2006 年 02 月 25 日 : Web branding I
インターネットは時代に断層を刻む存在と言えるだろう。何十年後かの未来から振り返った時、かつてヨーロッパを起点として世界に広がった産業革命以上に巨大だったと、その偉大さを改めて思い知らされるほどの。
だから、インターネットという大きな波をどのように位置づけて対処するか。それ次第で未来の在り様に天と地ほどの開きが出てくる。
それだけに滅多に訪れない千載一遇のチャンスであり、しかもそれは世界中の人々に開かれている平等なチャンスでもあるのだ。
でも、今のところ真にそういった認識をしている人ってそんなにいないように思えてくる。
なんとなく漠然として、インターネットって新しい世界への扉のように思いながら、そこに勇気を奮って飛び込む人は少数派だ。あるいはそんな認識すらない人々もまだまだ多い。
ビジネスでは何の戦略や戦術を持たず、徒手空拳で悪戦苦闘している人々も多いと思う。
例に漏れず、僕もいろんなアプローチを試しては失敗するというプロセスを何度も何度も繰り返し、その中から微かな光を見出し、そこに明るい未来への実感を確かにしている。
最終的な着地点へ繋がる道への"最初の扉"は何か?というのが最大のポイント。
それさえ見つかれば、その扉から連続的にのびる曲線を辿れば時間の問題でゴールに着地できる。
大事なのは着地点のリアルなイメージと、それに繋がる道への最初のステップなのだ。
僕のビジネスの着地点は、僕たちの創造したモノをネット経由で世界のあらゆる人々に情報発信し、それを必要とする人々に、ネット経由で届けるというカタチそのものである。
であるのならば、必須となるポイントは、人々が僕たちのサイトに訪れてくれて、その人々の心に何らかのプラス方向への変化を引き起こせるかどうか。
その思考回路から分かったのは、リアルビジネスでもそうだけれども、ネットビジネスでもブランディングで、全ての勝負は決せられるだろうということ。
他の業界は余裕が無くてあまり勉強できていないが、少なくとも技術志向のソフト開発企業全てに共通して言えるのは、ブランディングについての意識の低さであった。
ソフト開発企業の Web サイトをよく研究すれば分かると思うけれど、所有しているソフト技術は光るものがあるのに、肝心の Web サイトには技術面でもデザイン面でもコピーライティング面でもそういったものが全然みられないのだ。
こういった側面は、技術力を前面に押し出して推進する、まさに僕たちのようなベンチャー企業が成長するためのチャンスにも成り得た。
例えば、Google で BREW と C++ をキーワードにして検索すれば、全世界で 65 万件の関連するページが登録されているが、第 1 番目に表示されるのは僕たちの会社のページである。
今月で創業して 5 年目になった。でも僕たちの会社よりも長い歴史を持つ会社の方が多いにも関わらず、ソフィア・クレイドルのページが 1 番に表示されている。
他にも 1 番に表示される、いろんなキーワードがたくさんある。
何故 1 番目に表示されるのかというのが肝心なポイントであるが、僕たちの会社のページも最初からそうなったわけではなくて、そうなるようにしようとする意識があったからそうなった。
そしてそれは周囲の同業者には、それくらい強く願う会社が少なかった結果なのではないだろうか。
今日の仕事のスタイルを思い浮かべてみて欲しい。きっと Google にキーワードをインプットして検索しては新しい発見をし、それを無意識に仕事に活かすという繰り返しのエンドレスなサイクルになっているはずである。
至極当たり前のことだけれども、Google の検索結果で最初に表示されるページのアクセス数は圧倒的に多い。
この事実をどれくらい重く捉えることができるか否かが分水嶺である。
人はそのキーワードと Google をクリックした瞬間に視界に飛び込んでくるページの印象で、その会社へのイメージを心の中に刻んでゆく。
それだけに大切なのは、会社を表現するブランドイメージの文章のキーワードが Google の検索エンジンで 1 番に表示され、その先のページも会社のブランドイメージにマッチするサイトにできるかどうかである。
こんな風にして Web Branding に、ソフトの研究開発と同じくらい大きな努力を払っている会社はソフトウェア業界では稀である。それ故にベンチャー企業として、そこにチャンスを見出せるのである。
これからも、扉の向こうの道程は果てしなくひろがっている。