2005 年 11 月 23 日 : 未来への架け橋
ソフィア・クレイドルはベーシックなことを大切にし、それをビジネスにする会社。
何故ならベーシックなことには"永続"という性質が付随するから。
会社が永くその名を残すための基本的な原理原則でもある。
事業運営の根本的な思想はそんなところに置いている。
では、変化の激しい IT 業界にあって、何十年、何百年にも渡って存続し続けるものはあるのだろうか?という問いかけが自然な発想だろう。
例えば、100 年後の日常生活を想像してほしい。
過去に存在し得なかった、全く新しい言語で会話をしている姿は想像しにくいのではないだろうか。おそらく、日本語としての純正さを持ちながらも、未来風に多少アレンジの掛かった日本語で会話をしているはずである。
タイムマシンがあったとして 100 年後の未来に旅立つとする。
辿り着いた先が日本であれば、きっと日本語で未来の人びとと意思相通できるだろう。
現に、何百年、何千年も前の古典を読んでも理解できる。
そういう発想で IT 業界を眺めて事業戦略を練り、その通り遂行すれば良い。
浮き沈みの激しい世界の中でも、磐石な基盤を持つ企業として永続できるに違いないと思う。
コンピューターと人びとを繋げるものは、人と人を繋げるものと同じで"言語"である。コンピューター用語で"プログラミング言語"と呼ばれるものである。
最近の"プログラミング言語"は、人びとが会話で使う日本語や英語などと同じく、語彙や構文を増やすことで進化する仕組みが備わっている。
ベースになるものがあり、未来の風に乗って、そこから臨機応変に進化を遂げる。
日本語や英語のような自然言語に近いものを直感して、研究開発事業の根幹を、何十年、何百年も存続できる"プログラミング言語"に関わる内容に集中特化している。
2005 年 11 月 14 日 : プロダクト ストラテジー
最終利用者が使うアプリケーションやサービスは具体的なイメージがつきやすい。アイデア次第ですぐに爆発的に売れる可能性を秘めている。それ故にビジネスを短期的に伸ばすには、アプリケーションやサービスの世界で勝負するのがベストである。
実際に使えるのでビジネスの感触をつかみやすい。ビジネスモデルが直感的にイメージできるから、多くの企業はアプリケーションやサービスの切り口からソフトウェアビジネスに参入する傾向が強い。
携帯電話向けソフト業界も例外ではない。ほぼ 100 % の企業がアプリケーションを開発するところから事業を展開している。アプリケーションの開発と保守の、生産性の向上を目指した開発ツールや開発環境の製品開発を専業している企業は、見つけるのが難しい。
要するに競合企業が存在しない世界である。このような"場"にこそベンチャーに相応しいビジネスチャンスが潜んでいたりする。
このビジネスは製品を研究開発して、マーケティングして、製品が売れ始めるまでに少なくとも 3 年の歳月が必要である。しかも製品が売れる保証はどこにもない。
アプリケーションやサービスの場合は、3 〜 6 ヶ月で結果は出る。大抵はある企業のニーズに応じて作られる。少なくともひとつは売れる可能性がある。従ってそれは堅実なビジネスモデルと言える。
最近は景気も回復し、IT を駆使した企業の情報化投資は活発に見受けられる。尚更のこと、アプリケーションやサービスのビジネスは、優秀な人材をできるだけ多く動員できれば儲かるようになっている。誰もがそこに集中しても何の疑問もない。
そんな背景があるから、少なくとも数年経たないと換金できないし、何の保証もないから誰も手掛けない、携帯電話ソフト向けの開発ツールや開発環境のビジネスにチャンスが自然と生まれてくる。
製造業において、製品を作るためのツールや設備は無くてはならないものである。生産性や製品の品質を向上させるためには必要不可欠といってよい。マーケットは必ず存在する。
開発ツールや開発環境はあらゆるアプリケーション開発に関わるものである。マーケットが顕在化した時、ポテンシャルは計り知れぬほど巨大だろう。
2005 年 11 月 12 日 : Give × Give × ・・・ ⇒ Take
創業以来、携帯ソフト開発に関する世界唯一のノウハウ、ツール、ソースコードをネット経由で無償提供してきた。近日中に、これまで以上に高度な携帯ソフト開発に関する情報を無償提供すべくその準備に余念がない。
全ての製品は世界で初めて開発された類のソフトテクノロジーである。新しいマーケットを切り拓くのは思いの外険しい道を前へと進むようなものである。
単に努力してマーケティングしたという理由だけで売れるのは稀なケースだろう。広く世界に受け入れられるには、深く掘り下げた洞察と思考のプロセスは絶対に外せない。
新しい世界を創造するハイテクベンチャーというものはそれなくしてあり得ないと思う。誰もが実践しようとはしない練られた戦略と戦術に基づく行動が必要不可欠だ。
そのひとつが他では得難い有益なノウハウ、ツール、ソースコードを惜しみなく無償提供するというアプローチ。製品価格を軽く超えるメリットを享受したと感じられるようにするのが最大の狙い。
無償提供されたものによって、製品価格を上回る価値を得られたなら既に元を取っている。だから仮に最悪の事態が生じても製品を購入しても何ら損はしないはずである。況して有料の製品だからもっと得するのではと期待するかもしれない。
そんな風にしてハイテクベンチャーの険しき道を切り拓いてきた。インターネット無くしては実現不可能なビジネスモデルである。
2005 年 11 月 09 日 : ポジショニング
生物と生物、また生物とそれを取り巻く環境との間には切っても切れない複雑な構造がある。生物と環境の間にある相互作用を研究する学問が生態学である。
生態学で興味深いことがいくつかある。縄張りがあって生物の個体はほぼ等間隔で均等に分布すること。それから、食べ物が豊富にあり生育に適した地では、最初は個体の数が指数関数的に増加する。次第に伸びは緩やかになる。やがて定常状態になりしばらくその状態が続く。そして死亡率が出生率を上回り始め個体数は徐々に減少してゆくという。
企業活動でも生態学の智慧を活かせそうな気がする。ベンチャーを起業する場合、先ず最初に考えるべき事は自分の居場所、すなわちポジションである。生物が縄張りで自分の住処を確保するのと同じく、ベンチャーでもそれに相当する"場"がなければ直ぐに消滅してしまうであろう。
ソフィア・クレイドルはソフトウェア業界に属する企業である。その中での自社のベンチャー事業のポジションを明確にすることが生存のためには必須だと最初に考えた。
それではポジショニングをどのようにして行ったのか?
先ずソフトウェア業界を 2 次元平面のマップとして捉えた。横軸は受託開発、人材派遣、アプリ開発、システムソフト、開発ツール・・・ などの[仕事]の軸である。縦軸は 汎用機、ワークステーション、サーバー、PC、携帯端末 ・・・ などの[コンピューター]の軸である。
その 2 次元平面の中で横軸が"開発ツール"、縦軸が"携帯端末"という位置にソフィア・クレイドルというベンチャー事業をポジショニングした。何故ならば、その事業ドメインを手掛けている企業が存在せず、横軸が"開発ツール"で縦軸が"携帯端末"以外である事業領域は既に巨大なマーケットとして成熟していたからである。
将来的には"開発ツール"×"携帯端末"の事業領域も巨大なマーケットに成長するのは自明に思えた。しかもどの企業も手掛けていないのである。この領域で勝負を挑んで事業を展開する企業を発見するのはいまだに難しい。それはマーケットは小さいけれども競争が無くて、シェア 100 % を意味する。
やがてこの領域も巨大なマーケットへと育つ急成長期フェーズに突入するに違いない。そうなった時、生態学の示唆するところは、この領域に多数の競合企業が参入してくるだろうという予測である。未来に備えて、自分たちのポジションをより明確にする姿勢は今後も欠かせないと思う。
2005 年 11 月 08 日 : Deep impact
事業をひろく世界へグローバル展開したい。それだけに情熱を傾けてベンチャーを起業し経営している。国内だけで充分とする妥協は一切ない。しかも製品が営業活動をしなくとも自ずと人びとに選ばれ、ひろがりゆくスタイルを理想型とする。
スタッフは世界から募り、全員が異文化に触れ自然とグローバルな発想ができる"場"であることを意識している。母国語とは異なる言葉を使わざるを得ない空間から、斬新かつ偉大な発想が生まれるかもしれない。
グローバル展開するために製品のあるべき姿について、深く掘り下げて考える日が幾日も続いた。その過程で得た結論というのは、"普遍性"というキーワードである。乾いた砂に水が染み込んでゆくがごとく、製品が世界に一瞬のうちにひろまるには"普遍性"こそが命になるだろう仮説だった。
日常生活で、"普遍性"のあるものと言えば、"水"を挙げることができる。人の構成要素の大半は水分と言われ"水"なくして生きれない。また世界中あらゆるところに存在する物質である。"水"は自然の摂理で既にグローバル展開がなされているわけである。
食べ物には必ずその成分に"水"が含まれる。しかし"水"が含まれるという理由で、その食べ物が普遍的に世界に受け入れられるとは限らない。パラドックスに思えるが、物事というのは複雑化するに連れて普遍性を失うという事実を証明しているかのようだ。
インターネットはその普遍性から世界中にひろまった。しかしそこで展開される Web のサービスは文化や風習、習慣、法律など、国と国を隔てる国境が障壁となって、グローバル展開が難航を極めているようにも思える。
ソフィア・クレイドルでは、携帯端末向けのソフトを記述するためのプログラミング言語と、プログラム圧縮に関する技術をグローバル展開させようと志している。普遍性を持たせるために意図したのは、PC やサーバーの分野で、既にグローバル展開が完了し実績のある Java と C++ というインフラを選択したことである。
ソフトを開発するにはプログラミング言語は必須である。プログラムを圧縮する技術も無いよりあった方が良い。何故なら、プログラムを記憶するメモリと通信コストがその分少なくて済むからである。
単純な理由だけれども、"水"が普遍的に世界中になくてはならない理由はシンプルである。"水"なくして、人は生きていけない。それくらいインパクトのあるレゾンデートルを見つけることができれば、グローバル展開はきっと成功するに違いない。
2005 年 11 月 06 日 : 収益の構造[海外へ]
ベンチャーといえども事業である以上、収益構造の戦略策定は経営者の役割として最も重要だと思う。
収益の式は至極シンプルで単に
[利益] = [売上] − [費用] ・・・ (1)
に過ぎないけれども、意外とこの式が頭から消去されている経営者も多いのではないだろうか。ソフィア・クレイドルというベンチャー事業を推進する際、収益に関するこの式が片時も意識から離れること無きようにしている。
利益はベンチャー事業の未来への扉、源泉でもある。利益によって未来が決まるだけに、どのように事業を展開すれば利益が最大化されるのかという思考プロセスは、いくら真剣にやったとしても十分とは言えない。
ソフィア・クレイドルでの収益構造の戦略をまとめてみよう。
国内と海外の 2 つにマーケットを分割すると、売上は次の式で表現される。
[売上] = [国内売上] + [海外売上] ・・・ (2)
(2) を (1) に代入すると、
[利益] = ( [国内売上] + [海外売上] )− [費用] ・・・ (3)
となる。(3) の右辺の項の順番を入れ替えると、
[利益] = ( [国内売上] − [費用] ) + [海外売上] ・・・ (4)
となる。[費用] は大雑把に研究開発費や販売管理費などを含めたすべての経費のことを指す。
ここで、研究開発した製品の販売を国内に留まらず、広く全世界にグローバル展開することを本命としている。何故ならば、国内のマーケットを 1 とすれば、海外のマーケットは 10 〜 20 と圧倒的に巨大だから。
更にいえば、国内は少子化が進みマーケット全体がシュリンクしているけれども、世界全体では人口は今も増加傾向にあるからだ。何十年後かの将来には国内 1 に対して、海外が 100 ということも十分に予測される。
海外マーケットの開拓は国内以上に難航を極めるかもしれない。しかし企業が生き残り永遠の繁栄を築くには、海外への展望無くしてそれはあり得ない。
さて、(4) の式で注目して欲しいのは、( [国内売上] − [費用] ) の部分である。この項が"プラスの値"になるように心掛けている。つまり、国内事業だけで利益を上げて海外事業は全て利益になる収益構造である。
製品販売はインターネット 1 本に絞り、効率的なグローバル展開のためにインターネットで完結する受注・出荷・決済システムも視野に入れている。
海外マーケットは国内の 10 倍以上ある。この方式にしたがって国内と同様に海外でも製品販売の仕組みが実現したとする。簡単な算数で 90 %を超える利益率の単純明快なビジネスモデルが出来上がることが分かる。
現在、全世界で携帯電話や携帯ゲーム機は数十億台以上普及している。たった 1 本のソフトでも、1 本あたり 10 円で世界中の全ての携帯端末に普及させれば、それだけで数百億円の利益が見込める。
利益を事業の未来への投資と考えるならば、それは資金調達という見方もできる。株式上場をしなくとも資金調達はできるということだ。株式公開する必要性もなくなる。
2005 年 11 月 04 日 : 100 × 1 ≠ 1 × 100
小学校で習う算数では
100 × 1 = 1 × 100 ( = 100 )
である。
しかし現実のビジネスでは
100 × 1 ≠ 1 × 100
であり、
100 × 1 ≪ 1 × 100
という"論理( ロジック )"についての理解が極めて重要。
100 × 1 は 100 人のお客様に異なる 100 種類の仕事を縦展開するビジネスを、1 × 100 はひとつの同じ仕事を異なる 100 人のお客様に対して横展開するビジネスを意味する。
ベンチャーを起業する際に、肝に銘じなければならないのは最悪の事態の想定である。それは最終的に頼るべき人は"自分独り"だという覚悟。最悪、"自分独り"でも事業を伸ばせるビジネスモデルがあるかないかが最大のポイントになるだろう。
"独り"で 100 人のお客様に対して多種多様な仕事を同時に縦展開するのは至難の業。けれども"独り"でひとつの同じ仕事を 100 人のお客様に対して横展開するのは実現可能である。
そのベンチャーを成長させたいと心底のばしたいならば、この発想は基本中の基本と言える原則ではないだろうか。
ソフィア・クレイドルでは、現在、携帯電話向けソフトが世界マーケットで急成長中である。だから今はこのドメインに絞って事業を営んでいる。研究開発しているソフト技術は"プログラム圧縮"&"プログラミング言語"のたった 2 種類に過ぎない。しかし両者とも普遍性と汎用性に富んだ、何処までも底知れぬ深さのあるソフト技術なのだ。
NTT ドコモ、au、vodafone、WILLCOM と国内全てのキャリアに対応している。更に言えば、国内に止まらず、米国、英国、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、ポルトガル、中国、韓国、インド、ロシア、ブラジルなど世界の携帯電話で利用可能なように実装されている。
その上、PDA、iPod、PSP、Nintendo DS、GAME BOY など、携帯電話以外の携帯情報端末をも網羅している。
これが 1 × 100 型のビジネスモデルである。