2006 年 03 月 10 日 : Google、ブラウザでワープロ文書が作成できる「Writely」を買収
以前のブログエントリー「 AJAX と BLOG」にも記したけれど、ワープロ感覚で WYSIWYG なスタイルで BLOG をインプットしたいと思う。
携帯電話向けソフトの世界もそうなんだけれど、「スピード」と「ユーザーインターフェース」がブログ提供会社の未来に影響を及ぼしそうな予感がする。
Google がブラウザでワープロ文書が作成できる「Writely」を買収したという。
WritelyはGoogleのブログサービス「Blogger」やMovableTypeAPIをサポートしているため、ブログエントリーの作成にWritelyを利用できるらしい。
きっと、ここ 1 〜 2 年で、ブログのテクノロジーにも大きな技術革新の波が訪れそうだ。
どんな風に結末を迎えるのか全く予想もつかないけれど「スピード」と「ユーザーインターフェース」がキーファクターになるのではないだろうか。
2005 年 11 月 23 日 : Ajaxと Blog
AJAX という技術を使えば、ユーザーインターフェイスを中心とした BLOG の革新が起こりそうだ。
数え切れないほど、さまざまなベンチャーが BLOG を提供している。" WEB 2.0 "なんていうキーワードが巷では囁かれたりするけれど、デファクトスタンダードになる Next BLOG は、テクノロジーの観点では AJAX が最大のキーになるだろう。
AJAX とは Asynchronous JavaScript + XML という言葉の略である。
難しそうな言葉の響きがそこにはある。
でも具体的にイメージするには、Zimbra 社のサイトにいってデモを体験するのが一番。
未来への扉を開けてくれる。
新しい発想が閃く。
それから洞察できる未来は、BLOG の編集もマイクロソフトの Word のような感じになるだろうということ。
- 広い編集ウィンドウの上に WYSIWYG で直感的に文章を書ける
- いちいち"確認ボタン"を押さなくてもサーバーに途中の文章が保存される
- スペルや文法、"て・に・を・は"のチェックをしてくれる
- 辞書が参照できる
- " UNDO(アンドゥー:元に戻す) "ができる
- 文字列の検索や一括変換ができる
- エトセトラ
ワープロソフトのソフトテクノロジーを持つマイクロソフトに有利なはずではあるけれど世界は広い。Zimbra 社みたいなベンチャーが出てくるかもしれない。
AJAX による BLOG のユーザーインターフェイスの革新が待ち遠しい。
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2005 年 11 月 09 日 : ポジショニング
生物と生物、また生物とそれを取り巻く環境との間には切っても切れない複雑な構造がある。生物と環境の間にある相互作用を研究する学問が生態学である。
生態学で興味深いことがいくつかある。縄張りがあって生物の個体はほぼ等間隔で均等に分布すること。それから、食べ物が豊富にあり生育に適した地では、最初は個体の数が指数関数的に増加する。次第に伸びは緩やかになる。やがて定常状態になりしばらくその状態が続く。そして死亡率が出生率を上回り始め個体数は徐々に減少してゆくという。
企業活動でも生態学の智慧を活かせそうな気がする。ベンチャーを起業する場合、先ず最初に考えるべき事は自分の居場所、すなわちポジションである。生物が縄張りで自分の住処を確保するのと同じく、ベンチャーでもそれに相当する"場"がなければ直ぐに消滅してしまうであろう。
ソフィア・クレイドルはソフトウェア業界に属する企業である。その中での自社のベンチャー事業のポジションを明確にすることが生存のためには必須だと最初に考えた。
それではポジショニングをどのようにして行ったのか?
先ずソフトウェア業界を 2 次元平面のマップとして捉えた。横軸は受託開発、人材派遣、アプリ開発、システムソフト、開発ツール・・・ などの[仕事]の軸である。縦軸は 汎用機、ワークステーション、サーバー、PC、携帯端末 ・・・ などの[コンピューター]の軸である。
その 2 次元平面の中で横軸が"開発ツール"、縦軸が"携帯端末"という位置にソフィア・クレイドルというベンチャー事業をポジショニングした。何故ならば、その事業ドメインを手掛けている企業が存在せず、横軸が"開発ツール"で縦軸が"携帯端末"以外である事業領域は既に巨大なマーケットとして成熟していたからである。
将来的には"開発ツール"×"携帯端末"の事業領域も巨大なマーケットに成長するのは自明に思えた。しかもどの企業も手掛けていないのである。この領域で勝負を挑んで事業を展開する企業を発見するのはいまだに難しい。それはマーケットは小さいけれども競争が無くて、シェア 100 % を意味する。
やがてこの領域も巨大なマーケットへと育つ急成長期フェーズに突入するに違いない。そうなった時、生態学の示唆するところは、この領域に多数の競合企業が参入してくるだろうという予測である。未来に備えて、自分たちのポジションをより明確にする姿勢は今後も欠かせないと思う。
2005 年 10 月 28 日 : ソフトビジネスの本質
人生のすべてを賭けてベンチャーを創める以上、必然的に成功に導いてくれる原理原則を発見するのが先決だろう。起業する前からそう思っていた。
手掛けた業界はソフトウェア。ソフトビジネスとは、過去に存在し得なかった何らかのソフトを創造し、CD、DVD、ネットなどを媒体としてコピーして出来る限り多くのお客様に配布するビジネスである。
お客様にそのソフトが選択されるかどうかが最大のポイントである。世界中の限りないお客様から注文が入るに越したことはない。だから"お客様がそのソフトを買うエンディングシーン"がイメージできるか否か。鮮明にイメージできれば、ビジネスは自ずと成功するだろう。
1 万人中 1 番よりも 100 人中 1 番の人材の方が確率的に見つけ易い。しかし、ソフトビジネスの場合、100 人中 1 番を 100 名集めるよりも 1 万人中 1 番を 3 名集めて創める方が、成功する確率は桁違いに飛躍するのだ。
3 名が研究開発、マーケティング、デザインという、それぞれの専門分野で 1 万人中 1 番に秀でた人物であったとする。統計学的に 1 兆分 1 の確率でしか発生し得ない出来事だ。それが現実となれば、他では得がたいオンリーワンにしてナンバーワンのソフトが創造される可能性が限りなくひろがってゆく。
人がそのソフトを買う理由は明らかである。必要なのに自力ではすぐに実現できずマーケットにも存在しないからだ。100 人中 1 番の 100 名が創るソフトは確かに優秀なものである。けれども突出した何かに欠けるのも事実だ。それはソフトを全世界に流通させるためには致命的な欠陥なのである。世界の人びとが敢えてそのソフトを買う理由を見出せないからである。
ソフトは人によって創造される。それ故に、このビジネスで成功を収めたければ、一人でもいいから必要とされる専門分野に限定して構わない 1 万人中 1 番の逸材を求めること。この原理原則に従ってマイペースで行動できるかどうか。それが運命の分かれ道となるだろう。
2005 年 10 月 28 日 : Web 2.0
Web 2.0 というキーワードをよく耳にする。ネットで検索するとカンファレンスも開催されている。Web の使われ方が次の世代へと進化し始めているということらしい。BLOG 、SNS、Wiki などがその典型的な例である。
Ross Mayfield 氏が Web 2.0 の本質を "Web 1.0 was commerce. Web 2.0 is people" という風に一言で的確に表現している。BLOG もそうなのだが、人と人とのコラボレーションやその中から自然発生して生まれる智慧こそが貴重なもので、それが Web 2.0 の着地点だろうと思った。インターネットだから時と空間を超えて天文学的な数字の"智の連鎖"が生まれてゆく。
"量は質に勝る"と言われたりもする。Web 2.0 では、それが正しく当てはまるケースなのかもしれない。天文学的な数字に上る"智の連鎖"の中にこれまでに人類が目撃し得なかった"ダイヤモンドの輝き"を発見できたりもするだろう。
Web 2.0 ビジネスにおける勝者の条件とは何か?"Web 1.0 was commerce. Web 2.0 is people"であるのならば、そのネットに関与する人びとの多さではないかという見方もできる。世界の人口構成から言えば英語や中国語を母国語とする人が多い。
ネット上で表現される智慧は言葉と絵や写真などによって表現される。取り分け重要なのは言葉の問題であると思う。日本語を使う人は1億人を超える程度。世界全体の人口から言えば、60 分の 1 に過ぎない。極めてマイナーな領域と言わざるを得ない。
BLOG、SNS などの Web 2.0 の範疇に属するサービスが日本国内でも急激に人口を伸ばしている。これらのサービスも何れはインターナショナルに統合されてゆくのが自然の流れだと思う。けれども、この種のサービスを提供している国内のネット系 IT ベンチャーで英語や中国語で海外に向けて情報発信している例はほとんど見られない。
ブロードバンドが世界で最も進んでいる日本だけに、今の段階から世界を意識した Web 2.0 のビジネスチャンスは大いにある。そのためには世界的な視野でものごとを捉えてグランドデザインする姿勢が以前にも増して重要になってくるだろう。
2005 年 06 月 19 日 : 組込みソフトウェア業界
デジタル家電、ロボット、FA、ゲーム、自動車など、この種のハードウェア機器産業は日本が世界 No. 1。組込みソフトウェアとはそれらのデジタル情報機器をコントロールするプログラムのことであり、実は身の回りのありとあらゆるものにそういったプログラムが内蔵されている。携帯電話と同じく、こういった機器もインターネット接続を含め IT 化の波が押し寄せつつある。
いろんな統計データを解釈すると、組込みソフトウェア全体の携帯電話向けのものが占める割合は 1 %にも満たないと推測できる。それは携帯電話以外のアプリケーションドメインに、携帯電話の 100 倍以上の潜在的なマーケットが存在するというビジネスチャンスを意味する。
経済産業省による 2004 年版組込みソフトウェア実態調査報告書によれば、組込みソフトウェアのアプリケーションドメインは下記のような分野があるということだ。
1. 通信端末機器(携帯電話)
2. カーナビ
3. 教育・娯楽機器
4. 個人用情報機器
5. 家電機器
6. AV 機器
7. コンピューター周辺機器・OA機器
8. 医療機器
9. 通信設備機器
10. 設備機器
11. 運輸・建設機器
12. 工業制御・FA 機器・産業機器
13. 自動車用ソフトウェア(エンジン制御)
現時点のソフィア・クレイドルでは、集中と選択という戦略的必要性から、通信端末機器(次世代携帯電話)というアプリケーションドメインに絞って事業を展開しているに過ぎない。まだ他のアプリケーションドメインの組み込みソフトウェアは大規模、複雑化していない。それ故にプラットフォームのオープン化の必要性も少なく、今参入しても思うほどの投資対効果が得られない。
将来的には、時代の趨勢から携帯電話以外のアプリケーションドメインも、携帯電話と同じような道筋を辿るであろう。だから上に列挙した全てのアプリケーションドメインをも対象とするつもりでいる。それを意識し長期的な視野から製品を研究開発し販売するのが大切な考え方ではないだろうか。
ソフィア・クレイドルで研究開発しているソフトウェアの規模は、プログラムのソースコード行数にして 10 万行規模のものである。組込みソフトウェアの 90 %以上は 10 万行以下の規模だ。しかもその大半は 1 万行以下と小規模。実を言えば、携帯電話も 10 年前はそれに組込まれるソフトウェアの規模は数千行規模に過ぎなかった。インターネット接続、カメラ、テレビなどいろんな IT 的な機能の拡張と共に肥大化し、現在では数百万行規模にまでなっているという事情がある。
汎用計算機、ミニコン、パソコン、ワークステーション、PDA など CPU が組込まれる情報機器は、そのハードウェアの高度化、多機能化に伴い、ソフトウェアの大規模、複雑化という至上命題が自然に沸き起こった。何れもプラットフォームのオープン化と過去に開発したソフトウェアモジュールを再利用するというアプローチを採ったところのみが今日に至っても生き残っている。そんな原理原則がある。
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2005 年 05 月 14 日 : 携帯Javaの世界的な伸び