは理解し得るものであるらしい。
超一流のソフトウェア製品とは、世界中の人々に利用されることを着地点に置いている製品であって、そのために日々ソフトウェアの研究開発に明け暮れている。
それが目指すのは、携帯電話のような情報端末向けのソフトウェアを C++ 言語で表現できるようにする辺りにあることが興味深くもある。
2007 年 01 月 18 日 : ソフトウェアという名の商品
ソフトウェアは、質量も重量もゼロ。
カタチすら無い。
高度情報化社会ではこんな商品が多い。
どうすれば、はっきりと実体が見えないモノの価値を的確にプレゼンテーションできるのだろう?
世の中には、オークションで高値で売買される名画のように、如何様にでも高く値付けされるものもある。
逆も然り。むしろブロードバンドネットの普及によって情報は氾濫し、その価値はいっそう逓減するようだ。
情報は、一生を費やしても遥かに接しきれないほどネットの向こう側にある。
そんな状況だから、ソフトウェアをネットだけで販売する難しさを痛感する。同時に、これほどまでに遣り甲斐のある仕事も少ないのではないかと思っている。
創ったソフトウェアが売れなければ、事業の継続は叶わない。
何故、お客様は僕たちのソフトウェアを購入されたのか。そしてその理由はずっと変わらないものなのか。変革が現れるとすると何を契機にしてそれは発生しうるのか。
シミュレーションしてアクションし、フィードバックから更なるシミュレーション …。
サイクルを何度も何度も繰り返す。
カタチの見えぬソフトウェア事業はそんな風にして進化発展を遂げるのかもしれない。
2007 年 01 月 17 日 : Global recruiting
大企業の採用枠拡大、若者の安定志向や少子化でベンチャー企業では有能な人材の採用が難しくなってきているという。
オリジナルブランドのソフトウェアを製造し販売する業態だからなのかもしれないが、疑問に感じることが一つある。
それは、ベンチャー企業の仕事というのは、大企業と比べて難易度が高いのではないかということだ。あるいは、異なる能力が要求されるのかもしれない。
普通に考えても、大企業で通用しない人材はベンチャー企業でも大苦戦するだろうし、寧ろベンチャー企業は、大企業で働く社員を遥かに凌駕する人材にジョインしてもらうことが何よりも重要だと考える。
勿論そんな人材は稀有な存在であり、自然と少数で会社を運営せざるを得ない。
しかし、人材を募集をするエリアを、日本に限らず世界全体に拡大すれば、何倍もの確率で素晴らしい才能に巡り会える。
2007年のテーマは、"Globalization"。
海外にマーケティングするだけでなく、人材も広く海外から募りたい。
2007 年 01 月 17 日 : 量りしれない価値
モノやサービスを創って販売する、というのがベンチャービジネスの基本だと思うのだけど、この基本を学べる場は意外と少ない。
あるいは、このことをあまり重要と思わないだけかもしれない。
ベンチャーのモノやサービスには、独自性というものが要求される。
そういう創造力を養う教育はどれくらいなされているのだろう。
販売というものは商学部で学べるのだろうか。
自らモノ、サービスを創って販売した経験のある教授はどれくらいいらっしゃるのだろう。
社会にひとりで放り出された場合、モノやサービスを創って販売するというスキルが真っ先に要求される。
生まれながらにして才能に恵まれている人も確かにいるけれど、経験によって学ぶことも可能であり、そういうスキルは人生を切り拓くための大きな推進力になると思う。
ある意味では、学位こそ授与されないものの、その価値は大学で学ぶ専門知識以上に有益に思えることもあるかもしれない。
その価値は何かと問われれば、誰の思惑によらないで、100 % 自分の思うままに未来へ前進できることと言えるだろう。
ベンチャーで働く最大のメリットである。