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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : History

2005 年 10 月 09 日 : チャレンジング 

大学受験を目前にした頃、どの学部に入学すべきかについて迷っていた。結局その選択が今の自分を運命付けた。その時違う道を進んでいたら今頃…という想像もできるけど、個人的に最善の決断をしてきたと思っている。

今でこそコンピューターは子供の時からの身近な存在であるが、当時、大抵の人にとっては大学でコンピューターに触れるという感じだった。初めてコンピューターに 2 進数で記述された自分のプログラムをインプットしそれは問題なく動作した。その時に味わった感動は今でも忘れられない。プログラミングに深い興味を持ったのもその瞬間で、それからずっとプログラミングの仕事をしている。

プログラムとは、人がコンピューターへ送るメッセージを表現するものである。コンピューターが発明された当初は文字通り 0 と 1 からなる 2 進数で記述するしかなかったので専門家にしか使えない代物だった。ほどなくして日常の言葉に近いプログラミング言語が発明された。コンピューターが止め処無く進化発展を遂げている理由のひとつはプログラミング言語の発明によるものだ。

日常生活において当たり前に使っている電気製品。そのほとんどはプログラミング言語で記述されたプログラムに従ってコントロールされていている。それを考えると、プログラミング言語の果たす役割は偉大である。

そういうことがあって、あるプログラムを開発するというよりはあらゆるプログラムを記述するためのプログラミング言語に関連のある仕事に携わりたい。それが初めてコンピューターに触れたときから今日に至るまで一貫して持ち続けている自分の目標である。

プログラミング言語に求められるものとは何なのだろう。それは自然言語と比較してみると、コンピューターに自分の心の中にある思いや考えがストレートに正しく伝わるというところにありそうな気がする。しかし誰もが簡単にプログラミングできるわけではなく、ほんの一握りの人たちしかプログラマーになり得ない現実がある。それ故、ビジネスのポテンシャルも計り知れないほどに存在しているといえるのではないだろうか。

  

2005 年 10 月 05 日 : 計り得ぬ価値創造

2005年10月3日、新月の日。ソフィア・クレイドルの第5期がスタートした。それに併せるように期待の新作 SophiaFramework Ver 3.0(β) を発表した。βとは言え実際のところ製品となんら遜色はない。

Chief Software Architectがしばらくの間、調整の休養をとるので万全を期してβにしただけ。創業以来3年半以上もの時間をかけて開発した渾身の作品である。不眠不休で仕事に没頭する景色にオフィスが彩られることもあった。

リフレッシュして新たな創作活動をするには長期休養が必要なときもある。最近、山下達郎やサザンオールスターズが相次いで6〜7年振りに新作をリリースしている。プロフェッショナルな傑作を世に送り出そうとすればそれなりに歳月がかかるものだ。あるときは何も考えずエンドレスに過ごす時の流れにも意味を見出せる。そんなひと時があるから数字に換算できないほどの価値が生まれる。

創業当初、マーケティングとイノベーションのマネジメントの両面で苦戦することも多かった。でも期を5回重ねるとなるとマネジメントも安定感が桁違いに増してくる。その時ある人は完全無欠なビジネスプランを書き下して、株式上場というようなプランを思い描いたりする。

第5期という事業年度を迎えて思うのは、売上や利益といった数字より遥かに価値があることってあるんじゃないの、ということだ。例えば、名作、名曲といわれる絵画や文学、クラシック音楽というものは数字に換算できないということである。むしろそんなものの方がロングレンジに構想するのならば価値がありそうに思えてくる。

ソフィア・クレイドルの経営の根幹は、そういった過去の歴史の過程を経て現代までに伝わってきた数々の作品の影響を強く受けている。

経営が安定してきた今こそ、目標とすべきは時を超えて生きる作品の創作活動ではないかと思ったりする。傑作と称される作品ほど定められた計画とは別の領域で創られるような気がする。何らかの秘訣は確かにありそうだ。

数字には換算できない価値を創造すること。ソフィア・クレイドルの目標は変化しつつある。

  

2005 年 08 月 11 日 : Ocean

「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止まる事なし。世の中にある人と住家と、またかくの如し」

鴨長明による「方丈記」の有名な冒頭の一節である。オフィスから徒歩で数分のところに世界文化遺産として有名な下鴨神社がある。その近くを加茂川と高野川が合流し鴨川として北から南へと走っている。調べてみると、鴨長明は下鴨神社の神官の次男だったらしい。著名な文章は鴨川が合流する辺りの風景を眺めながら想い浮かべたものかもしれない。

いつも眺めている川は同じだけれど、その川を流れる水は決しては同じではないという意味らしい。何でも良いのだけれど、会社でもその存在そのものは何ら変わらないのに、それを構成するスタッフは時間の経過と共に変化する様がこんな感じである。

新しい世界を期待してソフィア・クレイドルにジョインする者もいるし、たまたま通過するものもいる。スタッフ自身も物理的に精神的に時の移ろいとともに確実に変化している。人それぞれに個人的な思いがあり、それを正確に捉えようとすれば正しく複雑系の科学なのかもしれない。複雑系の学問では、個々の構成要素をバラバラに分解しようとしても逆にますます複雑性を増すばかりで理解が困難になるが、複雑なものも全体の概念として把握に努めればその実像が明らかになると言われている。

会社についても複雑系的な発想でものごとを考えるのが良いのかもしれない。

大切なのはきっと創業以来存続している「ソフィア・クレイドル」という川のような存在が全体として何処に向かって流れているかではないだろうか。川の水が流れの方向に進んでいくように、会社のスタッフもその方向に向かって進むように。肝心なのはその川の流れの行き先は一体何処なのかという一点に集約されるように思う。

そんな事情もあって「方丈記」のこの文章は私にとってお気に入りで、ものごとの発想の原点でもある文章なのだ。名前に川のつく者も多くこれがまったくの偶然であるのも不思議な事ではある。京都には海がない。けれどもセルビアからはるばるやって来た外国人スタッフが活躍している。そのせいか流れの先にある海に共に憧れを抱いている。

  

2005 年 07 月 31 日 : BREW / Java 完全攻略 ケータイ開発実践入門

2005 年 8 月 5 日にスタッフが寄稿した専門誌「組込みプレス Startup Issue 」(技術評論社)が発売される。

2005 年 5 〜 6 月の 2 ヶ月間はこの仕事で多くの時間がこれに割かれた。創業してからずっと、携帯電話向けソフトウェアテクノロジーに関して他社が手掛けていない独自性を追求してきた。できるだけ沢山のノウハウを惜しみなく公開するようにスタッフに依頼した結果としての記事である。さすがスタッフ同士の見事なチームワークだった。

紙面に限りがあるため、書きたかったけれども残念ながらそれが叶わなかったノウハウも多い。それらについては今秋を目処に、弊社サイトにて無償で順次公開して行こうと思う。

■スタッフが寄稿した雑誌の特集企画:

【 BREW / Java 完全攻略 ケータイ開発実践入門 】

第 1 章 BREW,Java によるアプリケーション開発の基本
     〜携帯電話におけるソフトウェア開発のしくみ〜

第 2 章 C ではなく C++ で BREW アプリを開発する理由
     〜大規模化するアプリ開発に適した開発方法を考える〜

第 3 章 BREW アプリ開発における C++ の実際
     〜コンパイラ,BREW 環境特有の制限を考慮した設計〜

第 4 章 RVCTB コンパイラの特性を意識した最適化
     〜クラス定数の利用方法検証〜

第 5 章 ヒープと文字列クラスの実装 
     〜 C++ のメリットを実感しよう〜

第 6 章 Java アプリ開発実践入門
     〜キャリアごとの相違を踏まえた開発を成功させるには〜

第 7 章 Java → BREW 移植のポイント
     〜シングルスレッドで,UI コントロールも少ない BREW への対処法〜

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2005 年 07 月 10 日 : 行百里者

『戦国策』(秦三巻)に「行百里者半九十(百里を行く者は九十を半ばとす)」という有名な箴言がある。百里の道程を行くときは九十里で半分まで来たと心得ることこそが、ものごとをパーフェクトに完成させるための秘訣ということだ。

途中まで計画通りなのに成就せずに終ることが多い。それは最後の詰めの段階でそれまでの成功体験を過信して油断する人間の弱さにあるのかもしれない。

だから自分のイメージしたビジョンを実現するためには、残り10パーセントに辿り着いたといえども、まだ半分しか仕事は終っていないと気持ちを引き締めてより慎重に行動するように心掛けたいものである。それによって達成不可能と思われるような仕事や偉業も、必然的に現実のものとして姿を顕すのではないだろうか。

今、18ヶ月というベンチャーにしては長き時間をかけ、そのフィニッシュを決めるべきフェーズのソフトウェア研究開発プロジェクトがある。その完成まで残り2ヶ月を切った。『戦国策』の「行百里者半九十」という言葉をよく噛み締めて最後の詰めに取り組む姿勢が大切だ。

昨年の3月以来、ソフィア・クレイドルの時間と労力の90%は、全世界のマーケットをターゲットとする、この新製品の研究開発に捧げられてきた。具体的な収益というビジネスのかたちになるのは、2005年10月からスタートする第5期からであり、これに託す思いは計り知れない。

先週は、残り2ヶ月という貴重な期間をどのように過ごしてその思いを必達するかという道筋について、スタッフ全員と議論しながらその計画を策定していた。

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2005 年 07 月 02 日 : 星影

2005年7月2日時点で、「BREW」と「C++」というキーワードで、GoogleYahoo!MSNという著名3大検索エンジンをかけてみた。すると、Googleでは143,000件、Yahoo!では205,000件、MSNでは40,848件、「BREW」と「C++」に関連する登録サイトがそれぞれあった。何れもソフィア・クレイドルのサイトが第1位にランキングされており、いわば三冠を制したことになろうと素直に喜んでいる。

BREW」の業界で「C++」に関連する製品を研究開発し販売している会社は世界でソフィア・クレイドルだけである。だからなるべくしてそうなったと言えるかもしれない。けれども、ベンチャービジネスを創める何も定かでない霧の中を進む時期に、敢えてそういう選択ができるかが大切と思う。想定通りに事が運ばなければ全ての財産を失う結末を迎えるかもしれない。しかも世界中を見渡しても、自分たち以外誰もそんなことに挑戦していなかった。

今でこそ来年には世界で1億台を突破する勢いのBREW搭載携帯電話は、ソフィア・クレイドルを創業した2002年2月、世界マーケットではたった数百万台しか使われていなかった。その当時、NTTドコモ単独でも4000万台以上の携帯電話が利用されていた。そんな状況の中で、敢えて勝算を見込んでこの分野を選択するという種類の決断が、ベンチャー起業家には試されると思う。

何故、BREW搭載携帯電話というものに勝機を見出したかは、過去の日記で何回か触れているのでそちらを参照していただきたい。「BREW」そのものは米国のQualcomm社の提供するプラットフォームである。「BREW」だけの切り口であればQualcomm社と運命共同体の道を歩むことにもなりかねない。だから「BREW」だけでなく、もう一つの視点を求めた。それが「C++」というプログラミング言語であった。

例えば、Googleで「C++」をキーにして検索エンジンをかけてみると、世界で31,000,000件もの登録サイトがあることが分かる。それくらい世界レベルで考えてみれば、「C++」というものはメジャーなキーワードである。仮に「BREW」が今日のように世界中で普及が進むのであれば、そこには「C++」という分野が自ずと創造されるであろう。私たちは今「BREW」と「C++」を掛け合わせた業界で世界オンリーワンにしてナンバーワンを目指して、創業4年目の時間軸を駆け抜けている。

昼間は、太陽の光に遮られて見えない数え切れない程の星影も、夜になって見上げると自然に目に映ってくる。太陽が輝く空には無数の星が隠されているのだという事実は、ベンチャー起業のチャンスは無限大であることを示唆しているのかもしれない。

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2005 年 06 月 08 日 : 100社に到達!

遂にソフィア・クレイドルの製品をご利用いただいているお客さまの数が100社に到達した。

創業時からの顧客数の推移は次の通り。

創業1年後  11社
   2年後  25社
   3年後  60社
   4年目 100社

これらの数字からも分かるように顧客数の伸びが年を追う毎に加速している。ワクワク&ドキドキ感の伴う曲線の奇跡を描いている。3年目から販売チャネルをインターネット一本に絞ったのが功を奏した。今年から海外ビジネスにも着手するので、今後更にシフトアップして飛躍する見通し。

このペースで社員を増やすつもりは無い。社員一人当たりの利益が高まれば、それに伴い個々の社員の収入は増え生活にもゆとりが生まれるからだ。今後どうやって効率的に仕事を進めるかが重要な経営課題となるだろう。いまはそれに備えた仕組み創りや段取りに余念がない。

実際のところ、社員数は創業時と同じで変化はない。何事も思いから始まる。人手を増やすことなく、どこまで売上と利益を伸ばせるか。そういったことに積極果敢にチャレンジし試行錯誤を重ねる過程において、どこからともなくブレークスルーはやってくるもの。

販売代理店に頼ることなく、100%直販で事業を展開しているわけだが、営業員(営業活動)ゼロ、広告宣伝費ゼロでも創意工夫すればなんとかなる。勿論、トップセールスに赴くこともまず無い。その意味において、使い様によってインターネットは偉大な威力を発揮してくれる。ソフィア・クレイドルの製品マーケティングはほぼすべてをインターネットに頼っている。

  
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