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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Management

2006 年 06 月 09 日 : Standard

高校時代、書道の時間に、「不動心」という言葉を飽きることなく何枚も何枚も書いていた頃が懐かしい。

当時、この言葉に対する認識はいまと比較するべくもなく浅かった。

全くというほど分かっていなかったけど、記憶の中に残っているのが不思議ではあり、これが潜在意識というのだろうか。

会社を経営していると、不確実なものに対して、確かなる実感を抱いて意思決定するという局面が多々訪れる。

況して、ソフィア・クレイドルのように業界初という代物を世界マーケットに送り出そうものなら、そんな出来事の連続で、それを点と点に繋げてゆけば複雑に入り組んだ曲線にもなろうかというほどだ。

何事もなるべくしてなる、という天才がいるのは事実かもしれないけれど、そこには何かが潜んでいるような気がしてならない。

世界は意思決定し行動することによって変化してゆくものではないだろうか。

行動こそが変化の直接的要因であり、その元を辿れば、それは当事者である本人の意思決定の判断基準に帰着されることが容易に分かる。

意思決定のための判断基準とは、その人の人格そのもののと言えるかもしれない。

想い描くシナリオを実現できる人とできない人の差は何だろう。

これこそが重要なポイントである、と僕は考える。

真・善・美という、基本となる三軸を知って照らし合わせて、常にマキシマムな状態にあり、ブレはないかどうか。更に言えば、一点の曇りもないかどうか。

日頃から心掛けたいのは、そういった心の状態を不動のものにするということである。

  

2006 年 06 月 09 日 : IT 革命の予感

10 年ほど前から、「IT 革命」というキーワードをよく聞くようになった。

この言葉をどう受け止め、解釈するかは人それぞれであろう。

本当に革命的な出来事になるのかどうかは、何百年か先に待つ未来から現代を振り返るしか確実なことは言えないけれど、僕自身は滅多にないチャンスが到来したと感じている。

昔、英国を起点として産業革命が起こった。

それが世界へとひろがっていき、いろんな経路・道筋を経て、今日の文化・文明へと繋がった。

徒歩ならば時速 4 〜 5 km に過ぎないのに、新幹線に乗れば桁違いに速いスピードを獲得できる。

トラックが運転できれば、自分の体重の 50 倍以上の荷物も楽に運べる。

言ってみれば、産業革命によって、僕たちは肉体の物理的限界を大きく超えることできた。

その結果、必ずしも全てを肯定するわけでもないものの、快適な生活空間を獲得できた。

同列に扱うべきものかどうか議論は分かれると思うけれども、IT 革命も産業革命に匹敵する、或いはこれを凌駕するインパクトを持ちうるのではないかという仮説がこれからの未来で重要になりそうだ。

コンピューターやインターネットというものは、人の創造的な活動を支援し、知性、感性の限界を飛躍させてくれる存在だと思うからである。

単純な話ならば、数学的計算や情報検索など方法が定まった内容であれば、スピードとボリュームの観点から人の知的能力を格段に拡大してくれる。

思考のスピードを速める以外に、発想力や創造力も IT というものを駆使するスタイルで何倍、何十倍、・・・ と際限なく高まり、あたかも別次元の世界にいるかの如く、特殊な才能や能力を身にまとえるのかもしれない。

明確な予想図を絵に描くことは叶わないが、個人的には自分の全ての人生を捧げてもよいと思うほどコンピューターやインターネットというものに期待感を寄せている。

人の知的能力が 50倍、100倍、 ・・・ と増幅されることで、世界は如何なる空間へと移り変わってゆくのだろうか。

それに対する興味は尽きない。

最近は、そんな日々を過ごしている。

  

2006 年 04 月 10 日 : アプローチ

起業した当初最も思考を巡らせたことは、どうすれば如何なる競合が現れても生き残れるかという戦略と戦術であった。

自然界と同じくビジネスの世界も弱肉強食の厳しいルールに従って動いている。

強くなければ生きていけないのである。( 優しくなければ生きる資格がないとも言われるが … )

そのために己の力を付けなければいけないし、戦い方も裏の裏まで見通して考え抜かなければならない。

基本的な戦法というのは、競争相手が現れても一対一の戦いに持ち込むあたりにあると考えた。

ソフトウェア業界でのそれに相当する発想は、音楽の例から示唆される、曲のトータルなイメージが一人の作曲家から創られるごとくトータルな設計思想のようなもので勝負するということだ。

それで、多人数よりも一人で作業する方が圧倒的に秀でた結果が生まれるイノベーションとマーケティングのコンセプトにかかわる分野に集中特化した。

こうすればベンチャー企業以外は基本的に競争相手はいない。

何故ならば、大企業には僕と同じくらい土日もなく寝食を惜しんで働いている者も滅多にいない。そもそもそんなモチベーションも持ち得ないだろうし、自分の身に迫る危機や危険を感じることも少ないと思うからだ。

ベンチャー企業だけは競争相手として注意を払うべきである。

けれども全体的な傾向として言えるのは、直ぐに現金化できるビジネスに走るベンチャーは多いが、3 〜 5 年しないと結果が見えない気の長い事業に取り組む者は少ない。

そのような背景から僕が狙ったのは、世間で持てはやされる短期間で株式公開するようなベンチャーではなく、長期的なスパンで永遠の発展が望める堅実な事業であった。

  

2006 年 03 月 24 日 : マーケティング

「企業は、その目的が顧客を創造することであるがゆえに、二つの、いや二つだけの基本的な機能をもっている。それはマーケティングとイノベーションである」とP.F.ドラッカー氏はいう。

たった二つの基本機能しかないにも関わらず、冷静に周囲の企業を見渡せば、二つがバランスの取れた企業は滅多に見掛けない。

マーケティング、もしくはイノベーションのどちらかに甚だしく傾いているのが現状ではないだろうか。

P.F.ドラッカー氏のいう、マーケティングとイノベーションのバランスを僕は何よりも大切にしている。

根本的な原理原則にも拘らず等閑にされていることは、他と比較して相対的に百戦百勝の勢いで経営するための能力を獲得したに等しいからだ。

ソフトウェア業界では、技術志向の企業はイノベーションに没頭するあまり、マーケティングが貧弱である場合が多い。

ソフトウェア業界のサイトについて、デザイン、文章、構造、ナビゲーションなど、どうだろうか?

これはよく出来ているということで、それを参考にしてサイトを設計し構築したいと思えるのはごく僅かではないだろうか。

昨年サイトリニューアルのためにいろんなサイトを研究していた頃、僕はそんなサイトをソフトウェア業界に見出せなかった。

デザインが良かったり、製品情報以外に役立つ情報を発信をしていたり、製品マニュアルを公開していたり、製品価格を公開していたり、日本語だけでなく英語のサイトを公開している例はあまり見当たらない。

この業界はそのような切り口では競争レベルが極めて低いと言えるかもしれない。

確かにプログラミングを趣味とし得意とする者にとって、テクノロジーの追求は楽しいものである。だけど、たとえ世界に誇れるほど、もの凄い技術が生まれたとしても、それが売れなければそれは自己満足でしかない。

人々に好んで選ばれ売れ、そして使われることに意味があるのであって、未来への飛躍はそれを起点にして創まるのである。

ソフトウェア業界では、他の会社がマーケティングが等閑になっているだけに、ほんの少しそれに努力を傾けるだけで収穫は予想以上にあると思う。

それはこんな例えが分かり易いかもしれない。100点満点で、数学が 90 点、英語が 5 点であったとする。

上限が 100 点であるだけに、数学を 95 点にするには大変な努力が要求されるが、英語を 10 点にするのは容易い。しかも前者は相対的に5%弱の点数の上昇に過ぎないけど、後者は 100 %の点数の上昇なのである。

5 点であるマーケティングに少し注力し、10 点にまで向上させる努力で得られる成果は桁違いに大きい。

  

2006 年 03 月 09 日 : 選球眼

経営者ならば、誰しも自社の商品やサービスがヒットするのを望むだろう。

ベンチャーであれば、空振りが続けばいずれ会社は倒産を余儀なくされる。ヒットしなければ存続は望むべくも無い。

会社を存続させ、経営を安定させるためには、どうすれば商品やサービスが必ずヒットするのかというのが最大の命題だ。

きっと状況は野球でヒットを打つ時と似ているに違いない。

ボールをよく見て、絶好のタイミングを逃さず、思い切って最適なフォームでスイングできるかどうかであろう。

起業とは、業界、商品、サービス、一緒に働くスタッフ、場所、… あらゆるものを自分の意志で自由に選択できるということを意味する。

良くも悪くも全ての結果は責任者である起業家自身に跳ね返ってくる。

経営者にとって、日常生活のあらゆる場面は、選択、選択、選択 … というシーンの連続である。

実は個々の選択は些細な場合が多い。

一つ一つは取るに足らない問題のようにに見えるかもしれない。

けれども、それらを集積したものは想像を絶するほと巨大なものへと変貌を遂げているのが常である。

全ての瞬間において、油断することなく、卒なく、いい球ならば思い切って振り切り絶対にヒットを放って見せるという強い意志が求められる。

高打率の打者ほど、一球一球を大切にしてボールのコースを見極めてバットをスイングするように、経営者も一つ一つの意思決定を大切にして選球眼を養い、どうすればヒットする確率が高まるのかという問題意識を持って経営に望むべきだと思う。

  

2006 年 03 月 05 日 : System

サラリーマンの頃は、研究開発、システムインテグレーション、プログラミング、製品の企画・開発・販売、マーケティング、セールス、コンサルティング、プロジェクトマネジメント、調査・企画など多種多様な業務を経験した。

起業してからは、これら以外に、経営は当然のこと、自社 Web サイトの構築と運用、経理、資金繰り、貿易、人材採用、事務までもこなした。

高校や大学の同期でも、これだけ多岐に渡る仕事をしたことのある人もいないのではないかと思うほどの多彩さに我ながら感心してしまう。

新たな業務をチャレンジする度に、右も左も分からない状態だから、平日昼間は実務に専念し、休日とか深夜というものは常に新しい仕事のための勉強に当てられたものだった。

それもいまとなっては貴重な体験と言えるかもしれない。

いろんな仕事の中で最も難しいなと個人的に思ったのは、新規のお客様を開拓する"営業"という仕事である。

「経営とは顧客の創造」と P・F・ドラッカー氏は言うが、僕自身も体でそれを学んだように思う。

ボトルネックの理論から、新規開拓の営業が仕組みとして機能するようになればベンチャーは安定する。逆に個人の才能に左右されるようになれば砂上の楼閣のごとく脆いものとなってしまう。

幾度か失敗して、試行錯誤を繰り返しつつ辿り着いた仮説とは、こんな考え方である。

例えば TSUTAYA や Amazon などで思わず購入したものは、気がついたら第 1 位にランキングされる本や CD だったという経験はないだろうか?

多忙を極めると本、CD などをセレクトする時間さえなくなってくる。でも、第 1 位にランキングされているものは当たり外れは少ないし、少なくとも時代のトレンドを探る意味でも価値はあるから、僕は迷わず第 1 位にランキングされているものは買うことにしている。

お客様が何も考えずに買ってくれる状況を創り出せば、個人の営業センスに頼ることもなく難しい新規開拓の営業も自動化される。

その鍵は「第 1 位にランキングされる」というところにある。

第 1 位だから売れる。売れるからトップをキープできる。そして、圧倒的 No.1 の地位がオートマティックに確立される。

それ故に、ベンチャー経営でもっとも重視するのは、創っている商品やサービスが業界で圧倒的 世界 No.1 であるかどうかである。

そうなれないものは躊躇うことなく撤退し、圧倒的 世界 No.1 になれるものに経営資源を集中投下してきた。

具体的には、携帯電話向けアプリを圧縮したり、 C++ というプログラミング言語で開発できるソフトウェアを、創業以来 4 年に渡って研究開発し、製品化し、販売してきている。

携帯ソフト業界に最も詳しい僕たちですら、競合商品と言えるようなものは、ワールドワイドなマーケットにおいてまだ発見できていない。

要するに、マーケットはニッチかもしれないけれども、圧倒的 世界 No.1 なのである。

そんな状況だから、営業マンが不在で、営業、宣伝・広告しなくとも注文は入ってくるシステムが機能するのである。

これは偶然の結果ではなく、最初からそうしようとする強い思いの結果と思っている。

  
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