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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Creativity

2006 年 04 月 09 日 : Chemistry

「大きな仕事は小さく分割して一つ一つ片付けて全体を完成させる」という方法論を、多くの人が当たり前のように捉えるかもしれない。

この逆の思考回路から"イノベーション"や"ブレークスルー"といった革新は生まれると僕は考えている。

簡単に言えば、異なる 2 つを"組み合わせる"ことで、オリジナルとはスガタ・カタチを全く別にする、想いもしない新しい何かが誕生するという発想である。

ナトリウム(Na)と塩素(Cl)から食塩(NaCl)が化学反応によって生成されるのと同じである。

これは何も化学の世界に限った話ではなく、ビジネスでも、スポーツでも、ミュージックでも ・・・ あらゆる日常生活で実感できる現象なのだ。

そもそも、ごく限られた種類の素粒子から創まった宇宙がそんな風にして進化発展を遂げているのだから、当たり前と言えば当たり前かもしれない。

けれども、こんな問題意識をもっている人ってどれくらいいるのかと思ったりもする。

仕事を分割してゆくアプローチは既にカタチが見えている世界でもあり、それ故に誰もがそれに取り組みたがる。

何故ならば、なんとなく安心できるからである。

過去の歴史を振り返れば、「セレンディピティ」と言われたりもするが、偉大な発見や発明は例外なく予想もしなかった出来事から生まれている。

それは異質のモノ同士を組み合わせて新しい世界を探るアプローチである。結果が見えないだけに人生を賭けるとすれば多少の勇気や決断力は要求されるだろう。

でも、人生の妙味は意外性にあるんじゃないだろうか。

  

2006 年 03 月 31 日 : アシンメトリ

モノやサービスを売る人がいて、モノやサービスを買う人がいる。

概して、「売る」のと「買う」のはどちらが大変だろうか?

お金さえあれば「買う」のは誰にでも容易い朝飯前の話だ。

「売る」というのはそんな訳にいかない。「買う」の同じくらい簡単なら誰もベンチャー起業で苦労はしないし、きっとドリームゲートの存在も有り得ないだろう。

けれども、よく考えてみると、買った時に支払われるお金の総計と売った時に得られるお金の総計はイコールなのである。

この事実は一体何を意味するのか?

恐らくは、世の中の経済原則のひとつである、富の一極集中という現象の本質なんだろう。

「お金を稼ぐ」という観点から考察するならば、「モノやサービスを買う」のと同じ感覚で、ナチュラルに「モノやサービスを売る」という流れも創り出せるという意識は外せないかもしれない。

  

2006 年 03 月 27 日 : Newtype

『機動戦士ガンダム』が放映されていたのは、1979 年から 1980 年。

かなり昔の出来事だが、今もなおその輝きは色褪せず逆に初めて知る人には新鮮な印象さえ与えるロングセラーになっている。

人をそんな風に『機動戦士ガンダム』に釘付けにさせるものは何なのだろうか?

初めて観てから四半世紀の歳月を経た今も、鮮明に記憶に残っているのは "ニュータイプ(Newtype)" というキーワードである。

『機動戦士ガンダム』では、独自の宇宙全体に及ぶ世界観を"宇宙世紀(Universal Century:U.C.)"という言葉に込めて表現していた。

物語の設定では、人類が"地球"という狭い領域から、"宇宙"という計り知れないほど広大な領域へと生活圏を拡大した時に"変革"が起こるということだった。

古いスタイルから新しいスタイルへと変革した人類のことを指して"ニュータイプ"と定義した。

"ニュータイプ"の特長とは、動物が本来持っている直感(感性)というものに磨きが一層かかり、遥か彼方の遠く離れていても、時空を超えてテレパシーのようなものでお互いに認識し理解しえることである。

「何も言葉を交わさなくても瞬時に理解しあえる」という才能に人々はきっと憧れを感じるんじゃないだろうか。そして、その能力をどうやって身に着けるかということに空想を馳せてみたりする。

インターネットを駆使するビジネスでは、直接会って話をする訳でもないので、果ては地球の裏側にまで遠くにいるお客様の心を"ニュータイプ"の如く理解できる才能というものが今、求められている。

『機動戦士ガンダム』では、"地球"から"宇宙"へと旅立つことで、それまでは眠ったままだった頭脳の一部が活性化されることで、"ニュータイプ"は生まれるということだった。

それは架空の話ではあるけれど、現実の世界では人々の頭脳はほんの数%しか使われていないらしい。残りの 90 %以上の頭脳は眠ったままである。どうやってそれらを覚醒させるかであるが、その決め手は環境であることだけは確かなような気がする。

* 中国の古典「淮南子」(紀元前2世紀)によれば、「往古来今これ宙という、天地四方上下これ宇という」ということである。「宇宙」の「宇」は空間、「宙」は時間を意味し、「宇宙」=「時空」ということになる。

** 「世界」の場合、「世」は過去、現在、未来の「時間」を意味し、「界」は東西南北上下の「空間」を意味する、仏教の言葉であるという。「世界」も「時空」である。

*** 語源を辿れば、「宇宙」や「世界」というものに対する認識も大きく変化するから不思議である。紀元前の時代に、時空という概念が世界に先駆けて東洋の地に既に存在していたことはとても興味深く、僕たち東洋の人たちが大切にすべき思想ではないだろうか。

  

2006 年 03 月 25 日 : Collaboration

人の DNA (遺伝子) には、人類の過去、現在、未来が記されているという。

けれど、ほとんどの情報は休眠状態のままである。

人類の進歩や発展と言えるものが、それらの情報のいくつかの覚醒によるものであるとすれば、ひょっとすると僕たちはそんな観点から過ぎ去りし人たちと共に社会貢献ができるのかもしれない。

純粋には、ただひたすら個人的に好きなこと、得意なことをしているにも関わらず、人の役に立っているとすればそれは素敵なことだね、と思う。

心を感動や感激に導いてくれる過去の出来事が、自分の中に眠っている才能と言えるものを呼び覚ましてくれる。言い換えれば、ある DNA の情報が ON になる。

もし仮にその事実が人類の歴史が創まって以来のことだとするなら、これほど喜ばしいことも無いのではと思う。

それはどういうことかと感覚的に言えば、直接会えないにも関わらず、何百年、何千年も前に存在した人たちと対話した結果、生まれたものが、人類の DNA にも刻まれて、生命が続く限り永遠なる情報として残るということである。

生物の物理的な命は有限かもしれないけれども、DNA と呼ばれるものには何か永遠の生命があるかのようだ。

過去の出来事は DNA によって現代に伝播され、その空間で過去の人たちとコラボレーションがなされて、DNA の情報は進化し未来に伝わってゆく。

願わくば、人そのものが書き記されていると言われる DNA に何らかの情報を自分の生きた証として残したい。その鍵は過去に生きた偉人たちとの対話にありそうな気がする。

* collaboration : when you work together with another person or group to achieve something, especially in science or art

  

2006 年 03 月 25 日 : Inspired

あまりも小さくて肉眼で確認することは叶わない。けれども、人の DNA (遺伝子) は、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)というたった 4 文字のアルファベット、約 10 億文字で記述される。その遺伝子を解読することで、その人の過去、現在、未来も分かるらしい。

とりわけ興味深いのは、地球上の全ての生命も DNA を持ち、ほとんどの情報が共通するという点である。まして、人と人とでは、その違いを認識するのさえ困難なほどではないかとすら思えてくる。

そこで疑問が浮かぶ。

人が生涯に渡ってアウトプットするものの量と質における顕著な差である。その人をプログラミングしているはずの DNA がほとんど同じなのに、結果が甚だしく異なるのは明らかに矛盾している。

それを生じせしめる正体は一体何なのか、ということが分かれば、明るい将来を展望できるかもしれない。

DNA に関する書籍を読んでいて面白いなと思ったのは、10 億文字の遺伝子情報は「ブリタニカ百科事典」であれば 10 セット分にも相当するらしいけれど、ほとんどの情報はスイッチが OFF になっているらしい。

要するに貴重な情報の大半が眠ったままであるらしいのだ。

ポイントは、眠ったものをどうやって呼び起こすかというあたりに絞られるようにも思える。

"inspired"という言葉がある。この英単語はまさしくそれを表現しているかのようだ。

経営、音楽、絵画、文章、プログラミング、デザイン、スポーツ、 ………

人はいろんな分野で、さまざまな『超一流』を知ることで、自分の中に眠っていた生まれながらの才能が覚醒するのではないかと僕は思っている。

超一流に触れた瞬間、最初から自分の心の中にあった何かがカタチになり、アイデアとして具現化する。

そんな経験はないだろうか。

素晴らしきものを創造するための大きな手掛かりなると僕は考えているのだけど、そのためには、『超一流』と言えるものを感じとれる感性を磨く必要がありそうだ。

* inspired : filled with creative power, full of a spirit that leads to outstanding achievements, produced as if by or with the help of inspiration

  

2006 年 03 月 22 日 : Memory

Andras Schiff が演奏する、J. S. Bach が作曲した "Keyboard Concerti Concerto #5 in f, BWV 1056 - Allegro/Largo/Presto" を聴きながら、この文章を綴っている。

客観的な事実として、単にひとつの曲に過ぎないのだけども、この曲を聴く様々な人の想いや心情といったものは一言で表現するのは不可能に近い。

同じようにホームページやメール、ブログに載せる文章にしてもそんなことが日常茶飯事のように起こり得ると考えた方が良いだろう。

ある事象をひとつの文章にまとめたとする。

その時、客観的に同じ意味を持つ内容が幾通りにも表現でき、その中から最善の表現を試みるという姿勢が大切である。

文章がアタマの中で映像化されて、希望や願望にシンクロするものであれば、きっとその内容は永く記憶されるに違いないと思う。

たった一度だけ聴いた名曲のワンフレーズが、生涯に渡って忘れ得ぬ記憶として残るのと同じである。

冒頭に記した、J. S. Bach の曲は僕にとってそんな曲である。

ビジネスでも基本はそんなところにあると思う。

ホームページやマニュアルなどのドキュメントの文章を書くときに、名曲や名画を創作しようとする心構えでいるかどうかで結果は天と地ほどの差が生まれる。

大事なのは、意味が通じれば良いということではなく、人々の心のなかでそれがどんな風に響くかというイメージそのものである。

もしそれが J. S. Bach の曲が奏でるメロディのように、人々の心に和むものであれば、これほど素晴らしいことはないだろう。

  

2006 年 03 月 21 日 : 空間ワープ

ベンチャーとは、全ては無から創まるビジネスだけに、既存の企業とは計り知れないほどのハンディがある。

けれども、これはどこの傘下に入るわけでもなく、独立独歩のスタイルでベンチャーを起業した者にしか理解し得ないことなのかもしれない…。

ハンディを乗り越えるツールはひとつだけあると思う。

誰もが持っているはずの"智慧"である。既存の企業を桁違いに凌駕するだけの"智慧"を振り絞って行動しなければ、独立系ベンチャーの命なんて一瞬のうちに潰えることであろう。

そうならないためにも、当たり前のことなんだけれど、意外に難しいのが"売れる状況"をどうやって演出するかである。

売れるものに共通する概念について徹底的に考え抜くことが大切だ。

地球の裏側にまで瞬時に空間をワープするほどの「これってなんとなくいいね!」という気持ち、感情、心の波形こそが、そんな売れる雰囲気を創り出すんだ、と僕は思う。

そんな心の波形のカタチって漠然としていて、直ぐに的を得た答も得られるわけでもなく、いろいろと想い描いているうちに儚くも時は過ぎ行く。

だけど、イマジネーションと共に流れる空間に身を委ねて時間を過ごすことで、突然アイディアというものは思い浮かぶのである。

多くの人は、ダイレクトに商品の効能を大々的にプレゼンして、成功を収めようとする。

正攻法である。

なんとなく別の方法がありそうな気がする。

曲を作ったり、絵を描いたり、文章を書くとき、心の欲するままに素直に表現するときに傑作って生まれるのではないだろうか。

事業として手掛けてるのはソフトウェア業。プログラミングの世界である。アルゴリズムとかややこしいものがあって、かなりロジカルなものに思えるかもしれない。

でもプログラムにしても、乗りに乗っているときなんかは、左脳じゃなくて右脳で直感的に創るスタイルになっている。そんなときに限っていい作品って生まれる。

いま創っているものを人々が手にした時、どんな気持ちになるのかイメージすると良いだろう。

その時、圧倒的にプラスの方向へと誘う感情を確かに見出せたなら、それは売れる瞬間がイメージできたと言えるのかもしれない。

  
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