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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Software Technology

2005 年 11 月 25 日 : ソフトウェアの進化

ソフトウェアとハードウェアの間には隔たりがある。

ハードウェアと違い、ソフトウェアは完成した後もメインテナンスすることで時々刻々と変化する。

要するにソフトウェアとは進化する概念なのだ。

ソフトウェア企業の明暗を分かつポイントは、これについての認識の差によるのではないかと思うほどである。

ソフトウェアの売れ方で特徴的なのは、ジャンルごとに売れるソフトウェアが決まっていて、一極集中型であることに尽きる。OS も、データーベースも、メーラーも、ブラウザも・・・すべてのソフトウェアについて実際に世界で使われているものは 3 種類以内に限られる。

では、利用者は何を持ってそれを選択しているのだろうか?

勿論、"クオリティ"である。

"クオリティ"とは、機能、スピード、使いやすさ、ルック&フィール・・・、それらを総合したものである。

ソフトウェアは時を経て進化できる。

それでは、どうすればソフトウェアのクオリティを、自ずと高まるように進化するのかを洞察すれば良いだろう。ソフトウェアのクオリティは、メインテナンスのフェーズで、プログラムコードが綺麗なものに書き換えられることによって飛躍するのである。

多くの組織では、製品を研究開発する者とメインテナンスする者が別であることが多い。

その傾向は大企業ほど顕著である。

プログラマーの仕事」でも述べたが、ソフィア・クレイドルでは製品を研究開発する者とメインテナンスする者は同一人物。

製品の設計思想を初め、隅から隅までよく理解している者がメインテナンスするので、何処をどう直せば良いかのプロセスがスピーディであり適切だ。

しかも製品への愛着もある。製品の産みの親でない者がメインテナンスするのとでは雲泥の差が出てくるものである。

超一流の作品を創造するには、メインテナンスという泥臭い仕事も喜んで引き受けるくらいの心意気というものが求められる。

ソフトウェアというものは、メインテナンスを経て洗練されてゆくというのは事実である。

  

2005 年 11 月 23 日 : Ajaxと Blog

AJAX という技術を使えば、ユーザーインターフェイスを中心とした BLOG の革新が起こりそうだ。

数え切れないほど、さまざまなベンチャーが BLOG を提供している。" WEB 2.0 "なんていうキーワードが巷では囁かれたりするけれど、デファクトスタンダードになる Next BLOG は、テクノロジーの観点では AJAX が最大のキーになるだろう。

AJAX とは Asynchronous JavaScript + XML という言葉の略である。

難しそうな言葉の響きがそこにはある。

でも具体的にイメージするには、Zimbra 社のサイトにいってデモを体験するのが一番。

未来への扉を開けてくれる。

新しい発想が閃く。

それから洞察できる未来は、BLOG の編集もマイクロソフトの Word のような感じになるだろうということ。

  • 広い編集ウィンドウの上に WYSIWYG で直感的に文章を書ける
  • いちいち"確認ボタン"を押さなくてもサーバーに途中の文章が保存される
  • スペルや文法、"て・に・を・は"のチェックをしてくれる
  • 辞書が参照できる
  • " UNDO(アンドゥー:元に戻す) "ができる
  • 文字列の検索や一括変換ができる
  • エトセトラ

ワープロソフトのソフトテクノロジーを持つマイクロソフトに有利なはずではあるけれど世界は広い。Zimbra 社みたいなベンチャーが出てくるかもしれない。

AJAX による BLOG のユーザーインターフェイスの革新が待ち遠しい。

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2005 年 11 月 18 日 : スクイーク

"スクイーク"をご存知だろうか?

20 年前、日常生活でパソコンを利用する人は稀有な存在だった。現在では逆にパソコンを使わない人の方が珍しい。パソコンなくして現代の高度情報化社会における快適な生活シーンは想像できないほどでもある。

しかし自分で思う通りにアイデアをプログラミングして、パソコンを自由自在に操れる天才プログラマーは例外的な存在と言えよう。パソコンはプログラムによって制御されるのだから、普通の人でもプログラミングできれば何かが起こりそうだ。

"スクイーク"があれば、コンピューターの動作原理を知らない小学生でも自由自在にコンピューターがコントロールできてしまう。"スクイーク"とはコンピューターの素人でもプログラミングができるプラットフォームなのだ。

「誰もが自動車を運転して何処でも行けるように、小学生でも無意識のうちにプログラミングできてコンピューターを自由に操れるとしたら」という発想から新しいビジネスは生まれる。

ソフィア・クレイドルの究極の目標地点はそんなところにあると考えている。

宣伝も営業もしない Google という 1998 年に生まれたばかりの新興ベンチャーが、何故あれほどまでの利益率で巨額の売上と利益をあげているのか?

その答えに新しいビジネスチャンスを誰もが見出せる。

数十円からの予算で小学生でも広告が出せる。塵も積もれば山となるという言葉がある。小さな量でも"−∞〜+∞"のすべての範囲で積分すれば天文学的な数字に積み上がる世界が新しい現実なのだ。

ソフトウェア業界にそれを置き換えて考えてみると・・・。誰もが自分のアイデアを簡単に自由自在にプログラミングできるプラットフォームがあって、そのプログラムを数十円の価格で世界中の人びとにネット配信できるとすれば、その時どんな未来が僕たちを待ち構えているのだろうか。

パソコンに止まらず、携帯電話、自動車、テレビ・・・様々な機器が見方を変えればコンピューターでもある。ソフトウェアのマーケットは計り知れないほどの規模で急拡大することが想像できるだろう。

その時、最大のビジネスチャンスは、小学生でも簡単にプログラミングできて、そのソフトをただ同然の安い値段で世界のあらゆる人びとが利用できるプラットフォームである。

  

2005 年 11 月 07 日 : 売れる瞬間

ベンチャーのメリットは、自由に自分の好きな仕事ができるという点にある。しかしそのスタイルを続けるには前提条件がある。創造した製品やサービスがお金を払ってまで欲しいと思うものでなければならないということである。有りがちなのは、ひたすら自分の好きな道を突き進んで玉砕するパターンかもしれない。

キャッシュフローがなければ何れ資金は枯渇し経営破綻する。キャッシュフローが発生するのは、製品やサービスが"売れた瞬間"である。その瞬間の状況をリアルに鮮明にイメージできれば、きっと製品やサービスは売れる。そしてそのベンチャービジネスはさらに飛躍することになるだろう。

製品やサービスが"売れた瞬間"をリアルにイメージすること。このイメージトレーニングが等閑になっている人が多いのではないだろうか。

今、Ajax という JavaScriptXML非同期通信 の技術を組み合わせた新しい Web サービスが注目を浴びている。この技術を使って、Zimbra という米国の IT ベンチャーはマイクロソフトの OutLook と同等の機能を Web で実現している。

Ajax 技術を応用すれば PC 上のデスクトップアプリケーションが Web サービスとなって、PC にある全てのデータをネットのサーバーで一元管理することも可能になってくる。

ブログで使われるようになった、サイトの更新情報の要約をリアルタイムに配信してくれる RSS がある。RSS リーダーを使うと、これまでブラウザの"お気に入り"に登録していた情報の更新状況がリアルタイムに把握できるようになる。

ネット上のサーバーにある、XML ベースのニュースや株価、天気予報などの情報をリアルタイムに知りたい時もある。RSS リーダーに登録された情報が一元管理されたネット上のサーバーにあって、携帯端末からいつでも見れるとすればどうだろうか?

ニュースや株価、天気予報など、その瞬間だから価値を持つ情報は携帯端末で更新されたタイミングで知ることができればとても便利である。そういったものを実現しようとすれば、携帯端末向けの XML パーサーや非同期通信、 JavaScript と同等のものがあれば実現可能である。

Ajax 技術を応用したモバイル版 RSS リーダーと XML ブラウザは話題を呼び、新聞や Web のニュースサイトに掲載されそうだ。多くの人びとが興味・関心を持ち、期待を寄せ、トライアル版を入手する。そしてその使用感を確かめる。使用感が必然的に想像以上のものであった時、それが"売れる瞬間"だ。

アプリケーションが利用される、すなわち"売れた瞬間"をイメージする。そしてそれを構成する要素技術を実現するというアプローチを採れば、少なくともそのアプリケーションがあるから、キャッシュフローが生まれる確率が上昇する。それを足掛かりにしてベンチャーというビジネスは成長してゆく。

  

2005 年 11 月 03 日 : Software 2005

ソフィア・クレイドルを創業してからの 4 年間で世界 No.1 と誇れるものをいくつか創造し、製品レベルまで仕上げた。


1. JavaBREW の プログラム圧縮技術

2. BREW の ユーザーインターフェース技術

3. BREW の C++ クラスライブラリ技術


ハイテクベンチャーを経営して痛感するのは、世界を視野に入れてものごとを洞察する習慣の大切さ。世界 No.1 を創造するのは大変だけれども、それがハイテクベンチャーの宿命でもある。

最近、海外からの問い合わせが多い。それは世界に注目されている証かもしれない。

  

2005 年 11 月 01 日 : BREW 用 RSS リーダー、メーラー、スケジューラーのソースコードを無償提供

[PRESS RELEASE]

ソフィア・クレイドル、BREW 用 RSS リーダー、メーラー、スケジューラーのソースコードを無償提供

〜 BREW ミドルウェア 『ソフィア・フレームワーク バージョン 3.0 』 に同梱 〜

[概要]

携帯電話向けソフト開発の株式会社ソフィア・クレイドル(本社:京都市、代表取締役社長:杉山和徳、以下 ソフィア・クレイドル)は、BREW用の RSSリーダー、POP/SMTP対応メーラー、vCalendar対応スケジューラーなどのソースコードを無償提供します。ソースコードは2005年11月2日に出荷する BREW ミドルウェア『SophiaFramework (ソフィア・フレームワーク) バージョン3.0』にチュートリアル付きで同梱されます。

[詳細]

2005年11月2日から、ソフィア・クレイドル はBREW【※1】ミドルウェア『 SophiaFramework (ソフィア・フレームワーク) バージョン3.0』【※2】の出荷を開始します。ブログなどの更新情報を表示するRSS【※3】リーダー、POP/SMTP【※4】に対応したメーラー、vCalendar【※5】形式でデータ交換できるスケジューラーなど、『SophiaFramework』を用いた実用的なBREWアプリのソースコードをチュートリアル付きで無償提供します。

これらのソースコードを足掛かりに、『SophiaFramework』のユーザーインターフェースエンジンを使って独自のプログラムを付加することで、本格的なBREWアプリを簡単に且つ迅速に開発できます。

なお、2005年11月2日から本ソースコードは『SophiaFramework (ソフィア・フレームワーク) バージョン3.0』を購入、もしくは評価版申し込めば無償提供されます。

SophiaFramework URL: リンク
SophiaFramework 評価版申し込みURL: リンク
本プレスリリースURL : リンク

以上


■用語解説

【※1】BREW
読み方:「ブリュー」または「ブルー」
2001年1月に米国クアルコム社が発表した携帯電話向けソフトウェアの規格。「ブリュー」もしくは「ブルー」と読む。異なる携帯電話機のOSの仕様差を吸収し、単一のコンパイル後のプログラムをインターネットからダウンロードし、さまざまな携帯電話機でそのまま高速に動作できるように設計されている。日本ではKDDIが2003年2月よりBREWサービスを提供開始。NTT ドコモの一部の機種でBREWが採用されている。2005年10月現在、世界で29ヶ国56 の通信キャリアが採用しており、世界的な規模でその普及が急速に進んでいる。

【※2】SophiaFramework
読み方:ソフィア・フレームワーク
ソフィア・クレイドルが2002年8月に発表した、BREWアプリをC++プログラミングで開発することを世界で初めて実現した唯一のBREW向けC++オブジェクト指向開発環境。ユーザーインターフェース、通信、グラフィック描画、文字列処理など、ビジネス、コンテンツ、ゲームなどジャンルを問わず、あらゆるBREWアプリを開発するのに必要十分な“クラス”と呼ばれるプログラムモジュール群がラインナップされている。すでにKDDI公式EZアプリ(BREW)やビジネス系BREWアプリで多数の導入実績がある。
詳細情報URL: リンク

【※3】RSS
Rich Site Summaryの略。ブログなどのウェブサイトのタイトル、アドレス、見出し、更新時刻などを記述するための文書フォーマット。ブログの更新情報の配信用が大半を占める。最近、ニュース配信や企業のプレスリリースなどの最新情報を、RSSを使って配信する事例が増えている。

【※4】POP/SMTP
Post Office Protocol 、Simple Mail Transfer Protocolの略。現在最も広く普及しているインターネットのメールサーバー間で使われるメールを送受信するためのプロトコル(取り決め)のこと。ほとんどのパソコンのメーラーはこのプロトコルに対応したものになっている。

【※5】vCalendar
スケジュール情報に関する共通フォーマットのこと。このフォーマットでデータをやり取りすることで、PCやPDA、携帯電話などの異なる端末間でスケジュール情報が共有できる。


■会社の説明

株式会社ソフィア・クレイドル
代表者: 代表取締役社長 杉山和徳
設立日: 2002 年 2 月 22 日
所在地: 京都市左京区田中関田町 2 番地 7
資本金: 2645 万円
事業内容: モバイルインターネットに関する:
1.ソフトウェア基礎技術の研究開発
2.ソフトウェア製品の製造及び販売
3.システム企画及びインテグレーション
ホームページ: リンク

  

2005 年 10 月 28 日 : Web 2.0

Web 2.0 というキーワードをよく耳にする。ネットで検索するとカンファレンスも開催されている。Web の使われ方が次の世代へと進化し始めているということらしい。BLOGSNSWiki などがその典型的な例である。

Ross Mayfield 氏が Web 2.0 の本質を "Web 1.0 was commerce. Web 2.0 is people" という風に一言で的確に表現している。BLOG もそうなのだが、人と人とのコラボレーションやその中から自然発生して生まれる智慧こそが貴重なもので、それが Web 2.0 の着地点だろうと思った。インターネットだから時と空間を超えて天文学的な数字の"智の連鎖"が生まれてゆく。

"量は質に勝る"と言われたりもする。Web 2.0 では、それが正しく当てはまるケースなのかもしれない。天文学的な数字に上る"智の連鎖"の中にこれまでに人類が目撃し得なかった"ダイヤモンドの輝き"を発見できたりもするだろう。

Web 2.0 ビジネスにおける勝者の条件とは何か?"Web 1.0 was commerce. Web 2.0 is people"であるのならば、そのネットに関与する人びとの多さではないかという見方もできる。世界の人口構成から言えば英語や中国語を母国語とする人が多い。

ネット上で表現される智慧は言葉と絵や写真などによって表現される。取り分け重要なのは言葉の問題であると思う。日本語を使う人は1億人を超える程度。世界全体の人口から言えば、60 分の 1 に過ぎない。極めてマイナーな領域と言わざるを得ない。

BLOG、SNS などの Web 2.0 の範疇に属するサービスが日本国内でも急激に人口を伸ばしている。これらのサービスも何れはインターナショナルに統合されてゆくのが自然の流れだと思う。けれども、この種のサービスを提供している国内のネット系 IT ベンチャーで英語や中国語で海外に向けて情報発信している例はほとんど見られない。

ブロードバンドが世界で最も進んでいる日本だけに、今の段階から世界を意識した Web 2.0 のビジネスチャンスは大いにある。そのためには世界的な視野でものごとを捉えてグランドデザインする姿勢が以前にも増して重要になってくるだろう。

  
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