2005 年 08 月 18 日 : Leading company
創業以来ずっと、業界の"リーディングカンパニー"と称されるお客様に選ばれる製品を企画し開発し販売してきた。いま対象としている業界は、コンテンツ、ゲーム、システムインテグレーター、情報通信。今のところ、それぞれの業界のリーディングカンパニーがソフィア・クレイドルの製品を採用して下さっている。どちらかといえば順調である。
なぜ"リーディングカンパニー"なのか?
その企業が"リーディングカンパニー"となり得た理由を考えればそれは明らかである。原因があるから結果があるというロジカルシンキングは極めて重要。その企業がお客様の期待を遥かに超える"超一流"の商品やサービスを創造できたからリーディングカンパニーとなったのだ。
業界のリーディングカンパニーともなれば、資金も潤沢である。それ故にありとあらゆる企業からさまざまな企画提案を受けていることは想像に難くない。同じようなものであるならば、"No. 2"以下よりは"No. 1"を選ぶというのが業界トップの当然の結論だろう。時代の変化が激しい世の中である。"リーディングカンパニー"といえどもいつ何時何が起こるか知る術を持たない。
だから業界トップであるばあるほど、自社のサービスに必要なものであれば最も優れたものを選択する傾向にある。即ち、リーディングカンパニーと呼ばれる企業に製品が選択されるということはその製品がそれなりに高く評価されたということなのだ。
最近顕著に思うことがある。それは業界において生き残れる企業というものは極めて限定されるということである。パソコンのオペレーティングシステムであれば Windows と MacOS と Linux くらいしかなく Windows が大半のシェアを占めている。しかしニッチで構わないから、業界でトップであるためにはどうすべきか。創業期の初めの頃から、"リーディングカンパニー"へのマーケティングにこだわって戦略的に発想し行動するように心がけた。
2005 年 08 月 17 日 : Heart & Mind
和英辞典で調べてみると、"人々の心をつかむ"を英語で表現すれば"win the hearts and minds of people"ということらしい。"heart"も"mind"も心であることに違いは無いけれど、"heart"は喜怒哀楽など感情の宿る心、"mind"は知性・理性の宿る心という風に使い分けがあるようだ。個人的に興味深いと思ったのは、"win the minds and hearts of people"ではなくて、"win the hearts and minds of people"であるという点である。先ずは感情の心"heart"が先に来て、それから知性や理性の心"mind"と続く。
今、ホームページのリニューアルプロジェクトを精力的に進めている。これまでのソフィア・クレイドルのホームページは、ただ製品や技術、会社に関する情報を提供するので精一杯だった。それでもそれぞれのデザイナーが表現していたイメージはずっと"水"と"空"だった。その解釈は自由と思う。
お蔭さまで開発した製品は売れ、余裕もある。次の展開に備えて、その余力をどう活かすか。ベンチャーの成長はその意思決定に左右されると思っている。光速のスピードで世界に張り巡らされたネットの存在は、自分達にとって遠近関わらず雑多な情報で溢れんばかりで無視できない故に、ネットへの正当な対策を早めにやっておいた方が良いと考えている。
"お客様の心をつかむものにしたい"
"win the hearts and minds of our customers"
ホームページリニューアルプロジェクトに描く私の思いだ。英文表記にもあるように感性の世界である"heart"が最初。それから論理の世界である"mind"。この順番は絶対に誤ってはならないと思う。
ホームページで"感性"って何なんだという疑問に突き当たってしまうのだが、個人的な感覚からすればそれは"色"ではないかと思う。少々高価な洋服を選ぶ時は、その服が光線の具合によってどんな色に見えるかというところが最重要ポイントではないだろうか。初めて会う人には形よりもその色の雰囲気で第一印象をずっと持たれてしまうことも多い。だから色については敏感になる。ホームページもそれと同じでどんな色の組み合わせで演出するかというのはきっと大切なことだ。
『売れる色・売れるデザイン』(高坂美紀著)によれば、「明るく澄んだ色」と「暗く濃い色」を組み合わせるとたいていの人を癒せるとのこと。"DEEP BLUE"という美しい映像で評判の映画がある。今年最も売れているDVDの一つらしい。この映画では果てしなく続く海を背景にそんな色が随所に見受けられる。色以外の要素もあるかもしれないけれど、どんな生き物でも癒される色には魅力を感じるように思う。
それではどうやってそんな色を創り出すか――が最大のポイントになってくると思うのだが、空(その先にある宙)や海、山、川、森、私たちの周りを取り囲んでいる自然は人間を癒してくれる色で満ち溢れているように感じる。そこにヒントが隠されているような気がする。
2005 年 08 月 15 日 : Mechanism
飛行機は自動車と比較しておよそ10倍程度のスピードで空を飛んでいる。"仕組み"が根本的に異なっているからそんな桁違いのスピードも実現可能となるのだ。ビジネスでも業績を10倍に伸ばそうとすれば、"仕組み"そのものを変革しなければならない。
ビジネスの場合、"仕組み"を決定付ける可変のパラメーターは無限にあり、かつ個々のパラメーターも如何様にも設定可能である。だからこのパラメーターチューニングはアートの領域といえるかもしれない。それほど微妙なバランスの上に成り立つ世界なのである。
業績を10倍に伸ばすためには人員を増やすというアプローチがまず考えられる。スタッフへの平均給与というものは人件費の総額を人数で割った数字である。また何時如何なるときも業績が好調ということはあり得ない。だから増員のアプローチはできるだ避けたい。
"現有スタッフでどうすれば業績が10倍になるだろうか?"言い換えれば"10人分の仕事を1人でやるにはどうすればよいだろうか?"こんな風に問題意識を持って真面目にこの問題に取り組んでいる人は少ないかもしれない。けれども個々のスタッフの生活の安定や充実、そして会社の存続のための本質はこんなところにあると私は考えている。
一つの答えは、定型的な業務は出来る限りコンピューター化するところにあると思う。その中でもお客様とのコミュニケーションをどのようにバランスよくコンピューター化するかが重要なポイントであり、最大の難関である。そのノウハウは未来の企業経営の根幹の役割を担うようになると考えている。
インターネットがブロードバンド化し、パソコンも高機能、高速化した今、文章だけでなくマルティメディア的な WEB 表現で、いろんな事柄や物事をお客様に伝えることができる時代となった。
例えば「"業績"="受注の数"」とすれば、"業績"を10倍にするということは注文の数を10倍にするということを意味する。Web 経由のみでビジネスを展開しているとすれば、これを達成するにはいろんなアプローチがある。
Web サイトにやってくるお客様の数を10倍にする方法。注文に至るまでのクリック回数を10分の1にする方法。1000名中1名の注文を100名中1名の注文とする方法など……
Web サイトによる販売のメリットは売上が安定するということと、365日24時間年中無休で全世界に販売できるポテンシャルがあること、それから何よりも費用が無視できる点にある。弱点は、コンテンツ自体は現代のコンピューターでは創り得ないことである。それだけは人間にしかできない仕事であり、人間がコンピューターに勝る点だ。それはソフィア・クレイドルのソフトウェア製品と類似した性格を帯びている。
インターネットで調べてみると、フェラーリ F430 という自動車は 490 馬力のエンジンを持っているらしい。他の自動車のエンジンにも同じくそれぞれに決められた馬力数の性能があって、その自動車を運転する人はその馬力でその自動車は走るものと見なす。ところが、人間にはそんな風に何馬力といったような定量的な数値で測れるものは存在しない。これは人間というものは如何様にでもパフォーマンス自体が変化してしまうから、測りようが無いからもしれない。
どんな時に仕事のパフォーマンスが最大化されるかは言うまでもないことかもしれない。敢えて言うならば「自ら仕事を計画し自らその仕事を実行する時」にのみ最高といえる仕事を達成しうるものである。大企業であればあるほど、自分や周囲の人々を見ていて、こんな当たり前なことが為されていないように思った。ベンチャーが大企業に互して世界に誇れる商品やサービスを提供するためには、少なくともスタッフが自ら自発的に仕事に取り組んで、桁違いのパフォーマンスを発揮するワーキングスタイルも欠かせない。
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2005 年 08 月 13 日 : Goal
ハイテクベンチャーにて、過去に存在し得なかった新しいテクノロジーを研究開発し、マーケティングし、そしてグレードアップするサイクルを繰り返すのはマラソンのレースに参戦するようなものなのかもしれない。最終的に研究開発したテクノロジーが売れ、お客様の期待を上回る満足感が生まれる瞬間がマラソンでいうところのゴールインである。
マラソンでは自分の体力や能力に合ったペース、最適化されたランニングフォーム、強靭な肉体と精神力が思い描くフィナーレを飾るためのポイントとなるという。何よりもゴールインそのものの価値はランナーにとって他に代え難い。
直ぐには決着の付かない長期戦のレースは、序盤、中盤、終盤などの局面に応じた戦い方をしなければならない。それが最終的なゴール地点での栄冠獲得への決定的な要因となる。
手掛けるものが大きければ大きいほどゴールに辿り着くまでの道程は遠く、そして険しい。ゴールインできるかどうかさえ客観的な視点からは定かでない。ゴールに到達できなければ社会的に全く意味が無い。しかし、ビジョン、戦略・戦術、冷静な意思決定と絶対に達成する強い意志というような条件が揃えば、100%に近い確率でゴールインできると信じている。
マラソンは郊外の街並みを駆け抜けてゆくレース。ランナーたちの目にはその地点、その地点の美しい景色や応援する人々の姿が入ってくるらしい。ゴールまでの距離というものは最初遥か彼方にあったものが徐々に近づいてくる。それもゴールに近づけば近づくほど加速する勢いなのではないだろうか。トップでゴールを切るランナーの場合はそんな感じであるように思う。同じ往路の景色も、折り返し地点からの復路の景色とは違った映像として観えてくるに違いない。
独創的なテクノロジーの研究開発を創めた段階では、それが本当に実現するのかどうかゴールさえも見えないままにただ闇雲に走っている姿に近い。ずっと黙々と走っている時、突然光が差し込んできてあっけないほど新テクノロジーが実現してしまう。それまでは強い意志力で只管走るしかないのだ。
それ故に、新しいテクノロジーというものは、最初は実現するという一点にのみフォーカスが当てられているのだ。実際に利用する人の視点には立っていないのが実情だ。何しろ実現できるかすら分からないのに、使い勝手や利用シーンまでイメージする余裕は無い。
けれども、そのテクノロジーが現実のものとなれば、次は完成に向けて折り返し地点を回って油断することなく栄光のゴールを目指すのみ。多くのハイテクベンチャーが失敗する原因はテクノロジーの実現をゴール地点と錯覚してしまう油断にあると思う。その先にはまだ進むべき道があるのに…。
いくら画期的で革新的なテクノロジーを実現したとしても、期待を超える満足感や感動のイメージを利用者の心に描けなければ無駄骨としか言いようがない。そのためには先ずは利用者に使ってもらわなければ始らない。
長丁場の前半戦はどちらかといえば自分とテクノロジーとの戦いである。希求していたテクノロジーが実現された後、即ち折り返し地点を過ぎてからの後半戦ではそのテクノロジーを利用するであろうお客様の視点が大切になってくる。開発者の立場や都合で創ったものをお客様の軸に座標変換してテクノロジーを昇華させて初めてそれは真の意味でエンディングを迎えることになるのだ。
2005 年 08 月 05 日 : Language
何気なく使っている"日本語"、普段その有難さを実感する人は少ないだろう。もし"日本語"が使えないとすると、その瞬間からこの上なく不便な生活を送らなければならない。実際のところ、言葉というものは人間にとって無くてはならない重要なものであり、今日の文明や文化もそのお陰とも言える。
人間というのはおかしな生き物だ。それがないと致命的ともいえるくらいに大変なのに、普段はそのメリットに全く気が付かない。"メラビアンの法則"でも言語はコミュニケーションの7%くらいしか影響を及ぼさないと言うけど、絶対にそんなことは無いと個人的には思う。
人間のコミュニケーションが言語によってなされるように、コンピューターとのコミュニケーションはプログラミング言語と呼ばれる存在によって為される。マイクロソフトはBasic、オラクルはSQL、ボーランドはPascal、アドビはPostscriptというように、ソフトウェア業界における偉大なベンチャーが飛躍したきっかけはコンピューター言語での成功である場合が多い。
これは恐らく、日常生活で言語が重要なのと同じような関係で、コンピューターの世界でも言語というものが重要な位置付けを占めるからだろう。それで上にあげたようなハイテクベンチャーの如く、大いなる成長と発展を遂げようとするならば、言語というものが成功のキーになると考えている。
だからソフィア・クレイドルでは、携帯電話向け組込みソフトを記述するためのプログラミング言語に関連する製品の研究開発に特にこだわっている。
2005 年 08 月 03 日 : 眺め
10年ほど前、夜の国道を行き交う自動車のライトの軌跡を飽きることもなく眺めていた。今ではマンションが建ったのでその向こう側は何も視えない。
今は見えないけれど10年前は見えていた過去の事実が新しい発想を喚起してくれる。私たちは"x"軸、"y"軸、"z"軸の座標軸から構成される3次元空間に束縛されるようにして暮らしている。その結果、今は窓からマンションの向こう側が見えないという現象が発生している。
もし私たちが現在の3次元空間に時間軸"t"を導入した4次元空間の存在であるならば、10年前に遡って夜景を駆け抜ける自動車の光を眺めるのも可能だ。
何ごともそうかもしれないが、ベンチャーを経営していると未来をどう視るかで総てが決まるようにすら感じられる。でも4次元空間の中を自由自在に瞬間移動できるタイムマシンがあるわけでもないので、未来を確実に視ることは叶わない。
しかし窓から見えない眺めの例のように、過去に遡ってそれを視るというのは可能でそこに未来を眺望する重大なヒントが隠されている。
たとえば、ソフィア・クレイドルでは30年前から現在に至るまでのコンピューター業界の過去を精査しつつベンチャー経営をしている。30年前であれば、会計のような企業情報システムは何億円もするようなコンピューターで処理がなされていた。しかし今では数万円のパソコンに弥生会計を導入するだけで手軽に使える時代である。こんなトレンドを知れば、会計システムが10年後には数千円の携帯電話サイズのコンピューターで処理されたとしても何ら不思議でない。そこに隠された巨大なビジネスチャンスを見出そうとしている。
肉眼で視えない未来もこんな風にして眺めれば新しい展望が開けてくる。
2005 年 08 月 02 日 : Strategy & Tactics
起業家にはそれぞれに"戦略(Strategy)"と"戦術(Tactics)"があると思う。
それでは"戦略"と"戦術"を打ち出す上で最も大切な考え方は一体何なのであろうか?
一つの答えは「その組織に所属するすべてのスタッフが瞬間的に理解できる単純明快さ」だろう。個人的に"戦略"と"戦術"をこんな風に定義している。"戦略"とは着地点、"戦術"とは着地点に辿り着くための経路であると。
具体的に言えば、ソフィア・クレイドルの"戦略"は次のようになる。
Strategy "世界のあらゆる携帯電話組み込みソフト開発でソフィア・クレイドルの技術が使われること"
"戦術"とはその着地点に到達するための経路だからこんな具合。
Tactics 1. 世界に通用するソフト開発を為し得る超一流の人材を世界から募ること
Tactics 2. プログラミング言語や圧縮技術など汎用性と普遍性に富むソフト開発に的を絞り、集中投資すること
Tactics 3. 想定されるお客様に最適な Web サイトをデザインし構築し運用すること
Tactics 4. 製品 や Web は、日本語のみならず、英語、中国語など多言語対応すること
Tactics 5. ソフィア・クレイドルのソフトを自社のサーバーから世界に向けてネット配信できるインフラをデザインし構築し運用すること
ベンチャーの強みはある分野に集中特化し、熱意と情熱で新しい発見や発明をスピーディに実現する過程にある。それを達成するためには所属するすべてのスタッフが"戦略"と"戦術"を完璧に理解していることが何よりも重要である。そのためには"戦略"と"戦術"は全てのスタッフにとって単純明快であることが必須条件である。