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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : History

2006 年 02 月 22 日 : Establishment

今からちょうど 4 年前の 2002 年 2 月 22 日に、ソフィア・クレイドルという会社が誕生した。

ワールドワイド、クール、新しい香りを感じさせるような組織体を目指して創業した、あの日が昨日のことのように今もなお新鮮に生き生きと思い出される。

アスリートのチームのように、その時々のベストなメンバー構成で組織もダイナミックに変化している。リレーの如くある人から別のある人にバトンが渡されながら、人も会社も成長をしている確かな実感が得られるのは他に代えることの叶わぬ体験だろう。

最初の頃、時に目的地点が見えなくなり模索する日々も多かった。

けれども、その都度、人間という生き物の限界にチャレンジすることで、見えないものも見えるようになるという能力が身に付いてきた。

それから何よりも、製品を購入してくださったお客様、励まし見守ってくれる方々にはこの上なく深く感謝の意を表したい。

ネットの世界でよく言われるキーワードとして「ドッグイヤー」がある。ネットの業界はテクノロジーの進歩が余りにも激しいので、この業界の 1 年は普通の業界の 7 年に相当するという意味である。

この言葉はこんな解釈もできると思う。

僕たちの 1 年は、普通に暮らしている人々の 7 年に相当するのかもしれないという考え方である。

仕事の質と量、集中力からすれば、普通、1 週間でする仕事を僕たちは 1 日でするよう心掛ける。そうしなければ生き残れない厳しい世界であり、生き残ることができればワールドワイドな業界でクールさというものを味わえるのではないだろうか。

そこに人生の喜びや価値を見出せる。

実際のところ、何事においても達成感というものはそんな風にして自ら獲得するものなのかもしれない。

  

2006 年 02 月 22 日 : Swift bic

SWIFT BIC をご存知だろうか?

僕も海外取引を始めるまでは全く知らなかったのだけれど。

海外に送金する時は、直接相手の銀行口座に振り込まれるのではなく「外為センター」と呼ばれる銀行を経由して振り込まれる。

その「外為センター」のコードのことを「SWIFT BIC」という。

弊社の場合、取引銀行は「みずほ銀行」だから「SWIFT BIC」は"MHBKJPJS"。

先方に、この「SWIFT BIC」と呼ばれるコードと取引している銀行の支店名の英語名称と店番号、口座番号を伝えるだけで肝心のお金のやり取りは完結するのだ。

あとはオファーシートと呼ばれる、注文書兼請求書みたいなものを作って、お互いに署名しFaxすれば受注と請求の業務は完了である。

扱っている商品はソフトウェアなので、受注、請求、入金の業務が終われば、後はネット経由でお客様に光速のスピードで届けるのみ。

実際にやってみれば簡単なプロセスなのであるが、これを貿易関係の専門書を読みながら一人で遂行するのにかなり手間取った。

どんなことでもそうだけれど、最初の 1 回目というのは 2 回目以降の圧倒的な手軽さと比較して大変だなと改めて実感する。

サラリーマンをしてた頃、それぞれ専門家がいて何か分からないことがあれば彼ら、彼女らに任せれば、それで終わりだった。

起業すれば、そんなわけには行かない。最初、社長はあらゆることについて自ら考え、そして行動する習慣が求められる。そうしない限り何も始まらない。

無から有を生み出すとは正にそのことなのだ、と実際にやってみてよく分かった。

これは自分に向いて無いことでも、会社の存続や存亡、繁栄がかかれば、選択の余地はない。やるしかないのだ。

"静"から"動"のフェーズに移る時の慣性力をどうやって超えるかが大切であるが、思いが強ければそれもなんて事はない。

しかも、一旦、"動"のフェーズに入れば、逆にそれが慣性力となって後押ししてくれるから皮肉なものである。

0 と 1 って数字の大きさだけからすれば対したこと無いかも知れない。

けれども、現実の世の中の仕組みは掛け算で動いていると言っても良い。

例えば、売上は 商品単価×販売数量 である。

それを考えれば、0 に 100 を掛けても、1000 を掛けても、何も掛けても 0 に変わりは無い。

しかし、1 に 100 を掛ければ 100 になるし、1000 を掛ければ 1000 にもなる。掛ける数字の大きさに応じて、数字もどんどん大きく成長していくのである。

"有"の有難味というのはそんなところにあるからこそ尊いんだし、最初は苦しいけれどもやるだけの偉大な価値があるのだ。

今日、ブラジルのあるお客様から商品の代金の送金があり、商品をインターネットで送る業務をこなしていた。

その処理自体は瞬間的に完了するものに過ぎなかったけれど、海外との取引業務というプロセスを確立するまでには膨大な労力を費やした。

1 回目は大変だけど、2 回目からは瞬時に海外の取引は完了するのだから、そんな苦労は全然大したことないと思えるのが有り難い。そういうトレードオフをどう見積もるかが起業家に要るセンスの一つかもしれない。

インドからも注文が来ている。同じように処理するだけなので 2 回目からは手作業でもたった数分で受注から請求、出荷は完了してしまう。

"有"の尊さを実感できる瞬間である。

  

2005 年 12 月 23 日 : 忘年会にて

先週、今年初めてにしておそらく最後の忘年会に参加した。滅多に足を踏み入れることのない居酒屋特有の雑沓の中で少々落ち着かなかったけれど、久々に旧友を暖めることができたのは良い事だった。

集まったのは大学時代の同期の 4 名である。僕以外の 3 名は会社の近くの大学で先生をしている。この日記を読んでたりするとか。それでグレン・グールドのピアノを聴いてるのを初めて知って関心してくれた。今のミュージックシーンの音楽も聴いてるのでそれも驚かれた。

彼らと難解(?)な数学や物理の理論的な勉強していた頃が懐かしい。

今では忘却の遥か彼方にある数学理論も、学生時代は人の 3 倍くらい勉強していたかな・・・。それだけに数学という学問の本質やセンスと言えるものが頭の中で健在であることを願う。

学生の頃、励んだ数学という学問をビジネスに活かすべく、ロジカルシンキングなベンチャー経営に臨んでいるつもりである。そういった面ではベンチャー起業家の中ではユニークな存在だろう。敢えてそれを強みに転換して道を拓けようとしている。

学生時代の同期の誰もが経験し得ないような崖っぷちに幾度となく立たされながらも、それらを乗り越えてきた 4 年間である。まだ磐石とは言えないまでも、過ぎ去りし創業の日々と比べるべくもない。

今は僕が主体的に経営するソフィア・クレイドルだが、5 年もすればきっと僕がいなくとも正常に経営が為されているに違いない。

その先に待つ未来に向かってどんな人生を切り拓けば良いだろうか?

旧友と会って、再びアカデミックな世界やアートの道に戻るのも個人的に理想とする生き方かもしれない・・・と感じた日だった。

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2005 年 12 月 12 日 : 創業の頃

最近まで、創業・ベンチャー国民フォーラムのサイトに掲載されていた記事です。サイト自体がなくなっているので、Googleにあるキャッシュから復活させました。( 2004 年 1 月の話)

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「携帯電話に特化したソフトウェア基礎技術で業界から高い評価」

起業のきっかけと研究開発スタイル

 私は、i モードが登場した 1999 年 2 月にテレビCMを見ながら、これは面白いと直感しました。その後ビジネスとしての可能性を模索し、2002 年 2 月に起業しました。

 最初は、大きなプログラムが携帯電話に収まるよう自動的に圧縮するソフトを開発しました。製品は大手のゲームメーカーを中心に売れ、iアプリなどの携帯電話用ゲームに導入されています。 さらに現在ではウインドウズのような機能を携帯電話に搭載した製品を開発し、販売しています。

 今のパソコンは、5 〜 10 年後には携帯電話のサイズに収まるようになると思います。パソコンのウインドウズ、ブラウザ、データベースなどの機能を携帯電話に搭載すれば、大きな市場が生まれます。

 顧客と相談しながら当社製品の機能を拡張していけば、想像できないことが起こると思います。当社では、われわれが考えるコンセプトを製品として実装し、まず先進的なものを好む顧客に使ってもらいます。そしてその顧客の意見やアイデアを製品のバージョンアップに反映しています。まず 1 社で採用してもらうことで実績を積み、その後 2 社、3 社と徐々に取り引きを広めていくのです。

必要な人材

 自分で高い目標をもてる人が、私の考えるいい人材です。さらに、1 人ではいい製品はできません。さまざまな考え方を 1 つの製品にするということがいい製品を生みます。自律的に物事を考えることができ、異なる発想をもつ人と上手にディスカッションし、1 つの作品をつくり上げる人が必要です。

 社員には、自分で考え、社員間で議論してさらに考えることを徹底させています。さまざまな書籍を読み、さまざまな人の意見を聞き、自分の意見をぶつけ合い議論する。その結果に基づき行動し、どのように物事が進むのか観察し、物事の原理原則を見い出してそれを製品化する。当社には、目先の利益を追うのではなく、10 〜 20 年先を見据えた長いスパンで物事を考える人に集まってもらっています。

 また、創業時は、私だけが正社員で残りはアルバイトでした。売り上げや利益を見ながら、昨年から一人ずつ正社員化していき、現在は、常勤役員 2 名、正社員 4 名、アルバイト 10 名の計 16 名でやっています。

 実際正社員として入社すると、自分が思っていたことと現実のギャップが激しいのです。アルバイトとして働いてもらい、本当に当社で働いて楽しいと思えば正社員になってもらえばいいと思います。大企業で働くことが合っていると思えば、そちらに進む。お互いにそうしたほうがいいと思います。

徹底したローコストオペレーション

 高度経済成長期の日本企業は、社員を増やし、利益を度外視し、売り上げ規模を拡大してきましたが、結果としてリストラを行いました。当社は規模ではなく、社員 1 人あたりの売り上げや利益を重視しています。

 また、市場を世界中と捉えているため、営業拠点を新たに東京に設置することは考えていません。ソフトはインターネットで配信できます。IT 技術を活用すれば、支店をつくる必要はありません。Web サイトを通じさまざまな問い合わせに応えることで、顧客と良い関係を維持しています。

 創業時は、机やいすなどの備品も中古で購入し、経理などの事務も社長の私が担当しています。製品販売も、広告をだすのではなく、新聞や業界のホームページにプレスリリースを掲載してもらうことを考えています。出張も極力押さえ、営業は電話、メール、Web サイトなどを活用しています。

 こうしたローコストオペレーションで売れなければ、世界中に広げる製品はできないと思います。訪問して製品を買ってもらうのではなく、製品そのものの良さを理解した上で、買ってもらうことが重要です。

起業を目指す方へ

 現在の事業環境は、私が起業時にイメージしていたとおりにはなっていません。厳しい現実があり、そこをいかにして乗り越えていくかが課題です。

 こうした時支えになるのが、「なぜ自分は起業したのか」と思い出すことと、「自分が思っていることは、絶対達成できる」と諦めないことです。

 私は、毎年成長し、その成長の度合いも年々大きくなっていくなど、自分も社員も成長が感じられる会社をつくっていきたいです。着実に実績を積み重ね経営基盤を固めた上で、携帯電話会社や携帯端末メーカーなど大手企業と提携し、われわれの技術を広めていきたいと思います。

 数値化できない品質やデザイン力を高めていけば、生産量の多さや低コストで攻勢をかけてくる中国や東南アジアにも対抗できます。自分の好きなことで結果を出し、さらに良い環境の中で仕事をし、より顧客にとって使い心地が良い製品をつくる。

 私は今の自分の実力の範囲内で事業を展開していくことが必要だと思います。ベンチャー企業は、4 〜 5 年以内に上場を目指すなど急成長のイメージがありますが、自分たちの能力以上のことをやると会社は潰れてしまいます。徐々に自分の能力や人格などを磨いていけば、自然と結果もついてくるのです。

2004 年 1 月

株式会社ソフィア・クレイドル
代表取締役社長
杉山和徳

1962年10月大阪市生まれ。外資系コンピュータメーカー、シンクタンク、ITベンチャーを経て、2002年2月に京都市にて携帯電話向けソフトの研究開発を事業目的とした株式会社ソフィア・クレイドルを創業。現在までに、携帯電話向けのプログラム圧縮、ユーザーインターフェース、ネット閲覧などのソフトウェア基礎技術で業界から高い評価を得ている。

※誤字脱字などの不適切な表現、数字の誤りは修正しました。

  

2005 年 11 月 10 日 : Alpha

自分の全てを賭けているからこそ数十年後、数百年後 … の遥か先に待つ未来から振り返った時、どんな風に映るのかを常に意識している。真に価値のあるものは時を超えて存続するはずだ。

人びとが日常生活で使う言葉にしても昔は現在よりも遥かに多くの種類が存在していたという。例えば、α、β、γ、・・・などで有名なギリシャ文字。ギリシャ文字が考えられたのは紀元前 900 年頃の話らしい。現在では使われていない紀元前 1000 年頃に創られた 22 文字からなるフェニキア文字がベースになっていた。

ギリシャ文字は表音文字であり、フェニキア文字との大きな違いは母音をあらわす文字が存在したという点である。フェニキア文字でギリシャの言葉にとって必要性の少ない子音を母音に置き換えたものがギリシャ文字だったそうだ。

ギリシャ文字には母音を表す文字を含んでいたため、周囲のいろんな国々の何百、何千にも及ぶ言葉をギリシャ文字で表現することができた。それが古代ギリシャの繁栄に繋がっていった。

母音を含むかどうかで、ギリシャ文字とフェニキア文字とで運命の明暗が分かれた。かたちに変化こそあれどもギリシャ文字はクラシカルな文字として今も使われている。

ほんの瑣末な出来事に過ぎなく思えるものが重大なインパクトを及ぼす例とも言える。時を超えて人びとに使われるものを創れるかどうかは紙一重の差なのかもしれない。

  

2005 年 10 月 21 日 : 成長の実感

2005 年 10 月から第 5 期がスタートした。今日は決算の書類整理のためにお客様からの注文書をバインダーに閉じていた。第 4 期の注文書は 8 センチバインダー 1 冊にまとめることができた。感慨深かったのは同じ厚さのバインダーがもうひとつあったことだ。それには第 1 期から第 3 期までの 3 期分の注文書がまとめてあった。

注文書を閉じるバインダーの厚さで会社の成長を実感できるフェーズにようやく突入した。創業の頃、販売する製品すら無かったり悪戦苦闘しながらベンチャー的な香り漂う製品を販売していた日々とは隔世の感がある。

今のペースからすれば第 5 期の注文は海外からの受注も見込めるので大幅に増加する見通しだ。しかしスタッフ増員の計画はいまのところない。これまでの 4 年間で、売上が増加してもスタッフの人数を増やすことなく回るビジネスモデルを意識的に創ってきた。数年間はこのペースで伸びても数名のスタッフを増員するだけでいいスケーラブルなシステムになっている。

どうしても欲しい人材がいれば若干名採用する程度の人員計画はある。創業以来、スタッフの数は 16 名程度を維持して経営してきた。人数は一定でも売上と利益は着実に伸びている。その分、スタッフの待遇やオフィス環境は改善されてきている。

売上と利益の伸びとスタッフの数をどうバランスをとるかが重要だと思う。理想とする人材にはなかなか巡り合えないだけに、在籍するスタッフにどうやって報いるかというのが先決であると考える。

例えば、仕入れがゼロの会社でスタッフは増えないのに売上が 3 倍になるというのは 1 人当たりの付加価値が 3 倍に高まることを意味する。それはスタッフが以前と比べて 3 人分の仕事をすることに等しい。

ベンチャーで働くメリットは 2 点に集約される。自ら好んで打ち込める仕事を成し遂げれること。それから、その成果に応じて上限のない収入を得られること。第 5 期以降はこれまでの先行投資を回収するフェーズなのでベンチャーの 2 番目のメリットをスタッフが享受できるようにしたいと願っている。

  
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