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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2005年02月

2005 年 02 月 09 日 : 有/無

中国の古典「老子」の第11章に次のような文章がある。


  三十輻一轂を共にす。
  其の無に当たりて、車の用あり。

  埴をこねて以って器を為る。
  その無に当たりて、器の用あり。

  戸ゆうをうがちて以って室を為る。
  其の無に当たりて、室の用有り。

  故に有の以って利を為すは、
  無の以って用を為せばなり。


この文章の意味するところを簡単に要約すれば、「車輪にしても、器にしても、家にしても、それらの<有>ともいえる物体の間には<無>ともいえる空間というものがあるからこそ用をなす」ということだ。

モノ作りをしていると、特に初心者の頃は過剰に親切心やこだわりが働き、それが禍して逆に品質が悪くなったりする。

「作る人」と「使う人」という、ツールに関しては2種類の主体があるということを、よく理解することが大事ではないかと次第に分かってきた。

だから、そのモノが「作る人」から「使う人」に渡されるインターフェースというものは、最も重要なポイントと考えるべきだろう。そこにある種の断絶が見られる商品は、売れずにその生命を終える可能性が高いように思える。

どんなモノにもそれぞれに最適なインターフェースの境界線があり、その線引きには、デザインのアーティスティックなセンスと共に、いわば職人芸的なセンスというものがマーケットから要求されている。

2005 年 02 月 07 日 : FOMA700iシリーズ

NTTドコモの新しいFOMA700iシリーズが発表されてから、弊社の携帯Javaアプリ圧縮ツールSophiaCompress(Java)への問い合わせが増えている。

ITmediaMobileのニュースをよく確認してみると、iアプリの容量制限がFOMA901iシリーズは100KBなのに対して、FOMA700iシリーズは30KBであることを確認できた。

100KB近くのiアプリならばどうしようもないかもしれないが、30〜60KBくらいのサイズであれば、SophiaCompress(Java)によって30KB以下に圧縮できるかもしれない。SophiaCompress(Java)の平均圧縮率は30〜60%であるからだ。

FOMA700iシリーズはFOMA901iシリーズよりも1万円くらい安く価格を抑えて、本格的なFOMA普及機の位置付けになるものと推定される。マーケットに出回る8割方のFOMAは700iシリーズとなることも否めない。

コンテンツプロバイダなど実際にFOMAをビジネスに利用する企業にとっては無視できない問題なのだろう。

SophiaCompress(Java)によって、より多くのFOMAユーザーがよりたくさんのiアプリを利用できるようになればと願う。

2005 年 02 月 06 日 : 携帯OSの行方

2月2日、NTTドコモからFOMAの新シリーズ「700iシリーズ」の発表があった。

その発表で気になったのが、N700i,P700iがLinuxOS、F700iがSymbianOS、SH700iが独自OS米国クアルコム社のREXと呼ばれるオペレーティングシステムと推測される)という風にオペレーティングシステムの種類が3種類に分散している点だ。

KDDIが米国クアルコム社のBREWというオペレーティングシステム一本に絞っているのとは対象的だ。

現在、携帯電話業界では、どのオペレーティングシステムがデファクトスタンダードになるのか全く不透明な状態だ。しかも、携帯電話も一種の小型パソコンと見なせるので、その行方は携帯電話業界の未来を運命付けるものとなろう。

NTTドコモはダントツの国内最大手携帯電話事業だけあって、すべての可能性に分散投資しているように見て取れる。

オペレーティングシステム市場に関しては、世界的な規模で眺める必要があり、デファクトスタンダードとなりうるオペレーティングシステムの種類自体で、国内の携帯電話事情も激変することも十分あり得ると見ている。

そんなところにビジネスチャンスを見出すのがベンチャーというものかもしれない。

2005 年 02 月 06 日 : ダイレクトマーケティング

松下電器産業、京セラ、日本電産など日本を代表する製造メーカーに共通するのは、営業の体制を代理店に頼らず直販とすることで大きく成長したところにある。これらの企業を研究して思ったことは、ソフィア・クレイドルも直販を貫き通すべきであるということだった。

直販をすることで、研究開発の部門以外にマーケティングの部門が必要となり、経営資源の乏しいベンチャーには一見不利なようにも思える。しかし、直販することによって得られるメリットは他に代え難いものがある。

メリットを列挙すると以下のようになる。

1. 値決めは経営の根幹ともいえることだ。製品の価格を完全に統制することができる。

2. お客様のニーズを直接ヒアリングすることができ、実際に売れる製品の研究開発を進めることができる。

3. お客様のクレームや喜びの声を直接聴くことができ、研究開発部門のスタッフたちにとって大きな励みになる。(実はこれはとても珍しいことだと思う。)

最初は、全く無名で実績も何も無い状態で始めたので、営業に関しては大変苦労した。しかし、類似製品が存在しなかったのと、実際にそれがなければ仕事が滞ってしまうお客様に少しずつ売れ始めた。

営業的に未熟なところが多かったが、マーケティングの研究を深めたり、製品そのものの機能をお客様のニーズに合わせてグレードアップすること、それから実績を積み重ねることで、次第に売れる数が増えていった。

営業というものは人的な要素が極めて強い。実際、自分の給与の何倍も利益をセールスであげることのできる営業マンは、非常に少ない。だから、そういうトップセールス関連の書籍が山のように出版されている。

なので、ソフィア・クレイドルでは、インターネットによる直販にこだわり、マーケティングのノウハウをWebのシステムとしてプログラミングしている。これであれば安定して、年中無休で世界市場に向けての営業が可能だ。勿論、そのための研究や努力は必要だけれども、それに楽しみを見出すことができる。

問題は、最初から売れるわけではないので、その立ち上げをどうやって乗り切るかが重要であろう。例えば、製品に不足する機能があれば、それを強化するなどの取り組みをお客さまと共に進めることも大切であろう。

事業の立ち上げというものはとても地道な仕事である。しかし、積み重ねることでいつしか効果が現れてくる。最近は意外な国々からも問い合わせが来るようになった。

2005 年 02 月 05 日 : 起業の歯車

自分で努力して得た 1 万円と他人からもらった 1 万円とではどちらに価値があるだろうか?どちらを大切にするだろうか?

答えは明らかだが、それを理解しているのと、実際に行動するのとでは違いがあるらしい。生活の中でも起業においても同様だ。

株主から預かったお金を元手にして、社会的に意義のある仕事をなし、元手を上回る収益を上げることが経営者というものの仕事の一つであると思っている。

会社のお金をいろんなことに投資する際に、そのお金の価値をどの程度重く受け止めているかで、結果は大きくことなるのではないだろうか。だからこそ、ベンチャーで成功している企業は大企業をも遥かに上回る ROI (株主資本利益率)の数字を残しているような気がする。

いろんな方々から国の助成金への申請を勧められる。その手続きが煩雑で面倒という話もあるが、これまでに助成金を申請したことはない。できる限り、助成金に頼らない経営をしたい。棚から牡丹餅のようにして、国の助成金を受け取ることで、お金に対する感覚が麻痺することを危惧するからだ。

これまでに蓄えたお金、それから創意工夫することでお客さまから商品の対価としていただいたお金の値打ちというものがよく理解でき、活きたお金の使い方ができる。

ベンチャーの場合、10 年後も存続している会社は 10 社に 1 社も無いくらいだという。だから大切なことは如何にして経営判断ミスを無くすかにあると思う。経営者のお金への考え方が甘かったばかりに経営がおかしくなる会社が多いような気がする。自ら苦労して稼いだお金の方が、他者から与えられたお金よりもよく理解でき、そのお金の使い方もよく分かってくるのではないか。

国の助成金の申請を代行することを商売にしている人もいるらしい。この本末転倒な事実を聞いて、こんなところでも税金の無駄遣いがされているんだ、と残念に感じた。(真に必要としているベンチャーに助成金が届いていないことが懸念される。)これはまた、助成金の申請がややこしく報われない労働になっているという事実の反映でもある。

それよりも、助成金制度を利用せずに、利益を出している創業間もないベンチャーの法人税、消費税などを一部免除するような制度を創るのはどうだろか。そのほうが、助成という起業の歯車になるだろう。

2005 年 02 月 04 日 : エッセンス

事業を成功裡に導くために最も大切なのは、絶対にこれだけは外せないポイントを確実に抑えることではないだろうか。即ち、その事業の本質をよく理解しているかどうかで、その事業の行方は大きく左右される。

至近な例を挙げるなら、レストランであれば「」、航空会社であれば「安全」、ホテルであれば「快適」等など、それぞれの事業にとって絶対に外せない必須要件があると思う。

ソフィア・クレイドルは携帯電話向けソフトウェアの研究開発事業を展開している。この分野のソフトウェアテクノロジーの本質は、小さく、速く、使いやすく、しかも安くといった相矛盾する内容のクオリティをバランスよく総合的に極大化するところにある。

過去の歴史を遡れば、IT 業界というのは、大が小ではなく、小が大を飲み込むというような逆転の構図で描かれる世界だということがわかる。「 IBM の大型汎用コンピューター」をいわば踏み台ににした「マイクロソフト&インテルのパソコン」しかりである。

携帯電話サイズの小さなコンピューターで数多くの実績を残したソフトウェアテクノロジーが、パソコンやサーバー、そして情報家電のようなプラットフォームでも利用されるのは十分に有り得る話であろう。

私たちはそういった点に巨大なビジネスチャンスを見出そうとしている。そのためにも、携帯電話向けソフトウェア業界における事業の本質を抑えることは、最初に着手すべき最重要課題だった。

ベンチャーの場合、圧倒的に経営資源が限られるだけに、どこか一点に集中特化する必要性に迫られることも多い。その時、本質からずれた事業展開をすれば、目も当てられない悲惨な事態に陥ってしまう。逆に、肝心要の外せないところだけはしっかりと抑えておけば、少々やり方が拙くとも後から軌道修正できる。それくらいに本質を見抜くことはベンチャー起業家にとって欠かすことのできない必須スキルだ。

意外なことだが、日本の教育制度では、こんなにも大切な本質を捉える能力を育てるための訓練が等閑にされていると思う。

例えば、日本の学校では、あらゆる教科で万遍無く良い点をとれば、所謂、一流大学に入学し、優等生として卒業することができる。

だが、現実の世の中では、オールラウンドにそこそこできるんじゃなくて、ある特殊な能力や才能で突出した結果を残すような人こそが評価されている。いま、時代はそのように変革されつつある。例えば、大リーグで活躍しているイチローは、野球というジャンルでは誰も太刀打ちできないほど突出し、超一流のプレイヤーとして世界から絶賛されている。

学校教育で最も大切なのは、子供たちが、自分に適した、それぞれの人生の目標や目的のようなものを発見し、その道を着実に歩めるように、後押しすることではないだろうか。しかし実態は、高校や大学への進学を前提とした、画一的な教育しかなされていない学校が大半だ。

いまの学校の試験の評価制度も私にはおかしく思える。点数が高ければ良いということで、試験の時は易しい問題から順番に解答していった方が制限時間内では高得点が獲れてしまう。面白そうだからといって、最も難しい難問から入ってそれを解くだけで終わったら、それこそアウトだ!

こんな教育を受けていると、ついつい枝葉末節に足をすくわれて、ややこしくて面倒なことは常に後送りというジレンマに陥る。そんな癖がついた人間に育ってしまうのではないか。難しいけれども真に重要な問題が後回しになり、目に見えない努力が評価されなくなる。そして、ある瞬間に誰にも訪れる、素晴らしき人生を生きるための貴重なチャンスをみすみす見逃してしまうのだ。

ベンチャー起業においては、瑣末なことに囚われてしまうと、それだけで限られた資源を消耗してしまいかねない。そんな状態が続くと、肝心なゴールに辿り着く前に終わってしまう。本当に大切なポイントだけに絞ってやらなければ、経営破綻してしまう可能性が高くなるだろう。

2005 年 02 月 03 日 : ガンダム ファクト ファイル

いよいよ2月15日で、期間限定、起業家100人挑戦日記もフィナーレを迎える。過去の日記を振り返ってみると、「最近、これにはまってます」というカテゴリーの日記を一つも書いていないことに気付いた。折角用意されたカテゴリーなので、今日はこれについて。実際のところ、一番はまっているのは仕事かもしれないが…。

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毎週、週刊ガンダムファクトファイルを買い続けている。最近は、このBlogとかの仕事もあって忙しく、パラパラとめくって読むくらいしか時間が取れない。

大学受験の頃かな?テレビで放映される『機動戦士ガンダム GUNDAM』だけは万難を排して毎週欠かさず観ていた。

15歳になる友人にして外部ブレインが一人いる。仮にS君と呼ぶことにしよう。10年以上も昔の頃から、S君からはいろんなことを教えてもらってきた。一緒に遊んできた。彼もガンダムの大ファンであり、物心ついた頃にはガンダムと共に育っていた少年だ。ただし彼の場合、ガンダム・シードとファースト・ガンダムが同時にリアル・タイムである。

無類の読書家で、本を読むスピードは私よりも3倍くらいは速いのではないだろうか。いまでは読み尽くしてしまって、中学校の図書館で借りる本はないらしい。といってはなんなのだが、経営者の必読書ともいわれる、司馬遼太郎氏の「項羽と劉邦」をプレゼントした。3回は繰り返して読んだらしい。(私はまだその途中だ。)ブックオフの105円の本を買ったとしても直ぐにお小遣いが尽きるという。だから、週刊ガンダムファクトファイルを毎週買えないとか。

私もガンダムファンであり、彼の心境はひとごとではない。それで、私がそれを買って、彼に譲り、彼からは中学とか塾で流行っていることを教えてもらうという次第。(これはたぶん、大人買いとは言わないだろう…)過去に、彼からはコロコロコミック、ミニ四駆、ポケモン、ハイパーヨーヨー、遊戯王、デジモン、三国無双など、さまざまな子供のエンターテイメントを学んできたものであった。勿論、アニメ雑誌も購読していて、最近ではテレビのハガレン終了を非常に惜しんだ。

その「週刊ガンダムファクトファイル」は、現在18号(かな?)まで出ていて、100号まで続くらしい。それを見てしみじみ納得したのは、ハマってしまう要素を自ら見出せたという点だろう。顧客となって商品を習慣的に買うことで、はまってしまう心理を久々に味わえた。

このお正月、S君が遊びにきたときの話。ベストセラーのビジネス書ならほとんど全て揃っている、私の書棚にあった本の中から、「どん底からの成功法則」「あなたもいままでの10倍速く本が読める」「眠りながら成功する」「マンガ 孟子・大学・中庸の思想」「マンガ 孫子・韓非子の思想」「マンガ老荘の思想」などの本にいたく興味を持ちセレクションしてそれらを持ち帰った。起業と中国に興味があるのかもしれない。

最新号までの週刊ガンダムファクトファイルのほうを大事に抱えていたけれど。

来週が高校受験なんだけれども、きっと大丈夫だろう。健闘を祈っている。受験する高校は図書館に4万冊以上もの蔵書があり、それが大変魅力だとか…(笑)

受験生の皆さん、健康に気を付けて焦らずがんばってくださいね。それぞれの道へ踏み出せるよう。

〜彼の妹におしえてもらったw-inds.の「夢の場所へ」や「Long Road」を聴きながら〜

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